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第1話
ブーっと船の汽笛の音が鳴る。
「私達これに乗るの?」
「そうだよ」
船の行く先は魔大陸アレフ。魔王が潜んでいた土地だ。
そして、この船は魔王が討伐されたアレフを開拓するための人材を運ぶための船だ。
「あっちはどうなってるのかな?」
「さあな?」
勿論、俺達は開拓者なんぞでは無い。
「でも、私達を捕まえる人は居ないよね?」
「そりゃな」
俺達は怪盗。まあ、ちょっと格好良さげに言ったが様はコソ泥だ。
「あの時マー君があんな事しなければ……」
「お前だって失敗してんだから言いっこ無しだ」
まあ、責任の五割。いや、もしかしたら七割くらいは俺にあるかもな。
「まあ、いいじゃないか。お前だって新しい土地に行くの好きじゃない」
「行くのは好きだけど行かされるとか行かないといけないとかは嫌いなのよ」
「そんなもんか」
「普通そうよ」
「所でそろそろ諦めはついた?」
「残念なことに、諦めたわよ」
「じゃ、忍び込みましょーか。家畜部屋に」
「はぁ……」
嫌な顔しながらも相棒はそそくさと入っていった。