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黒き竜殺しの思春期少年、少女達  作者: 正 三元
第1章………新たな世界での成長と暗躍
12/32

洗濯するよ。

中級の治療魔法を得意としているエレインは、将生を心配して治療魔法を教え、セリーヌは楽になるという考えで魔法を教える。


そうしたセリーヌの思惑通りに、家事の為だけに、将生は水と風の初級魔法を教えられている事とは、今の将生は知らないでいた。


「マサキ、今回の魔法は洗濯だよ。」


「洗濯ですか?」


今、将生とセリーヌは庭に出ている。


そして2人のそばには洗濯物の入った籠と、粉石鹸らしき物が入った大きな寸胴鍋が置かれている。


エレインは室内で窓際の椅子に座り、外から聞こえてくる声を聞きつつ、今後に将生が必要になるのではないかと思われる、教本を読んでいる。


「まず下準備として水属性の魔法を使って、寸胴の鍋に水を入れなっ。」


「あっ、はい………命の源、清らかなる水よ、我が手に集え流水・ウォーター」


効果は難易度は初級であり、水属系で最下級の魔法で、ただ単に水を作るだけ………水量は注いだ魔力量で自由自在。


寸胴鍋の中にどんどんと、水が溜まっていく。


「それに洗濯物を入れて。」


篭に入っている服や靴下や下着などを将生が1枚1枚と入れていく。


「ん?」


「どうした?」


「なんで2人の下着が入ってんの?分けといてよ。!?」


明らかに女物の下着とわかる物体を将生は手にして、持ち上げて文句を言いつつも、その薄生地のショーツを見て将生は顔は赤くし、ブラを手に持ちカップの大きさに驚いていた。


「気にするな!。マサキのような、お子様に対してまでは羞恥心はないから、それに手に持ちマジマジと見ている下着は私のじゃない!」


そう言われて、同じような大きさのブラカップの下着を持ち上げる。


「お子様って、セリーヌさんとだって、まだ年が離れている訳じゃないでしょ、どう見ても20代じゃないですか?」


目の前に立つセリーヌと手に持つブラをマジマジと見る。


肌の張りと艶、細身の女性だと一目で分かる体の肉つき、髪の艶などどこからどう見ても20代後半の綺麗な女性だった。


「確かに私は成人もしているし、殿方と契りを交わせる年齢だが、マサキみたいな子供にまでは、興味を抱かないから、気にするな。」


将生自身にじっくりと見られても動じないことから、羞恥心が少ないというのは本当なのだろう。


「さすが異世界。 それでセリーヌさんについては納得するとしてもエレインはなんで?」


と質問しながら、手に持ったショーツをよく見ると、股の部分に少し黄ばんだ縦長の染みに、将生の視線が集中する。


「私ですか?マサキさんが洗濯するなんて知りませんでしたし、私自身は洗濯できませんから、洗って貰えるのに文句など言う事は出来ません。

ですが、じろじろ見られるのは………ちょっと………恥ずかしいので、その………やめて貰えますか?」


そう言うエレインの頬には少し朱が走り、将生から視線を反らしている。


将生は気をつけますと答え、気を取り直しセリーヌへと向き直る。


「納得したのね、では続きよ。」


「ざぶざぶ洗え」と言って、指を洗濯物に向けて右回りに一回くるりと回して、生地が痛まないように、魔力を注ぐ量には気を付けてよ」


指示通りに魔法を使うと、寸胴鍋の中で洗濯物が水ごとくるくる回り出す。


縦回転、右回転、左回転と回り、洗濯物はもみくちゃにされている。


それを見て将生は魔法版のドラム式洗濯機みたいだと考えていた。


「あとは回転が収まるのを待つだけなんだけど、時間にして30分程かなぁ?そのうちに水の回転は緩んでいくから、その後は水を抜いて風魔法だけで、今と同じように回して水気がなくなったら、干して終わりだよ。」


