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黒き竜殺しの思春期少年、少女達  作者: 正 三元
第2章………待ち構える世界
19/32

知らされてはいけないのです。

町セレペスは、主要道の石畳にそれ以外の土の地面とレンガと木の家、洋風の光景が広がり、魔物に対しての防衛として3メートル弱の石塀が町を囲んでいる。


町の西側にやや大きめの古城がある。


この町を治めるクロフォード伯爵の屋敷だ。


町の入り口にクロフォード伯爵の私兵が、防衛の為に立っているので、通行手形を見せて、彼らに一礼すると、将生は町に入る。


「さて最初はどこに行くか?」


『主さま、最初は冒険者が集まるギルド会館を目指した方が宜しいかと思います。

町の情報も集まっているでしょうし、宿屋の情報も入手出来ますので、先ずは行く事を進めます。』


「そうだね、それから町の生活の第一歩にしようか!?」


道行く何人かを見ると、やはり着ている服装が違うような気がするが、最初の目的地であるギルド会館は、冒険者にとっては依頼と情報を提供してくれる場所であり、依頼人にとっては問題を解決してくれる人がいるかもしれない場所。


冒険者はどんな依頼でも受けることが出来るが、あきらかに力量にあっていない場合は止められる。


よほどの実力と名声を持っていなければギルドからの指名はない。


歩く道の前に大きめの喫茶店の向かいに、目指しているギルド会館だ。


ギルド会館に入ると視線が集まる、その集まった視線に押されるように足を止めるが、将生を確認した視線は直ぐに散った。


「なんで見られたんだろう?」


『主さまが強敵の商売相手なのか、建物に入って来た時に、気にはなって見たけど!?

へなちょことか、リスト外だよとか、カス!とか、下の中とか、使えねえなとか、しいたけ野郎がとか、ワンパンだわとか

ロウソク野郎が!とか、どんくさ〜!とか、・・弱そうとか、えっ!?男友達もいないの?とか?

まだありますが聞きますか?嫌にならないで下さい。』


「いや、もういいよ。」


『では、頭がハッピーセットとか、不届きものが!とか、エロガッパが!!とか、発情野郎と見えたからですね。』


「もういいって言ったのに……夜刀さん……こっちの世界にはないよね、その悪口言葉って?」


だが、夜刀の言った事は大当たりだった。


実力のある者ならば自分たちの仕事が減る可能性もあるのだ、すなわち収入に響くのだ。


仲間に引き入れる事も考えて、剣士なのか魔術師なのか観察し、どちらにしても将生に価値はなさそうだと判断したのだった。


ステータスと外見と雰囲気のバランスがおかしい、今の将生自身も秘められた実力をわかっていないのだから、見抜ける者などそうはいないために、あの大量の悪口の結果になっていた。


「いや、あれは夜刀さんが………はぁ」


なるほどとため息を吐きながら、頷く将生は登録カウンターまで行くと、受け付けには20代半ばぐらいと20才前後だと思われる、2人の女性が先輩後輩の関係で、ここの職員だと雰囲気でもわかる。


2人共に白いシャツに赤いベストを着て、紺色のタイトスカート姿は職員用の制服と思われるのを着ていて、仲が良いのか?お揃いのロザリオのネックレスをしている。


20代半ばの方は眼鏡を掛けていて、濃緑の髪を背中の中心あたりで切り揃えて、しっかり者だと感じさせる雰囲気を漂わせている女性は、黒い瞳に泣きぼくろが色っぽい美人だ。


まだ20才になってないぐらいの女性は、茶に近い金髪を肩あたりで切り揃えていて、みかん色と黄色のクリッとした大きな目が愛らしいが、ドジっ子の雰囲気がある。


ただ、日本人とは違って見た目で年齢を当てるのは難しい事は知っているので、はっきりした年齢ではないだろう!?


セリーヌみたいに老婆と言う事もあるのだ。


だが、それでも間違いない事に、将生は気付いた事がある。


マンガとかではだいたいが、若い方の女性が今後の町での生活で、大きく関わってくるという事だ。


そして、こっちの世界に来てから初めての町を歩き、エレインの裸体を見て、セリーヌの体の感触を直に味わったから言えるのだが、此方の世界の女性は胸が大きいと、将生は目の前の受付にいる、金髪の女性の赤いベストを押し上げている胸を見て確信した。


イヤ、もう1人の眼鏡を掛けた女性も赤いベストを押し上げて、隠されているボリュームは、元の世界ではグラビアアイドルになってもおかしくはないのだ。


将生は2人の女性の赤いベスト辺りを交互に見ながら、受付カウンターにいる、金髪の女性の方へ近付いて行く。


そんな思春期の男の子のスケベな考えを見透かしているように、濃緑の髪の女性が将生を見ていた。


どうしてそんな反応をされたのか!?まさか、考えていた事が知られたのか?


