梵唄
レビュー執筆日:2020/5/22
●約40分の中に凝縮された、重厚で濃密な世界観。
【収録曲】
1.真善美
2.雷同
3.EVERMORE FOREVER MORE
4.AFTER-SENSATION
5.其限
6.今夜
7.守破離
8.怒涛の彼方
9.不倶戴天
10.ナミノウタゲ
11.天馬空を行く
12.満月の夕
前作から約5年ぶりとなったBRAHMANのオリジナルアルバム(彼らにとってこれくらい間隔が空くのは珍しいことではないのですが)。今作は、これまでの彼らの作品と比べて音楽性が広がっているように感じられました。『今夜』はある種の「ベタさ」を感じられる分かりやすいメロディを綴ったミディアムテンポの楽曲になっていますし、『怒涛の彼方』では東京スカパラダイスオーケストラをゲストに迎えているだけあって、ハードなサウンドの中に祝祭感が混じった独特な雰囲気を見せてくれます。また、アルバムを締めるカバー曲『満月の夕』は三線の音や民謡のような掛け声が入っており、『怒涛の彼方』とはまた違った感じの、悲しみや憂いを含んだ「祝祭感」が醸し出されています。
また、これまでの彼らの楽曲の延長線上にある曲に関しても、色々と興味深いアレンジがなされているのが面白いところ。『AFTER-SENSATION』ではサビで急にテンポが遅くなりますし、『其限』では「サビ」と「最後のサビ前のフレーズ」の二段階で盛り上げる構成には目を見張るものがあります。『不倶戴天』はボーカル・TOSHI-LOWが所々で力を込めて早口で「喋る」点が非常に印象に残り、タイトル通りの強い「怒り」の感情がこちらにも充分に伝わってきます。
このように分かりやすい「個性」を持った12の楽曲群が約40分という短い時間の中に凝縮された一枚。重厚で濃密な世界観を味わいたい方にはうってつけのアルバムになっていると言えるでしょう。
評価:★★★★★