第4章 12
「大丈夫か? 雷神丸殿。 ここは私らに任せ、
退却し、体勢を立て直せ!」
圧倒的な仮面の男【劉閣】との戦いで
すっかり、息が上がっている雷神丸に劉・小狼はそう言い、
今、仮面の男【劉閣】と戦っている関遼らのもとへと向かった。
「ま、待て! あいつ【劉閣】は俺の相手だ!……」
雷神丸は不満そうに劉・小狼の後を追いかけようとした。
「お待ちください。雷神丸さま……
これは小狼さまの計画です! 雷神丸さまは……」
趙燕は雷神丸に劉・小狼らの計画を説明した。
仮面の男【劉閣】と関遼が戦っている場所に駆けつけた
劉・小狼は腰に携えていた剣で関遼に襲い掛かろうとしている
仮面の男【劉閣】の攻撃を防ぎながら
「今度こそ、決着を付けてくれる!」
と言った。
仮面の男【劉閣】と劉・小狼の剣が交わった時、
爆風に似た風が当たりに吹き抜けた。
威力に両者はそれぞれ、後方に吹き飛ばされた。
仮面の男【劉閣】は自分を吹き飛ばした
劉・小狼らを見ながら、
「ふふふ…… 少しは出来るようになったなぁ……」
と言うと再び、劉・小狼らに襲い掛かってきた。
劉・小狼も関遼も圧倒的な仮面の男の力に
防戦一方になり、徐々に息が上がっていった。
劉・小狼らが仮面の男【劉閣】の攻撃によって、
息が上がっていると突如、三埜宮の関から
狼煙が上がった。
それを確認した劉・小狼は
「関遼。退却をせよ!」
と関遼に言い、仮面の男【劉閣】の攻撃を
受け流しながら、後退をし始めた。
劉・小狼らの様子に気が付いた仮面の男【劉閣】が
「なめやがって!…… トドメをさしてやる!」
と言い、劉・小狼に襲い掛かろうとしたその時……
「た、大変です!……」
韓忌の手下の兵が突然、仮面の男【劉閣】の所に
やって来た。
仮面の男【劉閣】は不機嫌そうに
「ど、どうした?……」
やって来た韓忌の手下の兵にそう聞くと
「た、大変です!…… 本陣が攻撃を受けています!」
韓忌の手下の兵は仮面の男【劉閣】にそう言った。
仮面の男【劉閣】は劉・小狼らの後を追いかけ、
そのまま、攻撃を仕掛けたかったが仕方がなく、
やって来た韓忌の手下の兵と共に韓忌が護っている
本陣へと戻った。
仮面の男【劉閣】が本陣の近くまで戻ってくると
韓忌が護っている本陣は張爛の軍勢と趙燕の軍勢に
前後に挟み撃ちにされ、攻撃を受けていた。
韓忌がいる仮面の男【劉閣】らの本陣が
張爛と趙燕の軍勢に挟み撃ちになっているのを見て、
仮面の男【劉閣】は
「これはマズイ!」
と真っ直ぐに韓忌のもとに向かった。
仮面の男【劉閣】が韓忌のもとに駆けつけると
韓忌は懸命に軍勢に指示を出し、張爛と趙燕の
軍勢を食い止めていた。
「韓忌。もう良い! 岩厳城に戻る……
わしが道を切り開くからお前は軍勢を纏め、
岩厳城へと戻れ!」
仮面の男【劉閣】は韓忌にそう言うと
張爛と趙燕の軍勢に向かって行った。
仮面の男【劉閣】の活躍により、瞬く間に退却用の
道は切り開かれた。
韓忌は直ちに軍勢を纏めると岩厳城へと退却した。




