第4章 19
岨闇は自分らと共に何故、劉・小狼らの領地に
攻め入らなかったことを堯閣帝に問いただそうと
堯閣帝に書状を送ると数日後、岨闇のもとに堯閣帝から
書状の返事が届いた。
その書状には……
堯閣帝が劉・小狼らの領地に攻め入った仙鵠らと共に
劉・小狼らの領地に攻め入ろうとしたその時。
突如、堯閣帝の龍炎国の都と北方の仮面の男【劉閣】らが
治める領地の境に仮面の男【劉閣】らの軍勢が
押し寄せて来たのだった。
仮面の男【劉閣】らも堯閣帝との領地の境に軍勢を
集結しているだけですぐには堯閣帝の龍炎国へと
攻め入ろうとはしなかった。
だが、堯閣帝が少しでも劉・小狼らの領地に
攻め入ろうとすると仮面の男【劉閣】らも
軍勢を動かそうとした。
そんな事をしているうちに堯閣帝は劉・小狼らの
領地を攻め入る好機を失ったのだった。
仮面の男【劉閣】らの軍勢が堯閣帝の龍炎国との
国境沿いに現れ、堯閣帝が劉・小狼らの領地への侵攻を
阻んだのは全て、郭瑜が事前に黒竜党の臥狼を通し、
堯閣帝の動きを伝え、仮面の男【劉閣】らの所にも
堯閣帝が攻めて来る噂を流した為だった。
まんまと郭瑜の策にかかった仮面の男【劉閣】は
堯閣帝の侵攻を阻む為に軍勢を龍炎国との国境沿いに
集結させたのだった。
龍炎国の国境沿いに軍勢を集結させても
一向に自分の領地へと攻め入る気配がない
堯閣帝の様子を見て、仮面の男【劉閣】は
やっと罠に嵌ったことに気が付いたがすでに遅く、
軍勢を引くに引けない状態になっていて、
堯閣帝が軍勢を引き、やっと自分らの領地へと
戻ることが出来たのだった。
仮面の男【劉閣】が堯閣帝の動きを封じてくれたお陰で
劉・小狼らは仙鵠の率いる風の民の軍勢を
相手をするだけで良かった。
全ての計画を劉・小狼のところの郭瑜によって、
封じられたことを知った仙鵠は
『アイツ【郭瑜】め……』
と激怒し、
「奴【劉・小狼】らの領地へと攻め入るぞ!……」
と言うと
「お、お待ちよ! 準備が……」
岨闇は仙鵠を諌めようとしたが
「わ、わかった……」
一旦は岨闇の進言を受け入れたが怒りが
どうしても収まらなかった仙鵠は自分の手勢を率いて、
再び、劉・小狼らの領地へと攻め入ろうとした。
だが、仙鵠が劉・小狼らの領地へと攻め入ろうとした
その時……
仙鵠の手勢に矢の雨が降り注いできた。
仙鵠の手勢が劉・小狼らの領地へと侵入するのを阻止し、
仙鵠の前に現れたのは前回、劉・小狼らの領地に
置き去りにした風の民らだった。
突然、目の前に現れた風の民らに
「何をしておる! わしだ!」
仙鵠はそう言い、自分らに更に弓を引いて、構えている
風の民らに近付こうとした。
「お動きなさりませんように…… そこから先は
劉・小狼様らの領地です!」
風の民らは仙鵠の足元に矢を射掛けた。
「これはどういうことだ!……」
仙鵠は怖い顔で自分に矢を射掛けてきた
風の民らを睨み付けたが風の民らを率いている
リーダーらしき者は仙鵠を見詰めながら
「前線に我らを置いて、逃げるような者に
もう仕える気は我らにはない! これ以上、許可なく、
劉・小狼様らの領地に攻め入るなら、
我らがお相手をします!」
と言うと再び、弓矢を仙鵠へと向け、構えた。