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エコー  作者: たかさば


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テクノロジーが駆使された

 メリーゴーランドグループには、全社員(パートさんも含む)が利用できるネット業務支援システム【メリゴパーク】というものがある。


 メリゴパークは従業員に与えられるIDでログインして利用できる共通の掲示板のようなもので、社内の連絡や有給申請、福利厚生の予約なんかもできる。たまに従業員の士気をあげるようなイベントが開催されることもあって、社員のみならずパートさんやバイト君もチェックをしているシステムだったり。POP選手権なんかは、景品として商品券が出たりするから侮れない。


 他店舗の従業員と日常の業務について話し合いをしたりするのはもちろん、困ったことがあったら相談もできるので、わりと頻繁に更新されているんだよね。社員格差が無くて、すごく偉い人も入ったばかりのバイト君もわりとフレンドリーに書き込みをしていて、いい意味でコミュニケーションツールとして活用されてるんだ。


 まあ、中にはあんまり利用しないような人もいるんだけど…従業員であれば一日に一度は必ず覗く、チェックポイント的なものになっていたりする。ログインは事務所内のパソコンからしかできないので、込み合うと気軽にのぞけないのが少々ネックだったりするけど、そこらへんは仲良く譲り合って穏やかにやっていたりするのですよ。


 事務所内には店長デスクと経理デスクが四つ繋がっていて、少し離れた壁際には従業員用のパソコンが三つ並ぶ。基本的に経理さんたちはパソコンで事務作業を黙々と行うので、勤務中は各々が自分のデスクに座っている。店長は店内で作業をする事が多いので、比較的デスクに籠ることはしないから、椅子が空いている場合が多い。


 空いてさえいれば、どのパソコンからでもメリゴパークにログインする事は可能なので、たまに店長デスクからログインして喜ぶ従業員も居たりして…。椅子がちょっといい奴なんだよね。

 …小久保店長の前に臨時で店長をやってた人は…売り場に出ることなく、ずっとデスクにはりついていたから、なかなか座ることができなくて、一部店長の椅子にしか座れない巨体の人とか苦言を呈していた時代もあったと言いますか。あの時に壁際の椅子を一つ新しくしたんだった、うーん懐かしいかも。


「となり、良いですか?」


 一番奥のパソコンの前に陣取って社内メールをチェックしていると、後方から声がかかった。こちらの返事を待たずに隣の椅子に座ったのは…できるゲームコーナー従業員!!!


「はひっ、えっとー、牛島さんと南おおちゃにひゃんは?!今ここに来たらゲームコナが、無人になっちゃうんじゃ?!」


 あまりにも意表を突かれて、く、口がっ!!!ヤバイ、なんか私焦り過ぎじゃない?!……経理デスクの面々はこちらに気付いていないな、えーと事務所内には他に誰もいない、よし大丈夫!!!


「百番くじの設置場所について相談するそうです。五階でプライズ品をチェックしながら検討するので、この隙にメリゴインして新作の景品をプリントアウトしてきてほしいと言われました。」


 勝手知ったる様子で、パソコンデスクに座ってログインする、灰色頭!!!めちゃめちゃ流暢に、落ち着いて仕事し始めた、ちょっとこの人どれだけできる人なんですか!!!インストール能力がすごすぎて、すごいイイイイイイイイ!!!


「いつもは牛島さんのパソコンでログインしているので、アイコンの位置が違いますね。プリンターのボタンはどこですか?自動で出てきません。」


 五階のゲームコーナー用倉庫には、牛島さん専用のパソコンが一台置いてある。防犯カメラが多くて、その管理なんかも一緒にやっているので優遇されているんだよね。いちいち事務所まで来て作業する余裕がないし、カメラの画像を確認しつつ発注作業をすることも多かったりするから。


 牛島さんはなにげにパソコンの知識がすごい人で、色々とカスタマイズしていたりする。私も何回か使わせてもらったことがあるけど、なんていうか、すごく優しいというか、業務内容がわかりやすくなってて…使いやすいを通り越して、牛島さんパソコンでしか作業ができなくなっちゃうパターンもですね?!

 …そうだなあ、普通のパソコンの使い方、教えといた方が良いんだろうか…ちょっと悩む……。とりあえず、今はちょっとお手伝いしてあげて、晩御飯の時に私のノートパソコンで基本的な操作方法を教えてあげようかな。


「あ、ここにあるよ…ちょっと手、ごめんね?マウスから離してもらって…」


 アッシュ君が手を離したマウスにそっと右手を伸ばし、画面を見ながら操作をして差し上げる。ここのパソコンはデータをプリンタに送信するのにちょっと手間がかかるタイプで、ちょっとわかりにくいんだよね。ウィンドウを開いて、所定のファイルを……。


「あ、わかった、これかな?」


 !!!!!!!!!!!


 ちょ、アッシュ、アッシュが!!!

 ひ、人の手の上に自分の手をのせっ?!


 い、いいいいいいい一緒にマウスを動か、動かしっ?!


 ひ、人の指を押して!!ダブルクリック、するんじゃ…ないイイイイイイイイイイいい!!!


「合ってるよっ!!あのね、えっとー、は、はは、(ダメ、こういうのは!!もうしたらだめだよ?!)」


 下手に大きな声をあげては経理デスクの皆さんに気取られる、できる限り声を押さえて、冷静を保ちつつ平静を心がけて動揺を鎮静させつつ画面を見ながらそっとマウスと大きな手の平に挟まれた手を抜き取りっ!!!


「…そうなの?あれ、ちょっと顔色が悪いね、無理してない?大丈夫?」

「(だ、大丈夫だから!!仕事中はダメだってば!!!)」


 恥ずかしげもなく気遣いの言葉を聞かせるとか、顔を近づけて人の顔をのぞき込むとか勘弁して?!思わず小声できつめの注意を!!!


「心配しなくても大丈夫だよ、映像が重ねてあるし、音声の波動をカットしてるから。」


 あああ、なんか只今宇宙テクノロジーが絶賛繰り広げられてるらしい!!!

 私の顔色が悪いのは…どう考えても、たった今私を追い込んでいる宇宙人のせいなんですけども?!


「あのね、ごめんね、私その、心が乱れると仕事をミスするタイプなの、お願いだからえっとー、その、弄ばないで!!!仕事をさせて?!」


 懇願の目を向けると、茶色いお目目が…にっこり笑ってる!!!これ、絶対に面白がってる奴じゃないの!!!!


「ごめんね?ちょっと…うれしくて、暴走しちゃったみたいだ。…仕事教えてくれて、ありがとう。」


 ・・・ぽん、ぽん。


 出来過ぎるゲームコーナーバイト君が、人の頭ポンポンして…事務所を去って行ったああああアアアアアアア!!!


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