男の子の◯欲放出
女神は、深みのある不思議な色合いの瞳を将生に向ける。
『マサキ………愛しきわが王よ、我の名は夜刀、主さまと認め我が操を立てるに相応しい』
楽の音のように心地よい声が、将生の耳朶を震わせる。
『そなたが、分かれしわが魂と、われを再び結びつけたのです礼を申しましょうぞ』
女神はふわりと足を踏み出した。
その身が近づくにつれ、甘い、花のようないい香りがただよう。
将生の鼓動が大きくなった。
すぐ間近に女神が立っている。
息もかかるほどの近さで。
光をまとうその面は、とても現実とは思えないほどに美しい。
女神は将生の首に腕を巻き付け、そっと唇を寄せる。
柔らかな息が唇に触れる刹那、心地よい快感の波が将生の背筋を震わせ、体内の奥でチリンと鈴音に似た音が鳴る。
『わが王よ………どうか、頼みまする』
ささやきが聞こえた次の瞬間、女神の姿が地に崩れ落ちた。
「わ、わわっ!」
とっさに将生は手を差し伸べる。
しかし勢いあまって一緒に地面に膝をついた。
「あっ………えっ?」
将生は驚いて声を上げた。
手を差し伸べて掴んだのは竹刀だった。
たったいままでいた女神の姿はどこにもない。
「マサキさん、周りを見て下さい。」
頭上からのエレインの声に将生は辺りを見回した、気がつけば枯れていたはずの木々が生気を取り戻している。
月明かりに目をこらすと、どの枝にも小さなつぼみがふくらんでいた。
女神の舞が、春を呼んだのだろうか?
「….....信じられないです。なんか、すっごいの出ましたけど!?」
将生とエレインはしばし顔を見合わせる。
それからエレインが将生に向かって歩き出した。
将生は竹刀を抱きしめて身を強張らせる。
エレインはゆっくりと目の前まで来ると、いきなり「ごめんなさい」ぱんっ!と両手を合わせて頭を下げた。
「へっ?」
将生はぽかんと口を開ける。
「え、え、えええっ?どういうことですか」
「だ、だってだって、われを忘れた人外って危険なのに、私は動けなかったから、マサキさんを守ってあげれなかったからね。
強い力があるととくに、無意識に場を乱すし、霊気は垂れ流すし、でも正体がわからないと対処のしようもないの….....」
「正体だけなら?えっと、夜刀さんてしたけっ?でも、なんだか、拍子抜けしちゃった。」
エレインが大きく息を吐いていった。
「怖いんですよ!?」
将生はくすりと笑い、抱き締めている竹刀に視線を向ける。
「そうだね、怖くても大丈夫だよ。」
エレインは将生にぴったり張り付き震えていた。
きっと、女神の出現に怖さを感じているのだろう、体は弱々しく震えているのだから!
ふいに、将生は凍りついた。
自分の肩をエレインではない誰かが、がっしりと掴んだのだ。
耳元に、生温かい息がかかった。
将生はぞわりと総毛立つ。
エレインの体も強張っていた。
「………そ、そんな、どういうこと」
2人は震えながら振り返る。
その背後で「うひゃわっ!」「きあぁぁっ!」
将生とエレインは絶叫した。
長い金髪の髪が垂れていて、真っ白な能面のマスクが、くぐもる声で………そう、元の世界で昔にヒットした13日の◯曜日に出てくる、Jと似た人物が、何か囁いてくる。
「(1)ある数字を思い浮かべる
(2)その数字に3を足す
(3)その数を2倍する
(4)その数から4を引く
(5)その数を2で割る
(6)そして最後に、その数字から最初に思い浮かべた数を引く
(7)すると、あなたの最終的な答えは必ず1になる。」
豆知識!重要な豆知識だッ!
豆知識でも凄いけど………はっきり言って、長いし、どうでもいい。
「まさか、まさか、その声と行動と言葉?」
その瞬間、はっと将生は気がついた、髪の毛の色も違って金髪だ。
でも、こんなうっさんくさい格好で襲撃してきたあげく、いきなり脈絡のない会話をぶちかます。
心当たりなんて、こっちの世界にたった1人しかいない。
だって、この家の家主なのだから!
「セリーヌさん、セリーヌさんなんですか!?い、いったい何をしたいんですか!?」
当てられたセリーヌは真っ白なお面を取ると、朝とは20代の半ばぐらいだった容姿が、40才前後の妖艶な雰囲気を纏った大人の女性だと思わせる容姿をしていた。
「制裁だッ!?」
そのセリーヌの容姿と発せられた言葉に対して、将生は大きく口を空け、驚き勢いよく後退りしたエレインが、壁にぶつかった。
身を屈めているその背後には、積んだばかりの薪があり、今にも倒れかかっている。
「あ、危ない!」「まずい!」
将生とセリーヌが同時に叫ぶと、2人共にエレインに向かって、飛び出して転がる。
ドコッ、ドッ、バタッバタバタ………パコン!
将生は彼女を抱いて地面に伏せた瞬間、後頭部にパコンと音と共に、衝撃が来た。
「あぃたぁっ!」 「だ、大丈夫か!?」
目の奥で星が散って、将生は意識が遠のきかける………と思った。
「おごぼぁ!?」
「きゃあぁぁっ!」
どきどきガタガタバタバタと、立て掛けてあった板が倒れてきて、3人は崩れた板や薪にモロモロな物で埋まってしまう。
『え············これ、なにマサキさん?』
我を取り戻したか、エレインの焦りの声が聞こえた。
『どこ!?』
『マ。マサキサン、マサキサン?!
