第4章 15
蒼琥は星迦の城の城門の上から水蓮らが帰るのを見送ると
辺りの気配を気にしながら
「お前らは何者だ?……」
と言うと
「我らは風の民の者で…… 長老である風鵠さまの
お言付けを貴方様に伝えに来ました」
突然、黒い装束に身を包んだ者らが現れた。
風の民と聴いて、警戒心が少し薄れた蒼琥は少し不機嫌そうに
建物内に入りながら
「一体、私に何の用だ?……」
と黒い装束に身を包んだ者らにそう言った。
蒼琥の後を追いかけ、建物の中へと入ってきた黒い装束を
身に纏った者らは
「これより、仙鵠さまは龍炎国の都の堯閣帝と共に
劉・小狼さまらが治めるこの地を攻め獲るつもりです……
蒼琥さまも我らの手助けをするようにだそうです」
と蒼琥に言った。
「わかりました…… だが、仙鵠さまの申し出は受けられぬ
わしは劉・小狼さまらの方に付く!」
蒼琥は腰に携えている劉・小狼から貰った
剣【宝雷剣】を抜くと一瞬にして、
その黒い装束を身に纏った者らを打ち倒した。
だが、寸前のところで一名の黒い装束を身に纏った者を
取り逃した。
「まずいなぁ…… 一刻もはやく、この事を知らせないと……」
蒼琥は直ちに岩厳城にいる郭瑜に早鳥を飛ばし、
危機が迫りつつあることを報せた。
蒼琥から風の仙鵠らの動きの知らせを受けた郭瑜は
「やはり、来たかぁ……」
と劉・小狼らと共に龍炎国の都に付いて行った龐悦に
仙鵠らの動きのことを報せた。
それと同時に郭瑜は劉・小狼が治めている領地の全土に
防御体制を布いたがすでに仙鵠の率いる、風の民の軍勢は
劉・小狼が治める領地の西の一部を奪い取っていた。
しかし、そのことは劉・小狼に使える者らの
誰も気付いていなかった。
その間も仙鵠が率いる、風の民の軍勢は着実に
劉・小狼の治める領地へと侵略して行った。
劉・小狼の息子・劉亮や劉・小狼の妻・水蓮のことが気になり、
蒼琥は彼らのいる李桃に風の民の軍勢が迫りつつある事を報せた。
李桃も岩厳城にいる郭瑜に連絡を取りながら、
防御体制を布いた。
仙鵠が率いる風の民の軍勢が動いたのと呼応するように
堯閣帝も動き出そうとした。
その時、丁度、供の者らを率いた劉・小狼が
龍炎国の都に着いた。
劉・小狼らが龍炎国の都に入ると
「大変です! 小狼さま…… 我が領土に風の民の軍勢が
攻め入ったようです」
と龐悦は劉・小狼に領地に風の民の軍勢が
攻め入ったことを伝えた。
「それは大変だ! 直ちに対策を取れ!」
劉・小狼は龐悦に防御体制を取るように言った。