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黒き竜殺しの思春期少年、少女達  作者: 正 三元
第3章 変格の兆し
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マテーラ村に行く

「マサキくんは空が飛べたんだ」


そんなフローラの隣で、 おーっと感心した声を出して、遠くに見える将生をマカロフは額に手をかざし、見上げている。


「あの」


そのマカロフにフローラがおずおずと話しかける。


「なんか、飛んでるんじゃなく、本人はジャンプしているから、跳んでいるんだと、言ってましたよ。」


「まあ、あれだけ必死に心配してくれたことには感謝しているさっ、後は皆が無事に帰って来てくれる事を祈るだけじゃなっ!」


「はい、そうですね。」


未だに雑務系の依頼ばかりをこなしているが、竜殺しという称号を持っているのなら、秘めた力を将生は持っている証なのだ。


だから、この緊急時にどうにか出来るのではないかと、フローラが誰に頼りたいと思った時に、目の前に現れた将生に頼んでしまったが、それは神頼みをする思いと同じだった。


そんな思いで頼んだが、フローラは後ろめたいものを感じていた。


いきなりの頼みを聞いてくれた将生に、不利な事が起きるというのではなく、フローラが勝手に抱いていた思いのせいだ。


ギルドにやってきて次々と依頼を成功させていき、評判を獲得した将生をフローラは羨んでいた。


フローラは世間知らずで、ギルド内でも出来る事はとても少ない。


今もギルドの仕事は失敗する事は多く、ボルドスには色々と嫌な事をされるが、ヘレンにカバーして貰い、自分が受け持った依頼は、将生がこなしていくので、ギルド内での成績評価は上がっている。


だが、それはフローラ個人の力ではない為に、申し訳なく思いながら働いている。


年下の子供ぽい男の子が、何でも出来るような雰囲気を持ち、やってくれる期待感を持たせてくれる、将生を見ていると自分の情けなさが余計に感じられ、どうしても暗くなってしまう。


それを表に出さず、笑いながら将生と話してはいたが、そばに来られるのが辛くもあった。


一方的にだが、そんなふうに思っている将生に、頼み事をするのは都合よく利用するようで、申し訳なかったのだ。


「みんなは無事に帰ってくるさっ」


マカロフはフローラが何かしら?抱えていると気付いたが、それに触れずに皆の無事を願う。


将生が帰って来たら、感謝と謝罪をしようと決め、頷いた。


その時が来たら、きっと将生はなぜ謝られたかわからないだろう。


それでもフローラは謝らないといけ ないと思っていた。


それが頼みを聞いて貰った将生への最低限の礼儀だと思ったから………。


一方の将生は町中で跳ぶのは危ないと思い、日頃人通りの多い大通りに足早で出ると、東門に向って町中は昨夜の騒ぎの疲れなのか?人数はまだ少なかった。


ここから馬車でも3時間以上は掛かるであろう北東に位置にある、マテーラ村に行く必要がある。


そのまま露店が並び閉まっている道を抜けて、東門前に乗り合い馬車が止まっている。


東門前から出発するのだろう、小広場では複数の人達が談笑しているのは、馬車の出発するのを待っているのだろうか、たまに将生の方をチラチラと見られる視線が恥ずかしい。


この町を拠点にしているクロフォード伯爵の私兵団の人達に、東門で通行証を出して門を抜ける。


町壁沿いに北に向って歩いていくと、元の世界でも見る女子高生が着る制服に似たのを着ている3人とすれ違い。


その3人の着ている制服のスカートの短過ぎる事は、町中にいる女性を見ればそうだろうなっとは思っていたが、将生は改めて思う。


「ホントに昔の渡り人って、スケベな男の人だったんだろうなっ?」


だが逆に言えば既婚者が独身の女性なのかは、一目瞭然だということだろうか!?


セレペスの北側に来ると、畑の中のあぜ道よりは広い北へと伸びる道は、そのまま森の中にと続いて入っていくが、その道上を歩みを進める。


黙々と走っては跳んでは歩きを繰り返し、空を覆っていた木々の葉が少なくなり、日射しが差し始めて、ようやく森の切れ目が近くなった事を実感するも、結構な時間を森の中で過ごしていたのだろう。


遠くの方に河川敷が見えて、川沿いの上流に向かって進んでいくと、背中をこちらに向けて、立っている人が見えた。


外套を着こなしフードを下したその頭は風で、金色の髪が靡かせているが、その後姿からもはっきりと見える尖った耳は、前日に会った女エルフと同じ種族だとわかるが、残念な事に服装や体系的から男だともわかった。