「じゃあ、30分ぐらいは暇になるんだ、なにしようか。 というか回ってる間、目を離してても大丈夫?」


「問題はないよ」


「なんというか手間がかかるね。

もっと一瞬でぱっと綺麗になるのかと思った。」


洗濯が終わるまで、家の中にでも入っておこうかと将生は考え体の向きを変えた時に思った。


「羞恥心がないなら、もっとセリーヌのショーツもマジマジ見とけば良かった。」


「くっ、焔の飛礫よ、勢いよく跳べ!」


セリーヌが差し出した手から、シャボン玉の大きさの火が数十個ほど、将生へ向かって勢いよく飛んでいく。


将生がこの世界に来て初めて見た攻撃魔法は、自身に対してのおしおきとして使われた。


「あちゃっ熱いよ!」


将生は、その場に倒れじたばたとしながら、熱さに悶えている。


ふんっと、セリーヌは腕を組み、倒れている将生を冷たく見下す。


「何すんだよ………酷すぎる?」


火傷の痛みに顔をしかめながら、熱さが冷たい視線で中和されたかというとそんなことはない。


将生の火傷を治療するために庭に出てきたエレインが、将生が発した言葉に反応する。


「ありがとう。エレインって、やっぱり笑顔が似合ってるよ。

僕には知らない事ばかりだけど、エレインに出会えて良かったよ。」


いきなりの将生の言葉にエレインは思考が回らない、弟のように感じていた将生に、何だか心配されていた事だけは理解した。


「どうして?」


「いやエレインが、出会った時は落ち込んでる感じがしたけど、ここに来て笑顔が増えたから、そろそろ落ち着いた頃かなって思ってさ!?」


エレインが微笑みながら礼を言うが、瞳は潤んでいた。


「うん、ありがとう………お互いに生き残ってるんだもんね。」


「そうだね、竜だもん?僕は死んでたかも?」


まだ怒りがおさまっていないのか、セリーヌが横から口出ししてくる。


「何を言っているんだ。マサキは治療して貰っているんだから、生きてる証拠なんだよ。」


「でも、熱かったよ。」


将生とセリーヌのやり取りのそばで「私………」自分の立場を思い出すと、胸の奥が苦しくなる。


将生が言った言葉は本気で、エレインの事を心配してくれているとわかったからだ。


将生の目には嘲る色などまったくなく、むしろいたわりに満ちた目だった。


やがてなんらかの結論に至ったのか、将生からエレインは一歩離れる。


セリーヌに文句を言ってやろうと、将生が上半身を起こしたところで、将生の頭をセリーヌはグーで思いっきり殴った。


セリーヌの筋力は、そんじょそこらの女性よりも上だが、将生の頭も頑丈で、むしろ殴ったセリーヌの方が手を痛めた。


「まったくバカ頭なんだから、私の手の方が痛めたじゃないか!?

マサキも成人を迎えてない、子供なんだから、大人ぶらなくていいんだよ。」


「…..….. 成人って何才からなの?」


ずっと気にはなっていたが、自分を子供扱いする、セリーヌが年齢を勘違いしていると確信しつつ聞く。


「この世界では16才から成人を迎えて、大人と見なされるんだよ。

もちろん私は成人しているし、エレインもすでに16才になっている、まだマサキは11才ぐらいなんだから、まだまだ先の話だね。」


「それだったら、僕は成人してないけど、後3ヶ月………いや、こっちに来てから日にちが経っているから、後数日で16なんだけど………」


「えっ………」


確かに将生は同年代の平均身長に少し届かず小さめな印象を受けるし、エレインやセリーヌは平均よりも高めで、将生はこの中では少し小さいだけだ。


「マサキさんって、私と同じ年なんですか!?」


「うん、そうなるね。」


これが、東洋人が若く見られるというヤツなんだと、将生が実感する事になった。


「どちらにしても、マサキは私より年下なんだから、言う事は聞いて貰うよ。」


そんなやりとりをしている間に、午前中に洗濯は終わるだろうと判断した、セリーヌは「気になる場所に行って来る」と言い残して、出掛けていき、説明を受けた将生は洗濯を再開する。


寸胴鍋の中で洗濯物が水を切るように回転している間を、同じ年だった事を知った2人は暇潰しに談笑していた。


△▽△▽△▽△▽△▽△


とある屋敷の門の前に3人の男が訪ねてきた。


屋敷の女主人は、その男らを従者に言い付け部屋の中に招き入れる、3人の男達を上から下まで舐めるように見つめて一言。


「どうした。?」と言葉を発した。


3人の男達は屋敷の女主人の前で、片膝をつけたままで、顔を上げる。


その中の1人が屋敷の女主人を見据えた。


「はい、実は、オスカーの孫弟子の行方が………」


男の話を聞いた屋敷の女主人は「まぁ、剣聖オスカーの孫弟子と言っても、たかたが剣術が強いだけの子供だろうに、ほっとけばいいのではないか?それとも何かあるのかい?」


言い終ると黙って男達を見詰めている。


「はっ、何も心配はないかと………」


女主人はいつものように、扇子を広げて顔の鼻下を隠し、男達を見る妖艶な瞳の女主人の気を引くように、もう一つの話を持ち出す。


「それと、刺客を送りました、それでお許しを………」


屋敷の女主人は長椅子から魅惑的な身体を起こすと、男達に背を向けて扇子をパチンと閉じる。


後ろ姿は魅惑的な女性の身体のラインを際立ているが、その後ろ姿は怪しくも美しく、男達を魅力する。


「分かったわ、良き報告を待ちます。」


その言葉を聞いた男達は深く頭を下げて敬意を表す姿を、屋敷の女主人は、薄気味悪く笑っていた。




ここまで読んで頂きありがとうございました。


誤字脱字あれば遠慮なくご報告して下さい。


今後も読んで頂けたら、幸いです。


レビュー、感想、ブクマ、いいね・評価などをして頂けたらとありがたいと思いますので、お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします。




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