プロローグ
「やっと手に入れた、俺だけの城を!」
彼の名前は大城 白露
年は三十前後でようやく彼は
「買っちゃったよ、一軒家を」
家を買う、中古だが総敷地面積五百坪、建坪八十坪のかなりの豪邸で三十前後の彼がなぜ買えたかと言うと
「いや〜、当たるとでかいよな作家って」
彼は若くして何本ものヒット作を世に送り出したヒットメーカー、書いた作品最低でも数十万部、多ければ百万部オーバーの天才作家だった。
「この前の印税でようやく資金が溜まったから思い切ったけど、やっぱり我が家はいいよな、ここから見える庭園も俺好みだし」
彼がこの家を買う際に最も気に入ったのが広い庭だった。
「川なんかあんじゃん、でかい木あんじゃん、なんの木だよ、あはは」
彼は上機嫌だった、それは物凄く
「はぁ、これで億いかないんだよな、安いのかな?」
彼が購入した家は都会と呼べる場所ではないが、それでも自転車で行ける距離にスーパーなどが揃っており、五分も歩かずにコンビニもある、その上都市の中心部に出るのに電車で30分もかからず、土地も安い穴場であった。
「俺の仕事ならわざわざ中心部に住まなくていいし、ここなら都会の喧騒から逃れられてなおかつ田舎ほどの不便さも無い」
彼にとって最大の買い物で、最もお得な買い物であった、ここまでは
「さて、引越し屋も帰ったし、ゆっくり蕎麦でも食って寝るか」
その日の夜、彼の住む地方で少し大きな地震と謎の光が観測された、その光は彼の家の真上だったとか
そして次の日彼が起きた時、いや彼が出かける時に物語は始まる。
「う、うーん、朝か? はぁ自分の城で目覚める朝のなんて素晴らしい事か」
白露の朝は遅い、既に昼のワイドショーが始まっていた。
「なんだ? 昨日地震なんてあったのか、揺れたっけ?」
彼は鈍感では無い、大きな地震があったなら起きると思っていたが疲れてたからかな? と自分を納得させ
「まあいいか、朝飯買いに行くか」
そう言って玄関に向かい扉を開ける、そこには
「あれ? こここんなに田舎だったけ?」
彼の目の前には広大な森が広がっていた。
「あれ?」
白露は異世界にやって来たのだ。
「えー!」
彼の新生活は異世界で