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第20話 深層からのさらなるメッセージ

 優華たちのハネムーンも終わり、久々に彼女のサロンで会った。これまでの事を優華に話すと、

「伯爵夫人たちが、昇華したような、って不思議ね。魂は転生して今の貴方達になってるのに。美琴の深層心理がメッセージとして伝えたのかな?」

と、とても興味を示した。そしてもう一度退行催眠をうけてみないか、と言った。

「また?どうして?」

「その昇華した事や、他にも何か出てくるかもしれない。」

まるで研究者のように眼をキラキラさせて美琴に頼んだ。

 美琴はもう出てこないんじゃないかな、と思いながらも、彼女の熱意に負けて催眠を受ける事を承諾した。


 いつものように、奥の部屋でリクライニングソファに横たわる。優華の誘導に従い催眠状態に落ちていった。

 夢うつつの中、美琴は伯爵夫人の時代よりも、更に昔に戻っていく感覚があった。

 記憶を呼び起こしていく中で、今の本人に必要な情報が出てくる事があるのは、今までにもよくあったので、優華は美琴が更に記憶を遡る事は止めなかった。

 やっぱり、もう伯爵夫人時代は出てこないみたいね、と思っていた。


 インディアンの時代。美琴は明るく朗らかな小柄な女性だった。手先が器用で小物やアクセサリーなどを作り、伝承していく仕事をしていた。穏やかな部族で高い崖の上に居を構える一族だったようだ。

 彼女には恋人がいて、とてもたくましく、男性的な人。だが、人付き合いが下手で、いつも一人でいるような人だった。彼は人や動物、植物の心が読めるサイキック能力のある人だった。それゆえ、人付き合いがうまくいかなかった。いつも森の中で動物たちと過ごしていた。

 彼女はそんな優しい彼をとても愛していた。

 彼も、明るく裏表のない彼女が好きだった。

 二人はいつも森の大きな木の下で待ち合わせた。彼は嘘をつかない動物や植物と小さな彼女の笑顔を見ながら過ごす。彼女は優しい彼のそばでなんの不安もなく過ごす。いつも帰り際に二人で崖の上から夕陽を眺めていた。今日への感謝と明日への希望を思い。手を繋いで互いのぬくもりを感じながら夕陽を見るのがとても幸せだった。

 だが、ある時好戦的な部族からの襲撃に合う。彼らは森にいて逃れたが、彼らの部族は全てを奪われかけていた。

 男たちはなんとか自分たちの部族を守ろうと戦った。彼もまた戦いに出なければならなかった。優しい彼には辛い事だったが、部族を愛する気持ちも大きかった。彼は友である馬に乗り、戦いへ向かった。彼女は彼の無事を祈るしかなかった。

 だが、彼は傷つき馬の背に運ばれて戻ってきた。彼が倒れているのを友である馬が探して連れて帰ってきたのだ。

 戻ってきた彼を彼女は必死で看病した、だが傷は深く助かるものではなかった。彼女は悲しくて毎日泣いていた。

 彼が死出の旅に出るとき、言った。

 君が僕にとって、とても大切な人だと、すぐにわかった。動物たち、花たちがいつも君を僕のところに連れてきた。彼らにはそういう事がちゃんと分かっているんだ。彼らにいつも教えられた。

 もし、僕が死んでも、僕は魂になって君の側にずっといる。

 いつも君を守る。

 僕が死んだら、感じてみて。

 きっとわかる。

 愛してる。

 そう言って旅立った。彼女は悲しんだ。悲しくて悲しくて毎日泣いていた。

 だが、ある日、夢を見た。彼は側にいてずっと見守っている、と言っていた。目覚めて、彼女は静かに感じてみた。いつもの彼のぬくもりを。すると、はっきりと彼の言葉をきいた。君ならわかってくれると思っていた。ずっと側にいたんだ、と。彼女は彼の暖かいオーラを感じられて、涙を流した。側にいてくれるのだ、と。

 それからは寂しくなかった。彼女は彼の子を身ごもっていた。彼が側にいたから何も心配もなく、子を産み、立派に育て上げ彼女は天寿をまっとうした。

 魂が深いところで繋がっているもの同士は、離れていようが身体がなかろうが、側にいるのと同じように寂しさはなく、いつでも相手を感じる事ができ、直接的でなくても愛の確認ができる、という事を彼から学んだ人生だった。


 催眠から目覚めた。

 インディアン女性が美琴で、サイキック能力のある男性が光瑛と思われた。二人は毎回、魂の半身についての学びを繰り返しているようだ、と優華は感じていた。

「伯爵夫人時代だけじゃなく、他でも出会ってたんだ。」

美琴は暖かい気持ちになっていた。それと同時に魂の半身て、一体どういう事なんだろう、と調べてみたくなっていた。

「まだまだ出てきそうだね、貴方達。」

と優華は微笑んだ。そして、

「また今度、退行催眠、かけさせてね。」

と楽しそうに言った。美琴はそんな何回もやっていいのかしら?と不安に思いながらも、優華といることは安心できて、とても楽しく幸せだった。


 優華は柊一と結婚しても仕事は続けた。海外での仕事も多い彼ら。会えないことも多かったが、寂しいとは思わなかった。

 それは柊一も同じだった。芸能活動が楽しくて仕方ないといった感じで仕事に邁進していた。

 前世での二人は愛し合う事ばかりに気持ちがいって、実生活は人目を気にしたり、お互いを束縛したりと不自由なものだった。だが、今は、二人とも大好きな事をのびのびとしている、そんな風に優華は考えていた。

 こうやって、前世での事を学びに変えて今の人生に活かすのだな、と実感していた。


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