第4章 20
仙鵠に刃向かった風の民らは風の民の中でも
精鋭だったのに比べ、今回、仙鵠が連れて来たのは
あまり精鋭部隊じゃなかった。
初めは互角に戦っていた仙鵠の手勢だったが
戦い慣れしていた元風の民の軍勢らは
徐々に仙鵠の手勢を打ち倒し、仙鵠を追詰めて行った。
『このままだとマズイ……』
そう思った仙鵠は残った手勢と共に逃げ帰るように
風の里【国】へと戻った。
仙鵠が風の里【国】に戻り、暫くすると仙鵠が領地に
攻め入ったことを知った劉・小狼は仙鵠を追い払う為に
現場に関遼と趙燕を向かわせた。
だが、関遼と趙燕が現場に到着するとそこには
すでに仙鵠の姿はなく、自分らが前回の戦いで捕らえ、
劉・小狼の温情で解放され、風の里【国】へと
風の民らが荒地を開拓していた。
関遼は荒地を懸命に開拓している元風の民の軍勢らに
「おい! お前ら、ここで何をしている?……
里(国)に帰らなくて良いのか?」
と話しかけると元風の民の軍勢だった男の一人は
作業の手を止めると話しかけてきた関遼らの方を向き、
「この国が気に入ったから皆と話し合い、
ここに留まることにしたのですよ……」
と言い、再び、作業に戻ろうとした。
「あの…… 風の里(国)の仙鵠殿が軍勢を率いて、
来ませんでしたか?」
趙燕が仙鵠の軍勢が来なかったか尋ねると
その男は遥か、風の里(国)の方を見ながら、
「さあ……」
と言い、他の者らと共に開拓の作業に戻った。
もと風の民の軍勢の行動に関遼と趙燕は呆気に
取られながら
「どうする?」
と相談した。
相談した結果……
とりあえず、この事を岩厳城に居る劉・小狼らに伝える為に
趙燕をもと風の民の軍勢らの見張り役にその場に残すと
関遼は劉・小狼らのもとに戻った。
岩厳城に戻った関遼はもと風の民の軍勢らが
風の民の里(国)との境の荒地を開拓していることを伝えた。
「そうですか…… ほっといて、 問題はないでしょう!」
郭瑜はもと風の民らのことがわかっていたかのように
まるで問題にしなかった。
関遼が岩厳城の劉・小狼らのもとに報告に行っている間、
もと風の民の軍勢らの様子を趙燕は少し離れた場所で
観察をしていたが別段、そのもと風の民の軍勢らは
不穏な動きはしなかった。
それどころか、少し離れた所で自分らのことを監視している
趙燕のことを優しく、気が付いた。
関遼が岩厳城に戻り、数日経つと岩厳城から趙燕に
撤退命令が下った。
趙燕はもと風の民の軍勢らのもとから立ち去る際に
彼らを纏めているリーダーらしき者らを呼ぶと
「ここは頼んだぞ!」
というとその一帯をもと風の民の軍勢らに任せると
岩厳城へと兵と共に戻った。