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黒き竜殺しの思春期少年、少女達  作者: 正 三元
第1章………新たな世界での成長と暗躍
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魔力と魔法詠唱

更に次の日も同じだった。


エレインは将生を褒めたり、おだてたりと、将生の成長する為の事には、協力を惜しまなかった。


その夜、成功したと喜んでいたら、目が覚めて夢だったとわかると、落ち込み度が倍増した。


「本当に、言葉を覚えるのは早そうですが、魔法の方はさっぱりですね、どう教えればいいのでしょうか?」


ぺたぁーっとテーブルに伏せっている将生を見ながら、エレインは悩んでいた。


エレインは将生の魔力総量は自分やセリーヌよりも、それ以上はあるだろうと、思っていたのだ。


それなのに、どうして使えないのか。?


書物にもこういった出来事は載ってなかった。


少し考える様子を見てた、セリーヌはあれだと前置きしてから、将生に言い聞かせる。


「いっそのこと魔法を使うことを諦めるのもいいかもしれないよ、使えなくても問題ないくらいに、マサキは強いと思うからなっ!?」


あれだけ楽しみにしているんだから、将生に魔法を使わせてあげたいと本当に思っている、エレインだったが、どうにも出来ない。


確かに魔力はあるし、詠唱の言葉も間違えていないのだ。


魔法を使うには魔力を捧げる。


使えないということは、魔法が魔力というエネルギーを受け取っていない為に、魔法が発動しない。


エレインは自分が使う際に行うことを再確認するように述べていく。そして一つの可能性を見出した。


「……もしかして」


「何かわかりましたか?」


エレインは確信が持てないまま、思いついたことを口にする。


「神、女神にお願いしていないのでは?」


「確かに魔法とは神や女神に与えられるギフトであり、ランダムな所もあるが、与えられたギフトにより得意とする魔法属性が決まる、けど初期魔法なら詠唱の、一小節の一言一句に望みを乗せて言えば発動する筈だしな!?」


「マサキさんにとっては、ここはまだ異邦の地であるのだから、あちらの世界の神や女神とは異なるのではないかしら?

