第4章 9
「お前なんかに負けるか!」
死鏡はそう言うと蒼琥の攻撃を軽々と交わした。
「なんだ? お前は?……」
張爛は突然、自分の事を狙ってきた死鏡に
薙刀のような武器で攻撃を仕掛けたが
「お前は後だ! 大人しくしていろ!」
死鏡はそう言うと張爛の攻撃を片手で受け止めると
張爛を軽々と吹き飛ばした。
「まずはお前からだ!」
死鏡は怖い顔でそう言うと蒼琥に襲い掛かった。
初めは互角に戦っていた蒼琥だったが
全く疲れを知らない死鏡に徐々に追い詰められていった。
死鏡が怖い顔で蒼琥に襲い掛かろうとしたその時……
突然、死鏡の動きが蒼琥の前でぴたりと止まった。
『ど、どうしたんだ?……』
蒼琥が突然、死鏡の動きが動きが止まったことに
戸惑っているとその死鏡の後ろには弓矢を引いた後の
劉・小狼とその仲間達がいた。
『ど、どうして? お前らがここに?……』
死鏡が突然、現れた劉・小狼らに驚きながら
自分の後ろにいる劉・小狼らの方を見ると
劉・小狼はまた弓を引く構えをすると
「蒼琥。思い切りやれ! 後ろは俺たちに任せておけ!」
と蒼琥に言い放った。
死鏡が単独で劉・小狼がいる三埜宮の関へと向かった事は
すぐに仮面の男【劉閣】がいる岩厳城のもとの韓忌に伝わった。
「まずい!……」
韓忌は死鏡のことを聴き、すぐさま、燗壬城へ戻ろうとすると
仮面の男【劉閣】は
「ま、待て! 韓忌。……わしも出る!」
と韓忌に言った。
劉・小狼らが蒼琥と死鏡の戦いを見守っていると
「た、大変です!……」
と三埜宮の関の城壁の見張り兵が慌てて、
劉・小狼らのもとに駆け込んできた。
「ど、どういうことだ?」
龐悦が自分らのもとにやって来た見張り兵にそう尋ねると
劉・小狼らのもとにやって来た見張り兵は
「敵がここに迫って来ています!」
と言った。
死鏡の攻撃を受け流しながら、見張り兵の話を訊いていた
蒼琥は
「行ってください! ここは私が何とかしますから……」
と言った。
「だが……」
劉・小狼が死鏡に押されている蒼琥の姿を見詰めていると
「わ、私がここに残りますから…… 小狼さまらは
敵の迎撃に向かってください!」
孫嘉はそう言うと顔を険しく、戦闘態勢を取った。
劉・小狼らがいる三埜宮の関に仮面の男【劉閣】と
韓忌の軍勢が迫っているのは自分の隠れ家にいた
雷神丸も気付いた。
「お頭。どうするのですか?……
一体、どっちに付くのですか?」
風鬼は三埜宮の関に攻めかかろうとしている
仮面の男【劉閣】らの軍勢を見ながら、
雷神丸にそう尋ねた。
腕組みをし、目を瞑り、少し考え込んだ雷神丸は
決心を固めたかのように目を見開き、
「これより、我らは三埜宮の関の劉・小狼殿らに加勢をし、
燗壬城の側面を全軍を持って攻撃をする!」
と言うと雷神丸の手下らは雄叫びを上げ、
すぐさま、戦闘準備を整えると全軍がそれぞれの海賊船に乗り、
雷神丸の隠れ家から出航し、韓忌が護る燗壬城の側面へと迫った。




