ナンパが横行した
「ええー!!ヒロシマジ次女やんの!絶対似合うよ!!マジ太鼓判♪つばつけとこ、ちゅ♡」
「誰もいなかったらって話だって!!他に似合うやつがいたら譲るっての!!」
「ヒロシ氏はわりかし狸顔だし、マスクしたらちょーカワユスでぃす!!いけるいける、本決まりでおけ!!」
只今の時刻は17:15、店長に残業許可を頂いた私と南大谷さんは、夕方出勤のヒロシとニシと一緒にイベントスペースで小会議中。明日私がお休みなので、今日決まったことや考えておいてほしい事なんかを伝えておかないとイベント企画が進まなくなっちゃうって事で、急遽居残りが決まっちゃったんだよね……。
実はちょっとだけ、アッシュ君との待ち合わせの事が心配だったりして……。さっき少し遅れるってメールしておいたから…多分、大丈夫だと思いたいけど、何気にいきなりここまで探しに来ないか、ちょっと心配だったりしてですね?!焦る気持ちを抑え込みながら、確認しておくべきことをですね!!
「え、えーっと!!じゃあ、あとは誰がどのキャラを?」
目の前で生BLちゅーを見せつけられても全く動じない南大谷さんに少々驚きつつ、てきぱきと会議を進めていく私!!驚いて反応している時間が惜しい!!長引けば長引くほど、無遠慮かつ人間慣れしてない天真爛漫な青年が乗り込んでくる可能性大!!!
とりあえずコスプレ要員は……、財前さんにOKもらって、今ヒロシもOKが出たでしょ、あと牛島さんの奥さんにも聞いてもらえることになってて、アッキーも二つ返事でいいよって言ってくれた、私はやらないとマズそうだからやるしかなくて、南大谷さんは嫌だってごねてたけどゴリ押しすればたぶん何とか!!だからええと、結局人数は足りてるんだよね??
納品トラブルがあったものだから微妙に時間が取られちゃって、ホウレンソウがうまくいってないのが痛い。私は明日お休みだから、どこまで決まったのかとか何が決まってないのかとか確認しておきたいんだよね。プロテイン関連の事は今晩露木さんから電話がもらえる事になってるからとりあえず保留でいいとは思うんだけど、お極さん系の事はできるだけ詰めておきたいっていうか。
「長女はポジティブキャラだから財前さんで決まり、次女はヒロシ氏、三女は秋野さん…だとちょっと天然キャラって感じじゃないでぃす!!あと、消耗品のバイトさんにかわいい子いたけど、声掛けらんなかったんだよねぃ!!」
「アッキーはわりとエロいから四女かな~?でもちょっとチャラすぎんだよね!こってりしたエロがあふれてないとダメっしょ!消耗は多分エミちゃん?清楚に見えるけどちょーぜつ大胆な…お願いって頼んだらたぶんやってくれるんじゃね?ちょい待ち…」
「つか四女は古賀さんマジドハマりだって!頼み込むべきだね!!俺明日土下座しに行くし!!あとさ牛島さんの奥さん、あんな派手なDJしてるくせに自チャンのゆっとり動画でクソ真面目なこと話してんの!あれはたぶん優等生キャラだと思うね!!声も六女系だしさあ!!」
出来れば当日の予期せぬ出来事発生時のために、ダブルキャスト的に人材は確保しておきたいところ。ニシの人脈の広さに期待したいんだけど、どうかな……。何となくのイメージだけど、チャラい人材が多そうな予感、当日バックレとかされちゃうのはちょっと怖かったりして……。
「うーん、この人がイメージにピッタリだからこのキャラをっていうのは難しいかも?第一目標として、キャラクターの扮装をしてくれる人がいることが重要であってね?どうしようか、コスプレしてくれる人募集って食堂に張り紙でもする?」
「でもさすがに40代は…50代もヤバくね?なんか別の意味で見物人が集まっちゃうみたいな?」
「総菜の杉下さんはお断りしたんでぃす!!高校生のお孫さんに見せたいからって言ってたけど、さすがに無理!!60代のミニスカートはドギツすぐる!!募集に年齢制限かけるのはコンプラがやばみ?」
「とりあえず集めてさあ、目の毒になるのは最悪ペットキャラの着ぐるみ着せとけばいいんじゃね?ニシが去年学祭で来てたやつあったじゃん!確かホビーに売ってたっしょ!」
前回のイベントが大盛況だったこともあり、ありがたいことに社内のみんながクリスマスイベントも前以上に盛り上げようと、大成功させようと、手伝おうと気を配ってくれてる部分もあって…そのお気持ちをそぐような事は…したくないなあ……。
「年配者の皆さんはキグルミか、六つ子カラーの法被を着てもらうのはどうかな?とりあえず、六つ子のコスプレ要員としての人員確保は、今のところ…確定が財前さん、アッキー、私、南大谷さんの4人で、未確定が牛島さんの奥さん、エミちゃん?あと古賀さんも聞いてみるんだよね?できればもう少しコスプレ協力者が欲し…」
「ちょ!?カッシー村さん、さらっとあたくしを勘定に入れるのはおやめなさいまし!!入れたらダメ!!明日ヒロシ氏と一緒にエロス古賀さんに拝み倒して絶対確保するんでマジ勘弁!!」
「つか、イベントは真冬のクソ寒い時期だし、できたら予備欲しくね?イベント中入れ替えしても良いし、コス民は多ければ多いほど良い!!」
「んじゃレジの女の子たちにも声かけてみよっか、あと食品の夜バイトにかわいい子がいたはず!あとでちょっと見てくる…あ、エミちゃんOKだって♡とりまこれで六人!!」
こういう時に、ニシの緩いナンパ根性というのは実に役立つ模様……。きっとこのあと、店内を巡り巡って流暢なワードととぼけたセリフを駆使して女子の皆さんを翻弄するに違いない。頼もしいとは思うけど、一応くぎを刺しておかねば!!
「ちょっと、派手なナンパは閉店後にしてよ!今回の目的はコスプレ協力者を探すことなんだからね?!おかしな揉め事とか絶対にやめてよ?!」
「わかってるって♡」
わかってる奴が、そんなにチャらくウインクで返事を…するかあアアア!!




