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異世界へお引っ越し!  作者: にんにん
第一章 引っ越し挨拶
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城下町

 ブラッドベアは様々なゴブリンの群れを襲いながら白露の家の方まで進んでいた、つまりブラッドベアの行く道に群れを失ったゴブリンが存在していた、その中にはゴブ郎達がいた群れも存在していた。


 「お前達恥を忍んで頼む、せめて子供だけでもお前達の群れに入れてくれないか」


 ボブゴブリンへと、いやブラッドベア戦をくぐり抜けゴブリンナイトへと進化したゴブ郎の元に群れの代表者が頭を下げる。

 そんなゴブ郎の答えは


 「お前達は勘違いをしている、我らの群れの主は白露様だ」


 「はくろ? はくろ殿とは何者か?」


 「白露様は奇跡の力により我らをブラッドベアの脅威からお救い頂いた偉大なるお方だ」


 白露の知らぬところで、彼の評価はグングン上昇していた。そして


 「なんと、あのブラッドベアから、まさか倒したのか?」


 「そうだ、あそこに毛皮があるであろう」


 ゴブ郎のさす方向に目をやるゴブリン達、そこにはボロボロだが確かにブラッドベアの毛皮が存在した。


 「な、なんという事だ、あの死神をゴブリンが」


 「これも我らを導く白露様のおかげ」


 「それほどのお方が」


 と言う事があってゴブ郎をリーダーにしたゴブリンの群れはこの森に置いて最大の規模になる。


 「では白露様から、城の周囲への村の建設の許可は取ってある、分かるなお前達、白露様の支配する領域に恥じぬ村を作るのだ!」


 「「「おー!」」」


 ゴブリンが大量に増えて、村作りが街づくりになっているが、ゴブリン達は気にせず作業する。

 この世界のゴブリンは意外にも手先が器用で、物作りが上手かった、その技術は白露がもたらした工具一式によって開花する。

 気付けば白露の家の前の森は無くなって、ゴブリンの集落が出来ていた。


 「えー、何これ」


 2日も寝ていた白露が見るそれは、まさに浦島太郎状態、すっかり置いてけぼりである。


 「ぎゃ? 人間!」


 「えっ?」


 白露が門から出ると、一匹のゴブリンがそう言ってくる、そして


 「人間!」


 「何故人間」


 なんだか分からないがゴブリンが騒ぐ、戸惑う白露だったが


 「貴様ら、白露様になんたる言動を!」


 「へっ?」


 白露はゴブ郎かと思い、声のする方に振り向くとそこには


 「白露様になんたる失礼な事を」


 なんだか凄く怒ってる、ゴツいゴブリンがいた


 「えっ、もしかしてゴブ郎か?」


 「えっ、そうですが、いかがなさいましたか白露様?」


 白露は姿が変わったゴブ郎に違和感を覚える


 「だって姿が」


 「ああ、これですか、実はブラッドベアを倒した時に進化出来ましたね、今はゴブリンナイトに成りました」


 「あっそうなんだ、おめでとう」


 「ありがとうございます、そうだあの戦いでかなりのものが進化を果たしたのです」


 「えっそうなん」


 白露は話についてけないが、ゴブ郎が気にせず話してくるので頷いておくだけだった。


 「おい、お前達白露様に挨拶しろ」


 「はい、白露様、私はゴブリンアーチャーに進化しました」


 そうして頭を下げる、スリングショットを持ったゴブリンが現れる。


 「そうなんだおめでとう、えっと」


 「私に名はございません、一応白露様に一番最初にこの武器を頂いたゴブリンでございます」


 「そうなんだ、そうだ進化したんだし今日から君はゴブイチだ」


 「なんと、私に名を、ああなんてありがたき事」


 「えっ、えーと、どういたしまして」


 「はっ、ありがとうございます」


 ゴブイチとの挨拶が終わると、次に


 「白露様、私はゴブリンソルジャーに進化いたしました」


 「きみはゴブ郎の」


 「はい息子です」


 「そうか、じゃあ君はゴブ助だ」


 「ありがとうございます、私めにも名を」


 ゴブ助は涙を流しながら感謝を述べる。ここまで来て白露は配下の魔物に名を与える事が重要な事だと気づく、そうなるとここにいるゴブリンに安易には名付け出来ないなと思い


 「進化したら名前を付けてあげるのは当然だろう、君達が頑張ってもらわなければダメなんだから」


 「おお、なんと寛容な」


 ゴブ助が感涙で溢れる、それを聞いていたゴブリン達もざわめく


 「し、進化したら名を貰えるのか」


 白露の睨んだ通りに名付けをすると表明するとゴブリン達の目が輝く


 「白露様、最後にこの子を」


 ゴブ郎が連れて来たのは、白いメスのゴブリン


 「あ、あたいはゴブリンメイジで、です」


 ガチガチの白いゴブリンに白露は


 「君は女の子か、女の子ならゴブ子だな」


 「あ、ありがとうございます」


 ゴブ子は緊張しながらも満面の笑顔になる


 『うん、ちょっと怖いな』


 ビビる白露、こうして挨拶を済ました白露はゴブ郎に


 「なぁゴブ郎よ」


 「はっ、何でしょうか白露様」


 「君達、なんで、こんな短期間にこれだけのものを?」


 白露は既に街と呼べる規模になっていたゴブリンの巣を見て尋ねる。


 「はい、白露様にお借り頂いた道具を使うとあれよあれよと言う間に」


 「そうなんだ」


 白露は物語に出て来るゴブリン基準で考えていた、しかしこの世界のゴブリンは大工仕事がよく出来たのだ。


 『まあいいか、だけど道を作ってくれなきゃ車が使えないな、頼まなきゃ』


 白露は難しく考えずにゴブ郎にお願いする、ゴブ郎はすぐに快諾し、一週間後にはキャンピングカーが通れるほどの道が出来る、一キロも無いが


 「いつか森の外につながると良いな」


 そんな感想を持ちながらゴブリン街、いや白露の城の城下町が出来上がる姿をみつめるのであった。

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