第4章 17
黒装束に身を包んだ者からそう聴いた黒武侯は
顔色を曇らせながら
「気付かれたかぁ…… しょうがない。別の道から
行くか……」
と独り言を呟くと劉・小狼らと共に天蓋城を抜け出し、
牙狛候との待ち合わせの場所へと向かった。
なんなく、牙狛候との待ち合わせの場所へと
辿り着いた黒武侯は
「牙狛候。敵に気付かれた…… 一刻も早く、国境を
越えないと……」
と牙狛候にそう言うと牙狛候も顔色を曇らせ、
「それはまずい。先を急ごう……」
牙狛候が劉・小狼らと共に先を急ごうと動き出そうとすると
牙狛候らを取り囲むように杜闑の文字が書かれた旗を
棚引かせている兵が突然現れ、劉・小狼らに向けて、
弓矢を構えた。
『や、やばい…… 囲まれた!』
黒武侯らが杜闑の手勢に囲まれ、絶体絶命のピンチに
追い込まれて、動揺しているのを見て、杜闑の配下の
孟膏【もうこう】が
「矢を放て!」
と言うと劉・小狼らを取り囲んでいる兵らに命令を下した。
孟膏の合図と共に一斉に劉・小狼らに矢の雨を降らした。
関遼らは劉・小狼を護りつつ、自分らに降り注ぐ矢を打ち払い、
落としていった。
黒武侯と牙狛候は攻撃を凌いだことに安心していると
「第2弾、来るぞ!」
と関遼が怖い顔で言うとその後に再び、矢の雨が
劉・小狼らに降り注いだ……
次の矢の雨も関遼らの活躍により、凌ぎ切ったが
劉・小狼らは限界だった。
そんな劉・小狼らの様子を見て、孟膏は
「もう一押しだ! 次を行け!」
というと更に劉・小狼らに矢の雨を降らせようとしたが
次の瞬間、孟膏の率いている兵が謎の矢の襲われ、
次々と倒れていった。
孟膏が率いている兵が次々と謎の矢の雨によって、
倒れているのを見た劉・小狼は
「どういうことだ?……」
と驚いていると突如、劉・小狼らがいる横の河から
雷神丸の海賊船が現れた。
雷神丸は海賊船の上から
「小狼さま。お迎えに来ました!」
と劉・小狼らに声をかけてきた。
雷神丸の攻撃により、孟膏が率いている兵が
混乱をしている隙に雷神丸は
「小狼さま。郭瑜様の言いつけで小狼さまらを
お迎えに参りました。 敵が体勢を整える前に早く、
我が船にお乗りください!」
と言い、劉・小狼らを自分の海賊船に乗せると
逃げるようにその場から立ち去った。
郭瑜の機転と雷神丸の絶妙な活躍により、
劉・小狼らは無事に郭瑜が護る岩厳城に戻った。
郭瑜から仙鵠が率いる風の民の軍勢が劉・小狼らが治める
領地に攻めてきたことを報告を受けると
ただちに風の民の軍勢を追い払う為に動き出した。