第3章 23
孫嘉が張り続けている結界【バリア】も限界が近付き、
『もうダメだ!』
と諦めかけたその時……
孫嘉らの後ろから数本の矢が飛んできて、
孫嘉らに襲い掛かっている虎王丸の偵察兵を
一瞬にして、射抜いた。
孫嘉らが何が起こったのかわからず、呆然としていると
「孫嘉殿。大丈夫でござるか!」
孫嘉らの前に趙燕が駆け寄ってきた。
駆け寄ってきた趙燕にホッとしながら、
「趙燕殿でしたか…… 私らを助けてくれたのは……」
と孫嘉が趙燕にそう言うと趙燕は
「いいえ。私ではありません。助けたのは……」
と言うと自分が走ってきた方を見た。
そこには関遼と張爛を伴った劉・小狼の姿があった。
劉・小狼らの姿を見て、安心したのか、その場に孫嘉に
崩れのように倒れ込もうとした。
そんな孫嘉を劉・小狼は見ながら
「大丈夫か?…… よく持ち堪えたな!」
と孫嘉のことを労った。
関遼は辺りを警戒をしながら
「新手が現れるといけないからとりあえず、
陣に戻りましょう!……」
と言い、自分らの陣に戻ろうとしたその時……
様子を窺っていた蒼琥が
「お前らは一体、何者だ? ここいらを荒らしている
山賊か?……」
と言い、劉・小狼に襲い掛かろうとした。
「バカ! やめろ!」
孫嘉が蒼琥を諌めようとしたその時、すでに蒼琥は
劉・小狼に襲い掛かっていた。
「危ない!……」
関遼と張爛は蒼琥の攻撃から劉・小狼の前に
一斉に立ち塞がり、劉・小狼の事を護ろうとしたが
劉・小狼は
「だ、大丈夫だ!……」
と言うと関遼と張爛の間から前に歩み出ると
自分に攻撃を仕掛けて来ている蒼琥と対峙した次の瞬間、
劉・小狼に攻撃を仕掛けていた蒼琥は何かにぶつかったのか、
後ろに吹き飛ばされた。
劉・小狼は居合い抜きをした格好のままで吹き飛ばれ、
気を失っている蒼琥を見ながら
「帰るぞ! その者【蒼琥】も陣に連れて来い!」
と言うと剣を腰に携えている鞘に戻すと
関遼と張爛と共にその場から立ち去った。
次に蒼琥が気がつくと蒼琥は見覚えのない
陣幕の中のベットのような所に寝かされていた。
『ここは何処だ?』
蒼琥が自分のいる場所がわからず、辺りを見回していると
「だ、大丈夫?…… 無茶しないでよ!
貴方があの人【劉・小狼】に敵うはずがないでしょ」
と言い、風雅が蒼琥がいる陣幕の中へと入ってきた。
「一体、アイツ【劉・小狼】は何者なのだ?」
蒼琥は自分のいる陣幕の中に入ってきた風雅に
自分の事を一撃で倒した劉・小狼の事を尋ねた。
「説明するより、見た方が早いわ……」
風雅はそう言うと蒼琥がいる陣幕の入り口を開け、
外の風景を蒼琥に見せた。




