ep.12 やっちまったぁぁぁぁ
「これでよしっ」
オクスは魔法の行使をやめた。それと同時に精霊たちもふわぁと消えてしまった。
「あ、お礼伝えたかったのに・・・」
とりあえず気持ちだけ届くと信じて感謝しておこう。
顔を上げ周りを見渡すと人が集まってきていた。
(あれ~おっかしいな~別におかしなこt・・・)
蘇る昨日の記憶・・・
(これは精霊術?ずいぶん貴重な⋯)
(あああああああああああ!やってしまったああああああああああ!)
(急に叫んでどうしたんですか。とてもおどろいたのですが)
(精霊術貴重なの忘れてたぁぁぁぁ!)
精霊術が使える人間など国でも片手で数えられるほどしかいないはずだ。
その人たちはみな国の多方面で活躍しているそうだ。
そんなものを人前で使ってしまったならこうなるのも必然だ。
そりゃもう目が飛び出しそうなほど驚いている人もいるほどには
「おまえ魔法が使えるのか?」
唯一現実に帰ってきていたというか驚いていなかった少年はそういった。
「ん?ま、まあね。とりあえず俺は早くここから離れないと・・・」
ふとこぼした声を拾ったのか彼は
「どこまでいきたいんだ?」
とたずねてきた、
「え?うーん領主邸の方向かな」
こうなった以上一度屋敷に逃げ帰るしかない。
「ついてこい。裏路地から逃がふわふわしてやる」
「ほんと!君は優しいんだね」
すると顔を真っ赤にして
「ちがう!借りを作りたくないだけだ!」
「理由はともかくありがとう。じゃあおねがいしてもいいかな?」
すると少年は無言で歩き出した、
ついて来いって意味かな?
オクスは周りの人が驚きで固まっているうちにさっとその場をから離れた。
少年は路地はどんどんと突き進んでいく。きっと慣れているんだろう。
「ねぇ、君の名前は?」
オクスは歩きながらもう一度尋ねるが返事は帰ってこなかった。
「なら、どうしてあんなことをしたの?」
すると少年はピタリと立ち止った。
「・・・生きるためだ。おれたちが生きるためだ」
「俺たちって誰かと暮らしてるの?」
彼はしばらく黙っていたが固く閉ざされた口を開いてこう言った。
「双子の妹がいる。でも病気で動けないから代わりに俺が⋯」
病気の妹をね・・・
「なるほど。じゃあ目的地変更だ。君の妹のところに連れて行って」
「は?何言って」
「俺ならどうにかできるかもしれない」
そう、力のこもった声でそう言った。
「そんなわけない。魔法じゃ病気は直せない」
悔しそうにそういった。
実際悔しいのだろう。何もできない自分が。
無力な自分が許せない。
俺だってそうだった。前世では過労で弱っていく父に何をすることもできなかった。
「魔法ならできないかもしれない」
「なら!」
「スキルならできる」
俺にはスキルを生み出すスキルがあるのだから。
目の前で困っている人がいるなら助ける以外の選択肢はないだろう。
「ほんとにできるのか?」
「やって見せる」
そう決意のこもった眼を見て彼は決心をつけたのか
「頼む俺の妹を助けてくれ!あいつはただ普通に生きたいだけなんだ」
そう深々と頭を下げた。
「わかった。助けてみせるよ」
「じゃあついてきてくれ。俺はレイ。あんたは?」
流石に本名は駄目だからなぁ⋯
俺は前世の場を借りることにした。
「俺はハルキ。よろしくレイ」
と握手をしようと手を差し出した。その手をレイが掴んだあと
「ハルキか。珍しい名前だな」
「ハハ、たまたまだよたまたま。そんなことより連れて行ってほしいな」
「そうだったな」
二人は再び歩みを進めた。
進んでいくうちにどんどん街の端へと進んでいく。
途中から謙虚に周りの様子が変化し始めた。
そこら中に倒れ込んでいる人もいる。
「やっぱりスラムが⋯」
「ここはマシな方だ。他の街から来たやつはもっと大変だったらしい」
確かにスラムにしては治安がいい。
あまり喧嘩なども起きていないし、どちらかというと助け合って生きていっている感じだ。
「ついたぞ」
周りを見ているうちについていたらしい。
「入る前にこれ」
とレイは布切れを差し出してきた。
「病気がうつるのは危険だから」
「ありがとう」
オクスは布切れを口周りに巻き付けた。
「じゃあ開けるぞ」
とホコリをかぶった扉が開かれた。




