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unbrance
わかれ道の前に立っている。
どっちを選んでも大差はないだろう。
どっちを選んでも困難があり、障害があり、絶望があり。
だけど、いや、だから右を選ぼう。
右に行けばいい。正解なんて分からない。
目の前に男がいる。いつからそこにいるのかわからないが、確かにこの瞬間、男が立っている。
男が話しかける。しかし、それを理解するものはいない。どう考えても全くそれを理解できない。何度考えても、何回繰り返されようと、結果はいつも同じ。
それでも、男は黙らない、いい加減にしてくれ。その口を閉じろ。頼むから。
なあ、そんな悲しい顔をしないでくれ。
ある時から、彼は心を失ってしまった。
どうしてそうなってしまったかなんてわかりきっている。けれどもどうすることもできない。
ああ、なんて運命とは残酷なんだろか。
彼はまた歩いている。彼はまだ歩いている。
彼はいつも右に曲がる。だからいつも元の場所に戻ってきてしまう。
なんていい日なんだろうか。