だから願う場合も此方の神や女神ではなく、あちらの世界の神や女神を思って願っていたのかも知れませんね。」


「エレインが言っていることには、納得出来る説だし、じゃあ、そこを充分に気を付けてやってみるんだね?」


セリーヌは、起きろと言いながらスパンと将生の頭頂部を叩く。


遅々として進まない魔法練習に少しイラついているのか、将生はのろのろと顔を上げる。


「エレインが有力な説を思いついてくれたんだ、それが正しければマサキは魔法を使えるようになるのだから、よく聞いておきなさい。」


「わかったよ」


「マサキは此方の世界に、今はいるという事は、わかるよなっ?」


トンッとセリーヌがテーブルを人差し指で叩き、それに反応するかのように頷く。


「では、マサキの世界は以前いた場所ではなく、今生きている此方なのだから、マサキは此方の世界の神や女神に感謝し、祈りを捧げるんだよっ。

そこを踏まえて魔法詠唱を唱えてみなさい」


これを聞き将生は、神や女神と言われても実感も想像すら出来なかった。


ただ、いま自分の居場所は此方の世界なんだとは、少しは実感もしているし、生活に慣れて来ている。


将生は頭の中で此方の神や女神の想像は出来ないが、アニメで見た金髪の美しい女神を想像しながら、強く意識しての言葉を紡ぐ。


同時に己の中で何かが蠢いた事を感じ取り、それを動かせるだけ体外に魔力を押し出した。


「明瞭たる光よ、闇夜を照らせ」


明かりを灯す魔法………手のひら程度の大きさの光の玉が出現する、難易度は初級の魔法はずだった。


だが、将生の全身を覆い隠すような光の玉が出来ていた、エレインやセリーヌが魔法を使った時のような、摩訶不思議な現象が起きたのだ。


「できた、できたぞっ!?」


「おめでとうございます。」


光に包まれた将生とエレインが手を取り合い喜んでいる姿を見ながら、セリーヌは違和感を抱きながらも、ようやくかと呟き、椅子に座った。


「ほらほら、2人共に座って。」


「これを喜ぶなと言われても、やっとやっと使えるようにっ」


「うるさい!!」


将生の思いをばっさりとセリーヌが切り捨てて、椅子に座らせる。


「まずは、おめでとうと言っておきます」


幼い子供が誉めて欲しそうな笑顔を見せかけた将生に、手のひらを向けて押さえるように続ける。


「だがっ、魔力出し過ぎです」


「どれくらい使えばいいかわかんないから、取り敢えず体内に感じたのを動かせるだけ動かしたんだけど」


「それにしてもあんなにただ漏れ状態の魔力を出すのは、やり過ぎだよ。」


「大体どれくらい使えばよかったの?」


「それはさっきの魔力の大きさから考えるに、1割も必要ないと思うが?」


「そんだけでいいの?」


いくらなんでも1割以下は少なすぎるのではと将生は考えている。


「簡単な魔法と言いました。

魔力の才がある子供でも使えるくらいのだよ、簡単ということは魔力も少量でいいんですよ。

今日はずっと光属性の今の魔法で練習しなさい。」


他の魔法も教えようとセリーヌは思ったが、今の魔力操作では難しいとも感じたのは、将生が得意とするであろう魔力属性がわからないのと、光属性の持ち主なら、あれだけの魔力を注いだ割には、光が弱過ぎるとセリーヌは感じたからだ。


「そういえば、魔力って寝たら全快する?」


「人各々違うが、だいたいは一晩寝て自然回復するのは半分ほどかな」


なるほどと納得し、翌日からは語学の勉強がメインとなり、魔法の修練じゃなく、魔力操作の練習を始めさせられる事になった。


余った時間に、少なくと意識して、ほんの少しだけ魔力を動かすように集中するが、少な過ぎたのか、 光が出る事はなかった。


もう少し多めにと再度挑戦して失敗する。


「もう少し強めかなぁ」と数十回後にやっと成功させる事が出来たところで、セリーヌに止められて、1日が終わってしまった。


詠唱の言葉を変えるとどうなるのかなど、応用を試したりしたかった将生の思惑とは違っていた。


将生が魔法を使えるようになり数日が経った頃には、新しく違う属性の魔法を教えて貰った初級魔法を、将生は次々と覚える事が出来ていた。


この数日で、セリーヌはエレインが書いた手紙のおかげで、王宮の調査隊が黒き竜の死骸を確認したならば、何かしらのアクションを起こして来るだろうと、セリーヌは感じていた。


何故なら、ディアルグ王国の王女であるエレインは国と民の為、後宮にいる女性達の為にと父親である国王に促されて、素直に頼みを受け入れて、自ら望み生け贄としての役割が終わった事になる。


それもケガも無く無事ならば、ここ数年で起きた王宮での事件により、弱小国家になった国王が考える事が、セリーヌは心配していた。


そんな事とは知らずに初級魔法の種類を順調に習得し、増やした魔法の中には、家事と治療中心だった。


家事系の魔法はセリーヌから、治療系の魔法はエレインから、語学力は時間を変えての2人によるもので、将生は尋常ではない速度で、語学力共に成長していた。


料理を作る魔法などは、火属性を中心の魔法が主であった為に、火属性の魔法の習得に役にたった。


治療魔法は6属性ある光・闇の属性には確認されているが、火・風・水・土の4属性には存在は確認されてはいない、希少な属性なのだ。


エレインは残念ながら、光属性の中でも中級までの治療魔法を得意としているにもかかわらず、エレインは治療系の魔法しか使えない。


もしも将生が使えるなら、今後に怪我をしても、自分自身で治癒出来るように、将生を心配して治療魔法を教えていた。


しかし、セリーヌが家事系の魔法を中心的に教えているのは、家事の分担が出来て、楽になるという考えからだ。


その頃、報告を受けた王宮から派遣された、黒き竜の死体の場所に兵士達がたどり着いていた。


兵士達に広がる驚きと衝撃は、直ぐさまアーサー・ザンブルク王が知る事になる、それは長き古来より続いていた生け贄の儀式が終わった事を意味していた。


だが、兵士達が見た黒き竜の残骸は、僅かに残っていた黒い鱗での判明と、死骸の大きさでの判明であり、エレインが生け贄に行く数ヶ月、数年の時が経っているかのような死骸に見えていた。





ここまで読んで頂きありがとうございました。


誤字脱字あれば遠慮なくご報告して下さい。


今後も読んで頂けたら、幸いです。


レビュー、感想、ブクマ、いいね・評価などをして頂けたらとありがたいと思いますので、お手数ですが、どうぞよろしくお願いいたします。




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