超克
レビュー執筆日:2020/5/21
●叩き付けるようなインパクトと耳に残るフレーズで一気に聴かせる。
【収録曲】
1.初期衝動
2.賽の河原
3.今際の際
4.俤
5.露命
6.空谷の跫音
7.遠国
8.警醒
9.最終章
10.Jesus Was a Cross Maker
11.鼎の問
12.霹靂
13.虚空ヲ掴ム
そのハードな音楽性で知られるロックバンド・BRAHMAN。彼らの特徴は、その「叩き付ける」ようなサウンドにあると言えるでしょう。曲の緩急の付け方が非常に上手く、「緩」の存在により「急」の叩き付けるようなインパクトが際立っているように感じられます。例えば、『初期衝動』におけるイントロから次第に盛り上がっていって突然激しいサウンドが鳴る様相は非常に耳に残りますし、『俤』はサビで一気に盛り上がる展開が印象的。『霹靂』は前半と後半で曲調が大きく変わり、特に、終盤におけるシンバルの連打に乗せた叫ぶようなコーラスは聴き応え抜群です。私は彼らの今作以前のアルバムも聴いたことがあるのですが、それらと比べても、先程挙げた「インパクト」がより顕著になっているように感じられました。
また、そういった点以外にも色々と耳に残るフレーズを聴かせてくれます。『賽の河原』はうねるように段々と加速していくサウンドが印象的ですし、『警醒』の間奏や『虚空ヲ掴ム』のイントロ等、様々な箇所に出てくる民族音楽のような旋律も彼らの「個性」というものを底上げしているように感じられます。
全体的に見ると、ハードなサウンドに乗せた短めの曲がメインで、音楽性はそこまで広いというわけではないのですが、先程挙げた「インパクト」や「耳に残るフレーズ」が様々な曲に織り込まれており、最後まで飽きずに一気に聴けるアルバムになっているのではないでしょうか。
評価:★★★★★