表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/63

ep.17 手加減とは?

無謀にも魔法の真名は告げられた。

(やばい!あれは普通に死んじゃう!)

そして、広がる銀世界と氷結の槍の数々。

オクスはほんの一瞬の間に本能的に魔力で壁を作り出していた。

氷の槍が鈍い音を立て、その音は訓練場へと響く。

攻撃により砂煙が舞っている中から満身創痍のオクスが出てきた。

「オクス、結界魔法の基礎習得おめでとう」

「いやおめでとうじゃないですよ!実の息子を殺すつもりですか!?」

「いや〜やっぱり魔法を習得するなら命の駆け引きがあったほうがいいと思うのよね。元々寸止するつもりではいたけれどね」

うちの母親思っていた以上に頭のネジが吹っ飛んでいるかもしれない。

「うちの魔法士たちはいつもあれをしているわよ?」

うちの魔法士たちすげーなあれやらされてんの、ま?

「とりあえず一度あっちを見てください!」

と指を差した方向にいたのはお互いに抱きつきあって怯えているスイとレイだった。

「どう思いますか?」

ファルはその言葉に急いで二人に駆け寄り

「ご、ごめんね怖がらせちゃったみたいね。大丈夫まだしばらくはしないから」

そのまだは逆効果だぞ母よ。

「えーとうん!今日の訓練場はここまで!三人ともゆっくり休んでね」

と訓練場を三人は追い出された。



その後オクスは二人に屋敷内を案内することにした。

「やっぱり顔合わせはしておいたほうがいいからね」

「そうですね⋯」

さっきのことがあってからスイはより一層落ち込んでいる。仕方ないことなのかもしれない。

今の状況は偏差値五十の学生が偏差値七十の学校に通わされているようなものなのだから。

「気にすることはないよ。屋敷の人たちが強すぎるだけだよ。僕だってまだそこまで強くないし⋯」

「そうじゃありません。私達はあの時おびえたんです。ただ咄嗟に怯えてしまったんです⋯」

その怯えは戦場では命取りになるだろう⋯

「別にいいと思うよ。それが普通。人間怯えて逃げてやり直しての繰り返しだよ」

昔、剣術の稽古が嫌で逃げ出したことがあったっけ。

でも、それを周りの人たちは認めてくれた。

「でもよ。俺じゃあ太刀打ちできないぜ⋯」

「スイとレイは二人じゃないか。一人で抱え込む必要なんてないんだよ。こんな話をしてても仕方ないね。じゃあ行こっか」

オクスは屋敷内を進み始めた。

(私は⋯)

(俺は⋯)

この時から既に二人の中で何かが変わり始めていた。




「ここが厨房!」

そんなことも知らずオクスは二人を案内していた。

「ユーリさんいますか?」

「これはオクス様どうしたんですか?」

「新しい子が入ったから案内してるんだ」

「スイです」

「レイだ」

「私はユーリよろしく。知りたいことがあったらここにいるからぜひきてね」

「相変わらず爽やかスマイルを振りまいてますね」

「これはクセですからね」

「じゃあ、今日はこの辺で」

「いつでもも来てくれよ。スイちゃんレイくん」

と手を振って見送ってくれた。

「次はここうちの兵士さんたちの詰所」

部屋に入ると

「オクス様だー!」

「オクス様元気ですか?」

などと結構声をかけられる。

「オクス様は人気者なのですね!」

「いや、そんなことは⋯」

昔、差し入れを料理の練習ついでにあげてたら結構好かれちゃっただけなんだけど⋯

「オクス様本日は何用でござろうか?」

「シンさん元気そうですね。今日は新しい子が入ったので顔合わせです」

シンさんは東方の国からの旅人だったがその刀術を見てレインがスカウトしたらしい。

「その子たちでござるな。某、団長のシンでござる」

と挨拶をした。

「スイです」

「レイだ」

「そうでござるかいい名でござる。ところで二人は武術に興味はあるでござるか?」

「私はそこまでは⋯」

「俺は興味があるぜ!」

「まあ、いつでも歓迎するでござるよ」

そこに一人の女性が割り込んできた。

「シン何あんた抜け駆けしてるのよ!」

「めんどいのが来たでござる」

「めんどいって何よあんた!」

「事実でござる」

「埒が明かないわね。今は許してあげるわ」

「それはどうもでござる」

とシンは歩きながら手を振って去っていった。

「私は魔法士団団長のノラ。よろしくね」

「「よろしくお願いします」」

「相変わらずノラはシンに突っかかっていくね」

「オクス様いらっしゃたのですか」

「結構失礼なこと言うね。でどうして突っかかっているの?」

「それはあいつのせいです」

「あいつってシンのこと?」

「そうです!何かを言ってもものらりくらりとかわされるようで腹が立ちます」

あーそういうことだったんだあれ。

「まあ、支障がない程度にね」

「分かりました。ところでその子たちは魔法が使えますか?」

「うん使えるよ。まだ訓練中だけどね」

「なら是非うちに!」

「そういうのは本人の意思を聞かないと⋯」

と控えめに止めた。

「じゃあ、二人とも見学なら何時でも受けつけるからきてね!」

と詰所を笑顔で見送られながら出た。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