「だ、大丈夫……?」
エレインの声が弱々しく呼びかける。
「う、うん、平気。俺は平気だから。それよりセリーヌさんは大丈夫かな….... エレインも苦しいだろ。
ちょっと待ってな。なんとか、体をどけて」
「あ、あっ、う、動くなバカっ」
苦しげに身をよじった時、はっと将生は気がついた。
倒れた拍子に将生と誰かの体は複雑に絡み合って、ぷにゅとした弾力性を持ち合わせている人物に、自分が覆い被さっている状態なのだと………そして、真下からの声の発信源の人物が誰なのか!?
セリーヌのスカートは大きく捲れて、どうやら太ももどころか下着まで丸見えの状態なのだが、視線に写るのは何故か黒髪だった筈の、金髪のセリーヌの顔がある。
………うん、金髪も似合いますね。
と声に出さない感想を頭の中で呟いて、起き上がろうともがくが薪や木板が被さり、どうやら動かすのは難しそうだ。
いや、両手の手のひらに力を入れて、腕立て伏せみたいに起き上がれば、起き上がれただろう!?
だが、将生は出来ないのだ!!
何故なら、ふくよかな山をこれ以上は潰したくないのだ。
揉み、モミ………ぷにゅ。ぷにゅ。
「こら、動かすなって言っている………んっ」
そう完全なる体と体の正面同士が合わさっている状態!?それだけでもやばいのに、将生の手はセリーヌの胸をむぎゅとつかむ格好だ。
さらにさらに捲れたスカートの下の太ももの間に、すっぽりと自分の腰が挟まっている………そうズバリ密着である。
大事な事なので、もう一度言おう!
今は、すき間無くぴっちりと密着しているのだ、胸に手とか腹とか足とか腰とか危険な部位と箇所が、余すところなく………超・密着。
(ちょっ………や、やばい、マジで、ヤバいぞ………この体勢は本当にヤバい!)
将生は変な汗が噴き出てきた。
セリーヌの体の感触が、ダイレクトにこれでもかと伝わってくる。
手のひらを握りしめる、むちっとした丸みのある柔らかな弾力だとか。
ズボン越しに感じる、下着1枚、布1枚隔てたセリーヌのぷにゅぷにゅしている◯◯筋と、自分のジュニアがピッタリと合わさっている。
それを意識した瞬間。
マズイことに、思春期の男の子ならわかるだろう!
生理的?・男性的?・急所的?なそれは、大自然的な反応が、一気に頭をもたげてきた。
「バカ、何を考えて………うっ、当たってる」
「うわ!ご、ごめん、めん、セリーヌさん、今退くからっ!」
焦りまくって将生はもがいた。
しかしもがけばもがくほど、2人の体は、いや生殖器の1つが力強く膨張したのが前後左右に動きながら押し付けられ、もう1つが圧迫されて、更に密着するばかり。
むちむち弾力をむにゅむにゅ揉みしだいたり、危険な部位をぐりぐり押しつけたり。
そしてますます反応が顕著になって、ますます焦って、以下無限ループ。
「やっ、コラ、いやっ、マサキ、う、動くと……あんっ……んんっ、あぁ……んっ」
セリーヌが目尻を下げて、苦しげに喘いで変な声を出す。
その魅惑的な声に反応する将生のジュニアに反して、もがく将生の思考がますますおかしな行為をしている気分になってくる。
いや、実際に前後左右に動いていた腰の動きが、前後だけになっている。
はっきり腰を振っている。
『大丈夫、ねえ、とっても苦しそう、息が荒いよ。どうしよう?』
エレインがおろおろして覗き込もうとするが見えない。
その問いに「だ、だだ、大丈、うっ」
将生は体をどかそうと必死で、上手く返事ができない。
「どうしよう、どうしよう、セリーヌにマサキさんが………」
エレインは両手で顔をぎゅっとはさんで「これ、私のせい………私のせい………なんだ、ごめんなさい」
「えっ!」
将生は瓦礫の間から見上げた。
エレインも薪や板に埋もれながら、苦しげに身を固く縮めていた。
「2人共、ごめんなさい、ごめんなさい。」
「だい、だわ、ううっ、はあっ、ああっ、だい、だいじょ」宙に向かって叫んだ。
しかし、2人の叫びは空っぽの闇に吸い込まれて、将生はぼう然と呟いた。
「うっ………で・る………」
『主さまは、楽しんでおるのでしょうか?』
次の瞬間、 大木の根元に長い黒髪の少女の姿がふわりと現れたが、3人は気付く事はない。
「えっ………あぁんっ………もうっ!」
将生の体が弾かれたように腰を浮かせた。
ドバッ、バダバダッ
3人を埋めていた薪や木材が弾き飛び出して、3人の姿が現れた。
3人共に髪もぐしゃぐしゃだが、エレインは泣き顔で小声でごめんなさいと繰り返している。
その横で将生はぼぉーっとして、賢者タイムを堪能していた。
セリーヌはそんな将生を仁王立ちで見下ろしているが、さっきほどまでの容姿とは違い、髪も黒に変色しているし、見た目も20代後半ぐらいな容姿に戻っていた。
いつの間にか戻ってきたセリーヌも舞を踊る女神を見たようで、その女神こと夜刀について、考えている事を独り言のように言葉を発していた。
「まったく。まさか?もう降りてこられようとはなっ、さて?どうしたものか?」
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