面倒なので、かかわり合うのはよそうかと、思ったがエルフの男性に気付かれて、怪しい者だと思われたのか?先に声を掛けられた。


「誰だ!?」


エルフの男はその場から飛び退き様、後ろに振り返りながら腰に付けた細身の剣を抜き放つと、剣を構えてこちらを睨みつける。


またか………翠の鋭い眼光に金色の髪は肩にかからない程度、細身だがしっかりした体には革の軽鎧を着込み、構える剣先は真っ直ぐぶれる事無くこちらに向いている。


そこらの冒険者とは物腰や雰囲気がまるで違う、かなりの戦士である事が見て分かる。


「何者だ、貴様」


エルフの男は剣を構えて、少し間合いを開けるように下がりながら低めの通る声で話しかけてきた、とりあえずエルフの男に聞かれた事を応える。


「僕は冒険者の者です。

驚かせたなら、すいません。」


エルフの男は訝いぶかしむ様にこちらに視線を戻し、ほんの少しだけ剣先を下げる。


ここは怪しいヤツだと思わせない方がいいだろうと思い、先日に同じようにエルフの女性と会った事を、男性のエルフに話してみる。


「そいつは、ダークエルフだったか?」


「んっ?ダークエルフ?」


「まぁ、正確に言えば、ハーフのダークエルフだから、肌色はそこまで白くはない、人間には見分けるのは難しいかもなっ?」


「あの女の人はダークエルフだったのか?」


「ダークエルフではない、ハーフとは混血って意味だぞ?そんな事も知らないのか?最近の若い冒険者の頭の中身が空っぽなのか?」


男に凄く馬鹿にされたように言われたが、こればかりは仕方がない。


こちらの世界のエルフとダークエルフの違いなど、色々な事情や生態系など知るわけがないのだから。


男はそう言って、構えていた剣を腰の鞘に戻すと外套を整えてフードを被り、エルフの特徴である耳をすっぽりと覆い隠す。


「ふん、変わり者か!?」


変わり者、と言う男の言葉に視線をこちらに合わせた気がするが、気のせいだろうか?


「で、貴方はこんな所で何をやっているんですか?」


外套を目深に被ったエルフの男は呆れた様な溜息を吐く。


「貴様、本当に人間か?

人間は自分達と違う者、優秀な者を恐れ、嫌うわりには従わせたいと思う生き物だろう?。

我らと条約を交わしたこのディアルグ王国内でも、我ら森の民の存在は人間の狩りの対象にしているのだ。!そんな事が許されると思うか!?」


そう言った外套のフードを被った奥の瞳には、怒りと憎しみが溢れていた。


恐らくこの国では表向きはエルフ達と揉めたり、エルフ達を狩る事は禁止されているのだろうか、その禁止にした条約とやらはちゃんとした効力を発揮してはいないのだろう。


彼の目を見れば人間が何をしてきたかなど、詳しく知らなくても自ずと想像できる。


狩りと言っても、殺す訳ではない。


彼らエルフが野蛮で好戦的なら、そもそも条約など締結されないだろうし、国法で禁止されたものを、高い金を払ってまで討伐させる人間はいない。


エルフの血が万病に効くとかでなければ、恐らく奴隷のような形で取引されていると言う事か?


するとこの男が森の中ではなく、人の村が近くにある場所にいる目的はなんだ。


「奴隷にされているエルフ達の解放?」


そう呟くと、目の前のエルフが剣呑な目をして警戒感を露わにした。


「いえ、貴方が人の村の近くにいた事や、貴方とここで話した事も、会ったハーフのダークエルフの事もいいませんよ。」


エルフの男が懸念しているであろう事を否定するかのように、言葉を発する。


「人間の言葉など、信用できないとでも?」


「ふん。今はお前みたいなのと関わっていても無駄らしいなっ、先程の言葉、忘れるなよ!」


男はそう言って、足早に擦れ違うと森の方へと歩いて行き、やがて姿が見えなくなった。


結局、エルフの男の名前も聞けなかった。


先日の美人なハーフのダークエルフの時もそうだったが、せっかくの異世界での異種族との交流は難しいと思ったが、人間に対しての好感度が低過ぎてガッカリする将生だった。


まぁ、また縁があれば会うかも知れない。


セレペスのギルド内でも、エルフが囚われていると言う話は聞いた事はないのだがら、もう会う事もないだろうと思いながら、将生は再びマテーラ村へと向けて歩き出す。


フローラに教えられた道順を辿り続けて、森を抜けて川沿いを進むと目印の場所を、右へと入る分かれ道があると言われている。


その矢印を目指して進んでいると、視界の先に丸太の杭が道の脇に刺し込まれて、矢印が指す方には道がずっと北東方向に向かって伸びている。


その道を辿って歩みを進んでいくと、やがて木の柵と空堀に囲まれた畑が見えて来た。


畑の向こう側には、盛り上げられた土壁と、その上に丸太を縛って作った木壁に、取り囲まれた村が見える。


村は水掘りがぐるりと取り囲み、門の部分は丸太杭を横に並べて縛った門扉を、頑丈な縄で上に吊り下げているようだ。


招かざる者や猛獣らが襲撃して来たら縄を切って、門扉を落す仕組みらしい。


その門の前には、手に持った槍を立てて、座って話している老人らしき男性2人が門番の役割らしい。


将生が歩いてやって来るのを、1人が見つけると、立ち上がり将生を見て、老人2人で協議しているようだ。


そして1人の老人が槍を杖にしながら、曲がった腰で待ち構えて、もう1人は木壁に寄りかかって、将生が近付いてくるのを待ち構えている。





ここまで読んで頂きありがとうございました。


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今後も読んで頂けたら、幸いです。


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