初めての来客
「ちょ、ちょっと待ってくれよ、なんだよこれ? まるで異世界転移って奴じゃねえかよ」
白露は目の前の光景に異世界に来たと思うほどにそっち系の文化に馴染んでいた。
だけど彼の心の中は混乱でいっぱいであった。
「えっ? えっ? なんでだよ、ど、ど、どうしよう、無理だよ、俺が異世界なんて無理だよ」
白露は足が震え、玄関で立ち尽くしていた、その時
「ぎゃおー!」
「うお!」
ビクつく白露、何か異形の者の鳴き声に怯え家の中に逃げる。
「はぁ、はぁ、な、なんだよ、どういう事だよ、なんなんだよ!」
震える白露は落ち着くためにリビングに向かい、水道から水を出して飲み干し、テレビから流れる画面をボーと見つめ
「あれ? なんで異世界に来たのに水道も電気も通じてるんだ?」
白露は疑問を持つ、異世界にやって来て何故ライフラインが通じるのかと
「えっ、あれ? もしかしてさっきの幻覚か? あれ駅前のスーパーの看板だよな」
白露は、ふと窓から見える景色が自分が住んでいた町のものと変わらないことに気付く
「そ、そうだよな、あっぶね、なんだよ、そうだよな異世界転移なんてあるわけ無いよな、職業柄空想と現実がごっちゃになったのかな? 危ないな病院行った方が良いのかな、いやー勘違い勘違い」
そうして再度コンビニに行こうと玄関に向かう。
「ふぅ、さっきのは幻覚、さっきのは幻覚」
白露はそう自分に言い聞かせ、玄関のドアを開ける、そこから見える景色は
「なんでやねん!」
森だった。
「やっぱり幻覚じゃあ、いや夢か」
白露は自分の頬をつねる
「痛い、普通に」
白露はがくりと肩を落とし
「ダメだ夢でも幻覚でも無い、でも」
白露は家の窓から見える景色を確認する。
「なんでだ? 窓から見えるのは日本だよな」
白露の頭はハテナでいっぱいであった、窓から見える景色は日本、水道も電気も繋がっている
「スマホは?」
スマホを使うと
「繋がるよな、えっと、Wi-Fiだからか?」
そうこうしてると敷地の境目である門の方が騒がしい、と言うより破壊しようとしてる音だった。
「な、なんだ!」
白露は玄関に置いてあったバットを持って門に向かう、広い家を買ったので玄関と門が少し離れていた。
「あれは、もしかして」
白露が目にしたのは、尖った耳に小さな背丈、醜悪な顔をした俗に言う
「ご、ゴブリンか」
白露の視線の先に門を叩くゴブリンの姿が映るのであった。