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小さな玉手箱【二百文字小説集】  作者: つるめぐみ
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十八番

 勤務中のタクシーの中で、客を待ちながらラジオを聴く。

 聴取者の手紙を読みながら思い出の曲を流すという番組だ。

 昨日、妻に良いよと薦めると微笑み返すだけだった。

 帰りが遅いので息子はいつも熟睡だ。

 貧乏で大学にいけなかった俺は、息子は大学にいかせてあげたい。

 頑張らなければ。

「お父さんありがとう。勉強頑張るよ」

 不意にパーソナリティーが告げる息子の名前。

 かかったのは俺の十八番だ。家族でカラオケにいきたくなった。

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