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異世界へお引っ越し!  作者: にんにん
第一章 引っ越し挨拶
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罠にはめろ

 白露の作戦はこうだ


 まず餌でおびき寄せる、これは肉の塊を用意すればいい

 次に檻では無く網を使う


 「これをブラッドベアにですか」


 「ああ、これで動きを止めて、これだ!」


 白露はスリングショットを取り出す、これならば小さなゴブリンにも扱え、その辺に落ちてる石を使えば弾はタダである。


 「おお、なかなかの威力ですね」


 「これで熊を弱らせる、そして最後にこれで」


 白露は少し大きめの斧を見せる。


 「この様な見事な斧が」


 ゴブ郎がうっとりとした目で見ている。


 「これでいけると思うけど、ブラッドベアって皮膚とか固いかな?」


 「そうですね、タダのゴブリンだった頃の私でも傷を付けられたのでボブゴブリンに進化した私がこの斧を使えば大丈夫かと」


 「そうか、よし作戦開始の前にリハーサルだ」


 「リハーサル?」


 「練習しとくのさ」


 「なるほど、流石白露様」


 「いやー」


 白露さゴブリンに崇拝されてる事に喜んでいた、やっぱり褒められるのは良いものである。

 こうして白露とゴブリン達の死闘が始ま……


 「ブラッドベアはいつくるんだ?」


 「分かりません」


 「……」


 ら無かった。


 「うーむ、倒しに行くわけじゃないしな、一応警戒しながら待つかな、よし交代で見張るぞ!」


 「はっ!」


 「よしこれを使え!」


 白露は双眼鏡を渡す。


 「これは何ですか白露様」


 「これは双眼鏡って言ってな、ここにこうやって目を当てると遠くまで見える様になるんだよ」


 白露はやり方を見せる、そして双眼鏡を渡して使ってみろと言う。


 「お、おー、凄い、あの固い木の根元まで見える」


 固い木とはゴブリン達にとっての目印で、ここからかなりの距離がある。


 「それを使い交代でブラッドベアに備えろ」


 「はい」


 と待つ事六時間、白露はスマホゲームをしながら待つ


 『Wi-Fiかと思っけど、普通に繋がるやん、異世界にまで繋がるとは恐ろしや携帯会社!』


 何故か繋がるスマホを操りながら待ってると


 「来たぞ! ブラッドベアだ!」


 見張りのゴブリンが叫ぶ、その叫び声に臨戦態勢になるゴブリン達、そして


 「えっ、来たの、マジで、おわー」


 やっぱり怖い白露は震えてしまう、だけどここでリーダーらしくしなければと


 「よ、よーしいくぞお前ら、戦だ!」


 「「「おーーー!」」」


 ゴブリン達が騒ぎ出す、彼らはかなり高揚していた。


 「いくぞ村を潰された恨み、万倍にして返すぞ」


 「「「おーー」」」


 ゴブリン達が動く、その横で双眼鏡でブラッドベアを見る白露は


 「デカ! なんやねん、あの化け物は!」


 双眼鏡から見えるブラッドベアは白露が動物園でも見た事ない様な獰猛な生き物だった。


 「えー、虎より怖い」


 白露がビビってると、ブラッドベアが餌に食いつく、そこに白露は大声で


 「今だ!」


 その声に網に繋がる縄を切り、ブラッドベアの上から網が放たれる。


 「ぐぁ、ぐあ!」


 ブラッドベアが網に絡まりジタバタ暴れる。


 「よしスリングショットを撃て撃て撃て!」


 小さなゴブリン達がスリングショットを撃ちまくる、無数の石がブラッドベアを痛めつける。


 「がう、がう」


 ブラッドベアは痛みからなのか、暴れまくるが網が絡みつき身動きが取れなくなっていく


 「おお、なんか網が凄い効いてる、よしこのままだ」


 休む事なく放たれる石の雨にブラッドベアの動きが鈍くなっていき


 「よしトドメだ、いくぞお前達!」


 「「「おーー!」」」


 白露は斧を持ちながら熊を狩りに向かう、ほとんど動かなくなったブラッドベアに


 「えい!」


 「ぐゃぁ!」


 そんな断末魔と共にブラッドベアは動かなくなる。そして


 「勝った、勝ったぞー!」


 白露の勝どきに


 「「「おーー」」」


 ゴブリン達も呼応する。

 こうして初めての魔物退治を危なげなく勝利し白露はゴブリン達と勝利の宴に興じる。


 「あっはっは、作戦の勝利だな」


 「はい、白露様の叡智のおかげでブラッドベアを倒す事が出来ました、ありがとうございます」


 白露の目の前に整列するゴブリン達、その目は本当に感謝している目であった。


 「えっ、そうだけど、今回はみんなが頑張ったからじゃないか、そんなとこで突っ立てないで飲んで食って騒ごう」


 「はい、よし皆宴だ!」


 ゴブリン達が笑顔で宴を行う姿を見ながら


 『あぅ、君達を盾にしようとした俺にそこまで感謝せんでも』


 と心が痛む白露だった。

 そしてすっかり闇が支配する時になり、疲れながらも家に帰ろうとした時に、ゴブ郎から


 「白露様、お願いがあります。」


 「えっ、なに」


 その時白露は酔っていた、持ち込んだビールを飲みまくったからだ。


 「白露様の城の前に村を作る事をお許し下さい」


 「えっ、そうか村をなくしたもんね、いいよしっかり家の前を整備してね」


 「はっ、それでブラッドベアとの戦いの時にお貸し頂いた道具を使わせて頂けませんか」


 「えっ、ああそうだよね、いいよ使っても」


 「ありがとうございます」


 「うん、じゃあ俺は帰るよ、眠いし」


 「それでは門までお送りいたします」


 「うん」


 そこで白露の意識は途絶える、そして起きた時には


 「頭痛い」


 今日も昼過ぎに起きた白露の目の前に


 「先生、原稿頂きませんか」


 仁王立ちの露美がいた。


 「へっ、あ、ああ、そういやもう締め切りか、ちょっと待ってて取ってくるから」


 そう言って仕事部屋に原稿を取りに行く、そして原稿の入ったUSBメモリーを取り、露美のところへ、露美は玄関で待っていた、どうやら急いで会社に行かなければならないらしい


 「やっとですか、早くして下さいよもう」


 「うん、でも締め切り明日かと思ってたよ」


 「なに言ってるんですか、先生2日も寝てたんですよ」


 「えっ、そうなの」


 「何しても起きないから焦ってたんですから、それじゃあ私は会社に行きます」


 そう言って露美は俺の車に乗って行く


 「ああ、気軽に使ってるな、結構高かった車なんだけど、まあいいか、さて今日は」


 そう言って家に戻ろうとすると、彼の目の前には


 「な、なんじゃこりゃ!」


 百を超えるゴブリンの街が出来上がっていた。

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