第3章 21
劉・小狼が怪しみながら、三埜宮の関に軍勢を進めると
劉・小狼の軍勢の先鋒が三埜宮の関の前に差し掛かった時に
突然、三埜宮の関の城壁の上に仮面の男【劉閣】が差し向けた
虎王丸とその手勢が現れ、
「放て!……」
と言い、一斉に劉・小狼の軍勢の先鋒に 目掛け、
無数の矢を射掛けた。
突然の奇襲に劉・小狼の先鋒は壊滅状態となり、
その兵を引いた。
手酷くやれた兵を見ながら、龐悦は
「やはり、兵がおったか…… さて、どう攻める? 郭瑜」
と同じように手酷くやられた兵を見ていた
郭瑜にそう言った。
劉・小狼の軍勢が龍炎国の都の近くの三埜宮の関で足止めを
喰らっている頃……
風雅から龍炎国の都の惨状を聴いた孫嘉は
「そうであったか…… なら、堯閣帝などの協力は
無理のようだな…… では、その事を一刻も早く、小狼さまに
伝えないと……」
と言い、風雅のもとから立ち去ろうとすると
「孫嘉殿。お待ちを…… 私も一緒にお供します!」
と言い、孫嘉の前に黒武侯が現れた。
突然、現れた黒武侯に孫嘉は驚きながら
「そ、それはなりません…… 小狼さまもそなたらが
堯閣帝のお傍にいるのを望んでいるはずですから……」
というと黒武侯は険しい顔をしながら
「ですが、このままでは小狼殿が龍炎国の都を
あの仮面の男らから奪うのは難しいのでは?……」
というと黒武侯と孫嘉の話を聴いていた
風雅が意を決したかのように
「じゃあ。私が一緒に行くわ!」
と孫嘉らに言った。
「そ、それは……」
孫嘉は驚いた顔で風雅のことを見詰めた。
孫嘉と堯閣帝らは風雅に残るように説得をしたが
風雅の意志は固く、孫嘉はその意志の固さに折れ、
風雅を共に連れて行くことにした。
だが、そのことを面白くなさそうに見詰める視線があった。
数日後。
出発の準備が整った孫嘉は
「これから旅立ちます! お二方もお体に気をつけ、
ご達者に……」
と堯閣帝と仙鵠に挨拶をすると風雅を伴い、
劉・小狼らのもとに出発をした。
その事は偵察の者らによって、龍炎国の都にいる韓忌に
すぐに伝えられた。
韓忌の命(令)を受け、怪しげな影の者らが孫嘉と風雅を
暗殺する為に動き出した。
そんな頃、孫嘉と風雅は風の民の都(里)と龍炎国の都の間で
野宿をしていた。
「ここの越えれば、小狼さまの所まですぐでしょう……」
孫嘉は風雅と夕食を食べながら、風雅に言っている間に
韓忌が影の者らは密かに孫嘉らに迫っていた。
タイミングを合わせ、影の者らが一斉に孫嘉らに
襲い掛かろうとしたその時……
影の者らの一人の周りに旋風が起こったかと思うと
その影の者の一人は息を絶え、孫嘉らの前に落ちた。




