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エコー  作者: たかさば


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36/85

恐怖が襲いかかった

「明日は、朝九時半にお迎えに来るね!ねえ、ホント僕の運転で行かへんのん?僕高速道路という奴で通りかかる車全てをきっちり破壊しようと思ってたのに、残念でならないよ。せっかくこの車に分子結合除去砲仕込んであるのにさあ、ちっとも使うときがこやへんがな。一般道はあかんけど、いわゆる車専用道路が用意しているという事は潰して潰される命がけの戦いが繰り広げられるんでしょう、スーちゃんの運転技術で太刀打ちできるん?」


 時刻は間もなく20:30。食後のお茶を飲みながら明日の計画を簡単に立てた後、コインパーキングまでお見送りに来たわけだけど…またもやテンションの高すぎる宇宙人のおかしな常識が私を襲う!!


「地球上で車のつぶし合いをする場所なんてどこにもないんだよ、ええとね、初めての遠出になるから、私の車で行こ?私、あまり自分以外の人車に乗せた事ないから、アッシュ君に乗ってもらいたいの、ね?!」


 勘弁してほしい所だけど、絶対に勘弁してもらえないことがわかってるからね?!さりげなく穏やかに間違ってる部分を訂正して差し上げつつ、事故の起きない展開に持って行く!!持って行かないと……私の命だけじゃない、長閑な小夏日市の消滅、最悪地球という星の存続の危機がこんにちはっ!!!


「えええ、そうなん?!僕に乗ってもらいたいちょな!!じゃあね、僕スーちゃんの車にお邪魔させていただくことにする!持ち物はスマホとお金だったよね、よーし、ありったけ持ってったろ!!」


「お小遣いは一万円までにしよっか!!足りなくなったら私が出してあげるから、ね?!」


 空間圧縮して詰め込んできたとか言って札束がわんさか出てくる展開しか見えてこない!!金銭感覚もきっちり教えていかなければ―――!!!


「ふうん、わかりました、じゃあ、明日……」

「あ、ちょっと待って、車、コインパーキングに停めてるでしょう、お金払わないと車が出せないようになってるの、こっちの精算機でね…


 唇を尖らせて不満を微塵も隠そうとせず車に乗り込もうとするアッシュ君の手を取り、精算機の方に誘導しようとした、瞬間。



「ごめん、スーちゃん、あとでめっちゃ謝る。」



 今の今まで、のほほんとかわしていた言葉が、いきなり遮られて、右手を、グイと、引っ張り込まれて?!クルリと、景色が、急転回した!!街灯の輝きが、白い残像となって筋を描き、目がくらむというか、混乱が!!!バランスを崩しながら、そのまま、アッシュ君の胸にと、飛び込んじゃっ!!!


「はぃっ?なに急に…へっ?



 ギュ……!!!



 た、体制を整えようと、上を向いたら、あっという間に、緑色の目が、目の前!!シミひとつないほっぺたが、目前!!ち、近い、近すぎる、むしろ近いんじゃなくてくっついてる、接触、接触ぅウウウウウウウウウ?!は、ハハハハハははイイイイイイイイイイイイ?!私、なんかいきなり抱きしめられてますけど?!



 むぎゅぅうううううう!!!



 思いっきり、胸と胸がくっついて、焦点が明後日の方向でッ!ねえ今私どこ見てるの?!今一体何、何が起きてる、はい、ハイ、はいイイイイイイイイ?!あっという間に、車のボディとアッシュ君に挟まれた!!!何これ、いわゆる壁ドン、いや違う、壁じゃなくて車だから車ドン?!両手で囲い込まれて、逃げられない!!!何?何される?!何が起きてる何がどうしてナニナニ何々?!テンパりつつ、まっすぐ私を見つめている緑色の目から目が離せない、どんどん近づいてくる、迫りくる真剣過ぎる眼差し!!


「んっ…?!むっ、ぅううん?!」


 どこに視線を持って行こうか目を回したら、自分ではない体温が目の前、ほっぺ、く、唇に、こ、こんにちはっ!!!!!!!


 く、くちびるがうばうばうば?!ば、ばばばばばばばばばばば!!!!!!!!!!二、二度あることは、三度あるって、言いますもんねえええええええええええ?!


 後ろ頭を抱え込まれて、キス、チューなんて生易しいもんじゃない、む、貪るようなキ、キスがあああああ!!!車とアッシュ君の間にがっちり挟み込まれて、囲い込まれて、一歩も動けない!!思わずギュッと、目を閉じ、とじとじとじぃイイイイイいい!!!!い、息がでででででできなななななななな?!?!?!?!や、ヤバイ!!!こ、腰が、ぬ、抜けそう……!!!さ、酸欠で、クラクラするっ、ちょっと待って今これ何が起きてる?!このままずるずると力が抜けちゃうと尻もちついちゃいそうなので、必死にアッシュ君の腕にしがみついて、落っこちないようにすすすすすすするぅううううううううう!!!!!!!!



