第6話「湯けむり」
【注意】
・これは東方Projectの二次創作小説です
・原作にない設定、キャライメージの独自解釈等を含みます
2人はぱぱっと衣服を脱ぎ終えると、すぐに浴室に入った。
魔理沙「なんか、こういうのって初めてだよな。これが所謂『裸の付き合い』ってやつか?」
アリス「ええ、そうね。」
魔理沙の問いかけに対し、アリスの返答は素っ気ない。
魔理沙「…?もしかして私と一緒に風呂に入るのは嫌だったか…?」
アリス「いいえ、そういうわけではないんだけど…」
魔理沙「ならいいんだが…」
同性同士でも裸を見る、見られるという行為は少し羞恥心を持つものである。特に見るという行為には後ろめたさが生じる場合もある。それ故、アリスは中々魔理沙の方を直視できず、なんとなくそわそわしていた。
魔理沙「もしかして恥ずかしいのか…?私たちの仲だし、そんなことは気にする必要はないぜ?初めてこうやって風呂に一緒に入ったわけだし、私はワイワイ喋りながら入りたいぜ?」
魔理沙は何でもお見通しだ。アリスは完全に気持ちを読まれていた。
魔理沙「よし、アリス。お前の背中を流してやるから椅子に座ってくれ。私が綺麗にしてやるぜ!」
魔理沙はそう言うと、半ば強引にアリスの背中を洗い始めた。
アリス「今までに誰かにこうしてもらったことはないけど…案外いいものね。終わったら今度は私が魔理沙の背中を流してあげるわね。」
アリスはようやくこの状況に慣れ、いつも通りに話が続くようになった。
魔理沙「…にしても、アリスってスタイルいいのな。全く、羨ましいぜ!」
アリス「ふふふ。あなたも成長していくにつれてこうなるのよ。私は魔法使いだからもう成長はしないけど、あなたは人間だからね。」
魔理沙「そんな感じになれればいいんだがな、そう簡単なものなのか…?さて、洗い終わったぜ。じゃあ今度は立場交換だな。」
今度は魔理沙が椅子に座り、アリスが魔理沙の背中を洗い始める。しばらくしてアリスがこう切り出す。
アリス「あなたの身体って華奢なのね。状況が状況だからいつも以上にそう感じたわ。あなたのエネルギーは一体どこから湧いてくるのかしらと思うくらい。それと、髪が綺麗ね。あなたのことだからあんまりそういうことは気にかけないのかなって思ってたけど…毎日ケアしてるの?」
魔理沙「私だって女の子なんだ。身だしなみとかはこれでも結構気を配ってるんだぜ?髪のケアも基本的には毎日してるな。何せ髪が長いもんで、サボるとすぐにだらしない感じになっちゃうからな。」
アリス「あなたも女の子してるのね。さて、洗い終わったわ。少し湯船に浸かって出ましょうか。」
アリスがそう言うと、2人は一緒に湯船に浸かった。
魔理沙「いやー、いい湯だぜ。やっぱり風呂は最高だぜ。」
アリス「気持ちいいわね。」
何気ない会話を交わす。
魔理沙「…なあ、アリス。今日は一緒に祭りに行けたし、こうやって一緒にゆっくりできて。私、嬉しかったんだ。…ありがとな。」
アリス「お礼を言うのは私の方よ。私はこれまで、あまり他人とは深く関わらないで来た。嫌われるのが怖いから、最初からそこまでの仲にならないようにって。けど、あなたとは仲良くなりたい、一緒に居たいって思えた。今日のことももちろん、いつも仲良くしてくれていること、本当に感謝しているわ。…ありがとう。」
至福のひと時というのはすぐに過ぎ去る。2人は湯船から出ると身体を拭き、服を着て、居間へ戻った。
約40分の時間が経ったが、外は未だに雨が降り続いており、むしろ雨脚を増していた。雷もまだ鳴っている。
魔理沙「全然止まないな…これじゃまた濡れちまうぜ…」
アリス「そうね…止まないわね。…今帰っても濡れるだけだし雷も鳴ってていつものように飛んで帰るには危ない。今夜、うちに泊まって行かない?」
魔理沙「いいのか?…じゃあお言葉に甘えさせてもらうぜ。」
アリスは手際よく寝床を準備し、照明を落とす。
2人はお祭りではしゃいだのもあって疲れていた。2人が眠りに落ちるまで、時間はほとんどかからなかった。
【作者の一言】
第6話。自分の中の魔理沙とアリスの距離感はこんな感じ。これからくっつけます。キャライメージも自分の中では割としっくり来てるんですが自分だけ?そんなことより魔理沙一緒にお風呂入ろ。