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第2話
「くー!何で私がこんな目に……」
俺達はあれから数十時間程度ブタや牛と共に船旅を過していた。
「臭いし、うるさいし、気持ち悪いし」
「しょうがないだろ!俺達一応指名手配されてるんだから……」
「誰のせいよ!誰の!」
「俺のせいだけどうるさいよ!見付かったら捕まるんだぞ!」
「くっ、アレフに着いたら覚えてなさいよ」
「そんな事よりそろそろ着くぞ!」
ブーっと出航の時と同じ音が響き渡る。
「やっと、やっとなのね!」
「さっさと脱出するぞ!」
出れるんなら、こんな所一秒でも居たくないんだ。臭いし。
「オイ!お前ら!」
部屋から飛び出るとオッサンに呼び止められた。当たり前だよな、異様に臭いし。
「何よ!!」
「あっ、いや……」
相棒による威喝で怯んだ所で逃げていく。
「いや、待てええええ!」
あっオッサンの怯みが解除されたようだ。
まあ、もう遅いんだけどな。
おっさんとの距離はもう結構ある。このまま駆け抜ければ逃げられそうだ。後は降りる客に混じればいい。
「アバヨ!おっさん!」