「……おい、お前。何…ハッ、ハハハ!!!勝手な事、してんだよ。」



 気絶しそうな私の耳に、恐ろしく耳触りの悪い声が聞こえて、きた。この、背筋が凍るような、心臓をぎゅっと握り潰されるような、ハートが縮みあがるような不快感を呼ぶ、超絶不機嫌な声の持ち主に・・・心当たりが、ある。閉じてしまっていた目を、開けて、みると、ぼんやり、灰色の、髪の毛が……。


「僕のスーちゃんに、何するつもり?もう、諦めなよ、君、人としての器が、微塵も残っていない。」


 うばわれっぱなしだった唇が、ようやく解放されて…少し冷たい空気を、感じた。半分腰が抜けたままの状態で、アッシュ君にしがみつきながら、恐る恐る視線を、怨念のこもった声がした方へと向ける……。



 そ こ に は 。



「うっせえんだよ!!!!!!」



 血走った目で、こっちに飛び掛かってくる…仙谷さんの姿がッ!!!!!!!!



 なんで?!なんでこんなところにこの人?!まさかこの辺に住んでるとか?!いや、それはない、自宅、県庁横だって言っていた!いつも小夏日市の事田舎ってバカにして、自分の住んでるタワマンの自慢ばかりしてうんざりしていて! やだ、やだ、ヤダヤダヤダヤダ!!!!!!!!なんで、この人、私に向かって腕をふり上げているの?!…ダメ!!!!!怖くて、動けない!!!!体がすくんで、思わずギュッと目をつぶって、しがみついている手に力を込めて…衝撃に…備える!!!!!!!!!



 ガッ!!どかっ…ザザっ……!!!



 しがみついている、アッシュ君の体が、衝撃でゆれる。サンダル履きの足に、足もとの砂利がパラパラと飛んでくる。威圧感の塊が、私に襲いかかった瞬間、恐怖で固まってしまった。怖くて、とても目を開けられない、走って逃げなきゃいけないパターンだったんじゃ、アッシュ君は、アッシュ君は大丈夫なの?!震えながら、神様に、思いっきり祈る!!誰か、誰か警察に、電話、通報を、お願い、アッシュ君を、助けて――――――――――!!!



 ……。


 ………?


「やーやー、教授、派手なことになってますね、いやあ、こりゃすごいや!」


 なんか、やけに、のんびりした、声が、聞こえてきた……。衝撃も、来ない、…うん?なんか、背中を、そっと、なでる手が。・・・恐る恐る、目を、開いて、みる。


「……遅い。」


 実に、不機嫌な声が聞こえてきたんですけど。この、ふてぶてしい感じの、俺様系の声は。


 ・・・恐る恐る、目を、声の持ち主の方に向けると…仙谷さんを憎々しげに睨み付けている、…げえ!やっぱりいイイイイイイイイイ!青い瞳の宇宙人が、いつの間にやらご登場!!!!!!!アアア、さっきの衝撃で青くなったんだ、これはまずい、ヤバイ、一刻も早く離れねば、三日連続で強引俺様系宇宙人に唇をって!…ちょっと待って、私さっき緑色の宇宙人にもうすでに唇奪われた、奪われ過ぎて大変な目に合った!!!奪われ尽くされて奪った相手にしがみつくくらい腰砕けにされたあアアアアア!!!青い目の宇宙人の方がやさしいキスをしていたという事実に混乱、混乱が混乱でえエエエエエエエエエ!!!


 ……とりあえず、離れようか、うん。


 さりげなーくアッシュ君のパーカーを握っていた手を離し、一歩、二歩と、横にずれつつ、距離を取ってみる。


「あ、こちら博士のええと、びーまいべいべー?うふん、はじめまして、おっすおら※※▽♪のガブガブよしお、今から人肉確保するので、今後ともよろしくお願いします!ちょいと失礼?」


 ……のんびりした声が聞こえて来たけれど、持ち主は……どこ??きょろきょろとあたりを見回しても、誰も、いない気がする。少し不満がありそうな表情の、青い目の宇宙人が一人いるだけなんですけど。…よろしくお願いしますと言われても、どこの誰を宜しくしてあげたらいいのかさっぱりわからない!!!!!!


「ええと、えっと、ハイ?誰、なに、どこにいるの?あ、アッシュ、その、セ、説明をね?!」


「G2440、このタイプの宇宙人は、地球で言う…二次元の世界で繁栄している。人に自身を組み込ませることで三次元に出現が可能となる。人肉が消滅した際は、二次元箇所のみが残り再び別の人肉に融合することが可能となる。今、人肉表面から浸透しているのが…見えるだろ?」


 アッシュ君が指差す先には、目を見開いた仙谷さんが直立不動で!!…ちょっと待って、なんか全身が、変な模様で覆われてる、蛍光色?光る線というかバーコードというか、文字?見たこともない筋が密着してる、服にプリント?映し出されてる?いや、派手な入れ墨みたいになってる、見る見るうちに光の線が吸収されていく、何これ!!!!!!!!!アアア!!筋が全部消えたアアアアアア!!!


「ふぅん、立体とはこういう感じなんだ!へえ、重さ、人肉、実に魅力にあふれる。記憶に関しては問題なし、人肉のエコーは停止しよう、器ないし。・・・あ、ごめんなさい、オッスオラ地球人の仙谷耀司せんごくようじ、今から人肉として日本人を楽しむんでよろしくね!仲良くしてください!」


 にっこり右手を差し出し、実に血色のいい、人懐こそうな笑顔をまっすぐこちらに向ける中年男性が現れた!!!!!!!!!


 ハイ?!はい?!はいイイイイイイイイイイイイイ?!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 36/36 ・高速道路をなんだと思っとんじゃーーーーー(人のこと言えない) [気になる点] 模様! そうですね、宇宙人ならミステリーサークル? 血管模様? [一言] ナイス暴走。楽しかっ…
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