モーニングルーティンが決まった
「モエちゃんずるいや!!!僕だって朝からスーちゃんとイチャイチャしたかったのに!!もう、なんで誘ってくれなかったの?僕だって手を引っ張ってもらって、関節のばしたかったよ!!みてよこの朝一でもバッチリ動く身体を!!ふんぬー!!」
「うん、ごめんね?えっと…、今はご飯を食べているから、腕を伸ばすのはやめておこうか?!」
モエちゃんにプロテインを作ってあげようと思って、私のお部屋ではない方のキッチンに向かうと…、ちょうどアッシュ君が部屋から出てきて、ちょっとぶつかりそうになっちゃってね?!
危うく朝からキスしちゃいそうになっちゃったけど、なんとか回避してっ!!!
ちょっとドキドキしながらにっこり笑っておはようの挨拶をして、にっこり笑い返してもらって、ほっこりした空気が流れて。朝は緑色の目なんだなあと思いながら、ほんの少し視線を、アッシュ君の後ろ側に向けたら……背景がやけにギラギラとグネグネとでろんでろんと輝いて?渦巻いていたような気がね?!でもって…、見なかったことにしてね?!
一緒に朝ごはんを作ろうという話になったので、トーストを焼いたりしながら私のお弁当の準備もして、ついでにアッシュ君の分も用意してみて、みんなで仲良くいただきますをしたのはいいのだけれど!!
「起こしてくれたらカッコいい所見せれたのにさあ!!残念でならないよ…あ、ハムエッグおいしいね、さすがスーちゃん、おいしいものしか作らないや!!プロテインとバッチリ合うトーストもシャキシャキとしていて大変歯ごたえが魅力的…むぐ♡お弁当もありがちゅ…ありがとう!今日ね、お昼に絶対たび…食べるるよ、それはもうバッチリと!!」
どうやら一緒にラジオ体操ができなかったことを、とっても悔しがっているご様子…。別にモエちゃんとイチャイチャしていたわけではないのだけど、仲間外れにされたって思っている節がある。食べながら喜んでいるんだか自慢しているんだか憤慨しているんだか…ごちゃごちゃになっているのが何とも…。明日は誘ってあげよう……。
「じゃあ、明日からはお部屋をノックするから一緒にやろうか。モエちゃんも、起こすようにするね!起きられるかな?ふふ!」
「~♪」
「よろしく頼むよ、僕は柔らかな人間になって、しなやかに動いて、いつでもスーちゃんを優しく受け止めることができるようつとめたいと常々。ねえねえ、ハムエッグにはプロテインかけなくてよかったの?これではたんぱく質が足りないと思うのだけど…うーん、もう一杯飲もうかなうん飲もうよし作ろうあ入れ過ぎた牛乳足せばいっか!!!」
朝食を食べながらプロテインの大袋に手をのばし、私に力説するアッシュ君の目は…ずっと緑色。
朝イチは緑色なのかなあ?バイトする時は、いつも茶色いんだけど…イマイチ、色の変わるタイミングがよくわからない。出勤前に変わるんだろうか……。
まあ、ちょっとわちゃわちゃした話し方にはなっちゃうけど、アッシュ君はアッシュ君であって、基本的に優しいし気遣いの出来る人ではあるのだけれども。変に意識させちゃっておかしな事になるとマズいので…とりあえず触れない方向で。
「プロテインはがぶがぶ飲んでも吸収されないで排出されちゃうんだよ。適量を継続して飲むことが重要なので、朝は一杯だけにしておこうね?!これは…モエちゃんに追加しよっか!!!」
アッシュ君が素早くプロテインを作ってしまったので、それをさりげなく回収してモエちゃんのプロテインプールに流し込む…。
「~♪~♪」
ご機嫌そうに体を揺らすモエちゃんだけど、前屈運動の時に小枝がポキッと折れてしまって…ちょっとかわいそうだったんだよね。本人は平気そうにしてたけど、無理やり曲げて破損した感がハンパなくてちょっと心臓に宜しくないっていうか!!
「モエちゃん、折れたとこ、痛くない?あのね、ラジオ体操はね、無理に体を伸ばす必要はないんだよ。ちゃんと基本の動きをやり続けていれば、だんだんと体は柔らかくなっていくから…急がないでね?まずは動きをしっかり覚えて、そのあとで…」
「~♪」
元気にガッツポーズをしているところを見ると、枝の先の方は少々破損しても問題はないみたい。髪の毛みたいなものなのかな…?たまに小さな小枝が落ちてたりするし。
「ねねスーちゃん、今日は…またお迎えに行くからね!!でねえ、買い物に一緒にいこまい、朝ごはんで材料もなくなったと見受けた!あと、お弁当もいただいたので、その分の補充、補充!!明日の分も買うから、今後も食べたいよ、食べたいって言ってもいい?お願い食べさせて!!お弁当という人類の補給システムをぜひ生で研究させてくだちい!!プロテインはしばしいらないとのことだけど、本当に良いのかしら?僕はね、スーちゃんの分も考えれば、足りないと思われるんだけど。だってモエちゃんがおおぐらいで、本体もガブガブと!!頼んどいたほうがよくね?そうだ、人肉社長にもスーちゃんが真横で生活するようになったこと言わないと!」
……なんだろう、アッシュ君のテンションがやけに高い気がする。
あふれ出す言葉が、いつもよりも勢いがいいというか…抑えきれない感じ?昨日どいなか村に行ったあとは、かなり落ち着いて話せるようになったなあって感心したのに、一瞬で元に戻っちゃったみたい。
やっぱり不具合の影響なんだろうか……。
「プロテインはね、私が社員割引きで安く買ってこれるし、たぶんモエちゃんの分を考えても一年分くらいあるからしばらく買わなくていいよ?川原さんには一応しばらくいりませんって言っといた方がいいかな。えっと、不具合の話もしたいって言ってたじゃない?近いうちに連絡してみたらいいかも……」
「うふん、そお?じゃあ連絡してみる…あ、そうだ!!社長にご飯食べさせてもいい?前にスーちゃんの握りつぶしたごはん食べて、社長がぜひまた御評判にアブ借りたいと言ってたので。スーちゃんの手で握ったご飯がいたくお気に入りでねえ、非常にいいダシが染み込んでいるので美味くてたまらないのだと!!これぞ人間にしか出せない味だと何度も何度も懇願されてて!!全宇宙に販売店を作りたいとかなんとかそうだ、その話もしとかな!!!」
なんかいろいろとしっかりきっちりツッコんでおきたいところだけど、時間は間もなく7:30!!!
今日は店を開ける日なので…急いで出勤しないといけなくてですね?!
私は、お弁当を持って、タワマンから初出勤することになったわけなんだけれども!!!