どうしていいかわからず、将生は眼鏡の女性の方に歩みを変えて、受付カウンターに近付いた。


「初めていらしたのでしょうか?」


濃緑の髪の女性が頭を下げる。


「はい。登録して欲しいのですが?」


「はい、ではこちらの紙に記入を………ここからは私フローラが登録作業を進めさせてもらいましゅっ」


はっ?………かんだ。


見た目は出来る職員って感じなのに、ドジっ子なのか?本当に大丈夫なのかと将生の胸中に、一抹の不安がよぎる。


フローラは涙目になりながらも、取り出したメモ帳を開いて、手順を確認する。


まさかの年上に見えたフローラの方が、後輩なのではと過った。


「では、こちらの用紙に記入をお願いします」


差し出された紙と鉛筆を受け取って、日本語で書こうとして止まる。


「僕、字の読み書きできないんだ」


「えっ!?」


フローラが大きく驚いた顔になる。


どうしてそこまで驚くのかわからないが、珍しい事ではないと知っているので、フローラの驚く理由がわからない。


「そこまで驚くこと?もしかして読み書き出来ないのって、凄くおかしいの?」


それならばエレインやセリーヌも文字を教えてくれるはずだ。


「い、いえまさか貴方が文字の読み書き出来ないとは思ってもなかったので!?」


「おかしくない?僕のこと知らないよね?僕は初めてフローラさんと会うんだけど?」


「はい、初対面です。でも私には、竜ご………」


ろしってわかりました、と続けようとした時に将生が「ああぁー」素早く手で塞いだ。


セリーヌがここにいれば、いい判断だと褒めただろう。


それはフローラが担当すると出て来た時から、夜刀さんに忠告されていたから、出来た反応だった。


「そのことは秘密ですよ、いいですね、用紙にはフローラさんが代筆して下さい。」


手で口を塞がれながら、フローラはコクッと頷き、将生は手を離すと脅えたような返答が返ってきた。


「は、はい!え、ええぇぇっとまずはっ名前をお願いします。」


一つでもミスがあればどうなるかわからないと気合を入れ、フローラは作業を進めていく。


将生は聞かれたことに答えていく。


フローラは何かしでかしてはならないと、たまにビクッと震えて、少し脅えた表情をする姿は、サドな性格の男が相手だったら、獲物を見つけたと思っただろうと将生は思った。


書類記入と書き込んだことの説明が終わると、新しいカードにはギルドに属しているという印を刻んで将生に渡された。


「あ、あとは依頼の受け方などの説明となります。」


「はい、お願いします。」


「わかりましたぁ。 では依頼に対しての諸々を説明させて頂きます。

依頼を受けて………………」


ここまではいいですかと尋ねられた将生が、頷いたことを確認し続きを話す。


「次は報酬についてです。

報酬は依頼書に載っています。

載っている報酬は、ギルドが仲介料として5パーセント引いたものとなっています。

なおギルドを通さず受けた依頼については、仲介料を取る事はありません。当たり前ですね」


ところどころメモ帳を開いて述べていく。


「ギルドを通さない事は、やましいところがあると白状しているようなものなので、注意して下さい。

そのような依頼を受けた場合の責任は、冒険者自身にありますので、どのようなことが起きてもギルドが介入する事はありませんので、ご注意ください。

説明はこれで終わりとなります。」


やり遂げたといった感じでフローラは背もたれに寄りかかる。


「これで終わり?」


「はい、終わりです。」


「じゃあ、後はフローラさんの口止めをするだけだね。」


「えぇぇっ、それってぇ~」


仕事に集中していて忘れていたらしく、ズルズルッと椅子から滑り落ちていく。


今にも泣きそうな顔が魅力的だが、力なく椅子にもたれかかっている。


「仕事が終わるのはいつ頃ですか?」


「あと1時間もすれば終わりますぅ」


「じゃあ、1時間ほどしたら通りの向こう側にある喫茶店はわかりますよね。」


「はい、いきつけですぅ」


なんか、ワクワクする………やはりマゾ的な要素があるよね。


んっ?僕って………そっち系?


頭をブルブル振って邪念を払う。


あまりの落ち込みように将生は哀れに感じたが、黙っていてもらわないと自分が大変な事になるらしいので諦めてもらう。


秘密にすると約束してくれたら、なにかおごってあげようと決めた。


ギルドでの用事を終えた将生は、暇潰しに町をぶらつくことにした。





ここまで読んで頂きありがとうございました。


誤字脱字あれば遠慮なくご報告して下さい。


今後も読んで頂けたら、幸いです。


お手数ですが、本作を少しでも気に入って頂けましたらページ上部や下部から『ブックマークに追加』


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よろしくお願いいたします。




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