犬耳犬尻尾のTS娘〜これは僕の意思じゃない!〜
床に引かれたベッドに丸まって寝る1人の女の子
ふわふわの茶色の髪の毛に混ざってピンと立った耳が生えていて、更に腰の辺りからもふもふした茶色の尻尾が生えている
今日もお布団が気持ちいいなぁ…お日様も暖かくて…
「ふあぁ…」
ついついアクビが出てしまう。
ぴっこぴっこ
…むむ…また耳が動いた…やっぱり慣れないなぁ…
「あらあら、リンちゃんはおネム?」
「ふみ…まぁ…」
今話しかけてきた人はお母さん…ではなく、友達のお母さんです。何故僕が友達の部屋に居るのかというと…それは1年程前の事
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「……」
「……」
「……」
「……………り…ん…?」
「………はい」
「…女の子に…?」
「なってました…」
「犬耳が…」
「生えてました…」
「尻尾も…?」
「生えてました…」
「でも…凜なのね?」
「そうです」
「わ、わかっ…わかったわ…しっ…信じまっ…信じましょう…!?」
「…ありがとう…!」
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間違えた。これは僕がこの姿になった時の話だった…
あの時こんな姿になってしまった僕を信じてくれた両親には感謝してる。
下手したら本当の捨て犬みたいにみかんのダンボールに入れて捨てられてたかもしれないし…
まあ、動揺は隠し切れてなかったし、暫くぎこちなくはあったけど…
それと、こんな姿じゃ外にも出れないし学校にも行けない。そんな僕を必死に隠してくれて…本当苦労させてるなぁ
引越ししようって話にもなったんだけど、引越してどうなる問題でもないからって事でここに留まる事になった訳だけど…まあ当然学校は退学になって…皆からメールが来たけど、『僕は引きこもりになった』という設定を貫き通したんだ。
…けど、そんな僕の甘えを許さない奴が居た訳で…
それがこの家に住んでる僕の友達の『今井良樹』
毎日毎日僕の家に来て熱烈なアプローチをかけてきた訳ですよ。
『俺に説得させて下さい!』
だの
『必ず元に戻して見せます!』
だの。
で、その熱意に負けたお母さんが全部話しちゃったらしく…
その日から毎日もふもふされました。本人曰く『犬は大好きだし犬娘はもっと好き』だとか。ふざけたやつだ…気に食わない
僕は本当に困ってるってのに…
おっと、話が逸れたね。で…どうしてこの家に居るのかって言うと
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「出張ぅ!?」
「そうなの…パパの仕事の関係でね?パパ1人だと心配だから私も着いて行こうと思って…」
「いや、それはいいけど。そうじゃないよ!なんで僕が良樹の家に行かなきゃならないのさ!僕も連れてけよ!」
「だって…社員寮はペット禁止だし…」
「ペットじゃないよ息子だよ!いや、娘かもしれないけど!」
「もうあっちの家には許可取ってあるし…」
「なんでだよ!本人の意思は!?」
「えぇ?良樹君とずっと一緒に居られるのよ?嬉しいでしょ?」
「嬉しい訳あるか!」
耳:ぴょこぴょこ
尻尾:ぱったぱった
「はいはい。リンは素直じゃないわね…ね?お願い!私達を助けると思って!」
「…むぐぐ…で?いつ出るの?」
「明日かな?」
「明日ぁ!?明日のいつ!?」
「リン?」
「なんだよ」
「……明日って今さ!」
ガシッ!ぴゅーん!
「正月には帰ってくるわ!」
「逃げたぁ!?…くそ!どうなってる!」
…なんか、静かだなぁ…
耳:しゅーん
尻尾:ぺたん
ガチャ
「話はわかったな?さ、俺の家に行くぞ」
「良樹!いつの間に!」
耳:ぴーん
尻尾:ぶんぶんぶんぶん
「ほれ、帽子被る…前にちょっと頭撫でてっと」
んんぅ…
「犬扱いするなー!」
耳:ぴくぴく
尻尾:ぱたぱたぱたぱた
「さ、行くか。今日からお前日俺の家のペットだ!」
「おまっ!少しは僕の話をだなぁ!」
「あーはいはい。」
カチャッ
「……?……首輪!?」
「え?ペットには必需品だろ?」
「ふざっ…ふざけるな!こんな…こんなっ…人間の尊厳を踏みにじるような真似を…!」
耳:ぴーん
尻尾:ぴーん
「だって、俺のペットだって皆に分からせないといけないしな…?」
「だ、誰が良樹のペットだ!認めないぞ!噛むぞ!」
耳:ぴーん
尻尾:ぶんぶん
「異論は無いようだな。さ、行くぞ」
「きゃん!?お前リードまでいつの間に…!」
こんな…本当に僕をペットだと…
耳:ぴーん
尻尾:ぶんぶんぶんぶん
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という訳で強制的にこの家に連れて来られた訳です。
思い返したら腹が立ってきた。皆して僕の意思を無視して進めやがって…!
まぁ、この家は居心地いいし、学校行かなくていいし、楽なんだけどさぁ…
まったくもう…
…?
ぴくっ
そわそわそわ
耳:ぴーん
尻尾:ぱたぱたぱたぱた
「…あら?良樹が帰ってきたのかしら?…本当鋭いわね。リンちゃんレーダー」
てくてくてくてく。
…別にあいつが帰ってこようとどうでもいいんだけどさぁ…なんとなーく分かってしまう訳ですよ…
ガチャ
「ただいま」
「おかえり」
「おー、今日も玄関で出迎えてくれたか…いい子いい子」
なでなで
「…ふん。」
耳:ぴーんぴーん
尻尾:ぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶんぶん
「いい子にしてたか?」
「人ん家に迷惑かける程アホじゃない」
「あ、また人ん家って言ったな?」
ぐいっ
「きゃふっ!」
「だーかーらー…お前は俺の家のペットなの。何も遠慮することないの。分かった?」
「分かった…!分かったからリード引っ張るのやめて…!」
「はいはい」
まったく…家でくらいリード外せよな…室外犬じゃないんだぞ!何が躾だ!
「さてと…じゃ、夕飯ができたら呼んでくれ。俺は寝るから」
「はいはい。じゃーな」
耳:ぺたん
尻尾:しゅーん
(…相変わらず分かりやすい奴…)
…僕ももう一眠りするかな…
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コンコン
「……もう寝ちゃった?」
…あ、寝てる…な。
「いい寝顔ですこと…」
まったく…もう…なんだから…
ぺらっ
「…あったかそー」
もぞもぞ…
最近丸まって寝るのが楽になってきちゃって…こうやって普通に寝るのが久しぶりかも…まったく…困った物だよ…
さてと…おやす…
ぎゅっ
「わふっ!?よ、良樹…起きて…!?」
「…おやすみ」
…あれ?寝ちゃった?
「……おやすみ」
明日もちゃんと帰りを待ってますから
早く帰ってきて下さいね
…ご主人様
この他にもスキンシップとしてされたキスが忘れられなくてもやもやしてるのとか
芸を仕込まれそうになって反発するけれど出来たらご褒美だと言われて頑張ってしまうのとか考えましたが、それはもし次に機会があったらという事で