第3話
「何やってんだお前ら!」
捕まりました、怒られました。
忘れてたけど俺達ってすっごい臭いんだよね。客に紛れ様と思ったけど無理だったよ。
「バカなの?」
「お前も一緒に混じろうとしてたじゃねーか」
小声でぼそりと相棒から鋭い指摘。だけど、お前も同レベルなんだなこれが。
「何をぼそぼそ喋ってる!」
「いや、あの……すみませんでした」
恫喝されて怯む雑魚が生意気な。
「何だその反抗的な顔は!」
ちくしょう。
「まあまあ、いいじゃないか」
オッサンの横でおじいさんがオッサンを宥めている。
「いや、しかしですねぇ……」
どうやらおじいさんはオッサンの上司のようだ。オッサンたじたじである。
「彼らだって別に悪気があったわけじゃないだろうしね」
悪気しかありませんでした。
「夢を追って新大陸へ、素敵じゃあないか」
どうやらおじいさんは夢見がちなようだ。
「若者の夢!いいじゃないか」
「ですがね……」
「それに彼らを降ろそうにも、もう着いてしまってるんだ。金を払わそうにも無いんじゃしょうがない」
「いや、ですが」
「何、責任くらい私が取る。いいじゃないか」
「じゃあ、しょうがないですね」
オッサンはすらすらと俺達を縛っていた縄を解いた。
「もう悪さすんなよ!」