第3章 25
急に陣内が慌しくなった事に陣内を風雅と共に
見て廻っていた蒼琥は
「どうしたんだ? 急に慌しくなったが……」
と呟くように言うと風雅も慌しくなった陣内を見廻しながら
「そうね…… 出陣するみたいね……」
とそう言った。
蒼琥は驚いた顔をしながら
「う、ウソだろう……」
と言い、慌てて、劉・小狼らのもとに急いだ。
今、まさに出陣しようとする劉・小狼らの前に
蒼琥は立ち塞がると
「その出陣、待った!」
と劉・小狼らのことを制止した。
劉・小狼らは突然、自分らの前に息を切らしながら、
現れた蒼琥に驚きながら
「ど、どうしたんだ?……」
と劉・小狼は蒼琥にそう言った。
蒼琥は息を整えながら、
「こ、これはお前達を誘き寄せる罠だ!」
と言うと郭瑜は怖い顔をしながら
「何を言っているのですか!…… 例え、罠としても
こんな機会はないですから私は出陣すべきでしょう!」
と劉・小狼にそう進言をした。
郭瑜らがそんな言い合いをしていると
「何事じゃ?……」
と劉・小狼が支配している南方の領地の各地を視察に
行っていた龐悦が劉・小狼らのもとに戻ってきた。
視察から戻った龐悦は今まさに出陣しようとしている
劉・小狼らを見ながら、
「小狼さま。どちらにお出かけで?……」
と劉・小狼に尋ねた。
劉・小狼の横に付き添い、劉・小狼らと共に
出陣しようとしている郭瑜が
「三埜宮の関から敵の大将【虎王丸】が出陣したそうだから、
一気に攻めるのだ!」
と龐悦に言った。
龐悦は今にも出陣しようとして焦っている郭瑜を
訂正に見詰めながら
「郭瑜。お前が小狼さまのお傍にいて、
何故、そんなに出陣を焦る……」
と言った。
郭瑜は言い返したかったが龐悦が言っている事が
的を得ていて、言い返すことが出来ず、押し黙った。
龐悦は趙燕を虎王丸が出陣してきた所に防衛のために
先に向かわせると劉・小狼を含め、他の仲間らと共に
再び、劉・小狼の陣幕内に戻ると
「で…… 三埜宮の関から出陣してきた
敵【虎王丸】の戦力は?」
と状況の説明のために残った兵士にそう尋ねた。
「三埜宮の関から出陣してきた敵【虎王丸】の数は
約1千ほど……」
その兵士がそう言うと龐悦は顔色を曇らせ、
三埜宮の関の周辺の地図を覗き込むように見詰めながら
「それは少し可笑しいですね! 三埜宮の関の総勢が
1千ほどとは…… これは先ほどの者【蒼琥】が言ったように
何かの罠かもしれませんな…… もう一度、三埜宮の関を
偵察した方が良いかもしれませんね」
と劉・小狼にそう進言した。
少し考えた劉・小狼は速急に三埜宮の関に偵察を送り、
三埜宮の関を偵察する事にした。




