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8.アイコンに目線のある女は可愛いのだろうか?


部屋に戻って、ベッドに寝転がる。とりあえず、誰かに頼もうかと考えてみたものの、流石に『婚約者』になってくれと頼んでOKして貰えるような人に心当たりはない。

自分で言っても切なくなるが、昔から女にはモテないんだよな……。

う〜ん、いっそクラスメイトに頼んでみる事にしようか?

でも、借りを作ると後々めんどくさい事になりそうな気もするんだよな……。


「本宮様ぁぁぁぁぁ、お願い致します。少しだけで構いませんので、お時間を頂けませんでしょうかぁぁぁぁぁ」


外が騒がしい、先程家の前に居た男の声だろう。

人が考え事をしているのに迷惑な奴だ。イライラしていた俺は文句を言ってやろうと外に出る。


「お前、いい加減にしろよ。ご近所の方にも迷惑だろうが。いい歳した大人がバカみたいな事をするんじゃねえ」


「わ、私には…もう頭を下げる事しか出来ないのです。このままでは会社が破産してしまいます。どうか……どうか話だけでもお父様に聞いていただける様に取り次いでいただけないでしょうか!!」


「父が会わないと言ってるなら、俺が頼んだところで聞く耳持ってもらえる訳ないだろうが。いいから帰れよ!!」


「そこを何とかお願い致します」


「執拗い、帰れ!!」


「お願い致します、お願い致します……私には愛する妻と娘が居るんです。家族の為にも、今ここで立ち去る訳には行かないのです!!」


娘が居るだと……。上手くいけばさっきの件が解決するかもしれない。

だがこんな男に、可愛くて……慎ましくて……清楚で……巨乳の娘が都合良くいる訳ないよな。

ダメもとで話だけでも聞いてみるか?それぐらいの時間を割いてもいいだろう。


「おい、お前の娘はいくつだ?」


「今年15になりました。来年から高校にあがります」


俺と同じ年か、年齢は問題ないな。ここに来るぐらいだから、それなりの立場の人間だろう。そうなるとお嬢様というのもクリアしてるだろう。


「おい、娘の写真とかないのか?」


「写真ですか……?確かメッセージアプリのアイコンが顔写真になっていたと思います。確認しますので、少しお待ち下さい」


そう言ってスマホを取り出す男。画面を確認して安堵の息を吐きこちらにスマホを差し出す。


「その子が私の娘です。いかがです?可愛いでしょう?」


アプリのアイコンは確かに顔写真だった。だが目の部分にくっきりと黒い線が引かれていた。

素人流出系のエロ写真かよ!!ってツッコミが思わず出そうになってしまった。

なかなか個性的な感性の持ち主らしい。ちょっと変な感じもするが贅沢は言えない。

目以外のパーツで判断すると可愛いと推測できる。


「目線が隠れてて可愛いかどうか判断できないだろうが!!他に写真はないのか?」


「申し訳ございません。これしかお見せできる物がありません。それでお父様に取り次いでいただけますでしょうか?」


「娘の写真見せたぐらいで、取り次いで貰える訳ないだろうが。父は会わないと言ったら絶対に会わない。で、話を戻すが……お前は父に何を相談したかったのだ?」


「社運をかけての一大プロジェクトが、資金不足で頓挫しそうなのです。既に多額の融資を受けておりましたのでこれ以上の融資は難しくどこに頼んでも断られました。知り合いからも借りていたのですが、その債権を譲弥ゆずりやに譲渡すると言われまして……」


譲弥ゆずりやだと……!?」


譲弥ゆずりや、通称『強請屋』。知る人ぞ知る取り立て屋だ。

相手が破産しようが何をしようが一切の容赦はない。消息を絶った債務者は数知れずとまで言われる、黒い噂のある一族だ。


「どうしてそうなるまで放っていたんだ!!そもそもあそこに話を持ちかける様な奴からよく金を借りたな」


「お恥ずかしい事に、ライバル社の息のかかった者に借りてしまっていたのです……」


そう言って肩を落とす男。


「それで、お前……いくら負債があるんだ?」


素直に俺の質問に答える男。だが、その金額を聞いて思わず気が遠くなる。

もちろん俺がどうにか出来る金額ではないが、予想よりも遥かに大きい金額だった。

社運をかけた一大プロジェクトというのはあながち嘘ではないだろう。


「それで、お前の社運をかけたプロジェクトと言うのは、成功したら利益を生み出せるのか?」


「ライバル社との特許争いに勝つ事が出来れば間違いなく……」


「運転資金はいくら足りない?それと譲弥の所に売られるべき債権はいくらだ」


男の申し出た金額は、決して安くなかった。だが、このぐらいの金額なら……どうにかなるかもしれない。

ビジネスの話は俺には分からないが……あの人に相談してみよう。


「一つ聞くが、お前の娘は……付き合ってる男はいるのか?」


「そういう話を娘とした事はありませんが、居ないと思います。悪い虫が付かないように女子校に通わせてますので」


それを聞いて、俺は安堵の息を漏らす。


「今俺はとある事情で婚約者を探している。もしもこの件を解決する事が出来たら……娘を俺の婚約者にするが問題ないか?」


「問題ありません。婚約の件は、娘にも必ず納得させます」


「そこまで言うなら少し待て。念押しで確認するが、お前の娘は可愛いのだな?もしも可愛くなかったら、この話はなしになる事だけは覚えとけ」


「あ、ありがとうございます。ありがとうございます!!」


俺はポケットからスマホを取り出し、従姉妹に電話をかける。


「もしもし?永遠から電話なんて珍しいわね。どうかしたの?」


「あ〜、優姉さん。仕事中にごめんね。相談があるんだけど、今少し話せるかな?いいの?ありがとう。実はさ……」


姉さんに触りだけ伝える。実際にはこの男に会ってもらわないと何も話が進まない。

一通り話した結果、今日の夜に時間を作ってくれるとの事。

あとはこの男次第だ、男にその旨を伝えると……急いで準備をすると言い残して去っていった。

さて……どうなる事やら。


それにしても、目線入れる女か……だ、大丈夫だよな?冷静に考えると少し……いやかなり心配になった。

読んでくださってありがとうございます。

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