第3章 19
仮面の男【劉閣】らが黒竜党の臥狼を攻めようとしていた
その時……
そんな仮面の男【劉閣】らの動きを詠んでいた
劉・小狼の郭瑜らは龍炎国の都から追われた
堯閣帝らの行方を孫嘉は探していた。
郭瑜らの考えは仮面の男【劉閣】らが北方の黒竜党の臥狼を
攻めている間に堯閣帝らと協力して、龍炎国の都を
取り戻そうとしていたのだった。
孫嘉が堯閣帝らを探している間、劉・小狼らも
仮面の男【劉閣】らに孫嘉の動きを悟られないように
龍炎国の都に目指し、軍勢を動かし始めた。
孫嘉が堯閣らを探し、龍炎国の都から遥か西の山岳地帯に
差し掛かったその時、突然の突風に襲われた。
『これは敵わぬ!……』
あまりの突風に進むことが出来なくなった孫嘉は
何処かに避難しようとしたその時……
そんな孫嘉に向け、無数の矢が飛んで来た。
『や、やられる……』
孫嘉が飛んで来た矢に射抜かれると思ったその時、
孫嘉に飛んで来た矢が一瞬にして、真っ二つになり、
地上に落ちた。
「蒼琥【そうこ】殿その者は我らの仲間です」
谷間から聞き覚えのある声が聴こえてきた。
「ウソをつけ! その者は我らの地を奪いに来た
都の者だろう!」
同じ谷間から蒼琥という者の声が聴こえてきた。
蒼琥は風を操り、孫嘉の前に近付くと持っていた剣を
孫嘉の喉元に突きつけると
「とっととこの地から立ち去れ! さもないと命がないぞ!」
と怖い顔で孫嘉のことを睨み付けた。
「な、何をやっているんだ! 蒼琥殿」
牙狛候は慌てて、姿を現すと孫嘉の前に立ち塞がった。
「蒼琥殿。さっき、言ったようにその者は我らの仲間だ。
その剣を下げてください」
牙狛候が怖い顔で蒼琥と言い争っていると
「何事ですか!?……」
堯閣帝を伴い、仙鵠【せんこく】が現れた。
仙鵠は孫嘉と牙狛候と対峙し、剣を突きつけている
蒼琥を見ながら
「何の騒ぎだ! 蒼琥」
と蒼琥のことをしかりつけた。
仙鵠の横にいた堯閣帝は剣を向けられている
孫嘉の姿を見つけると
「おおぉ…… そなたは孫嘉殿ではないか……
こんな辺境の地になに用だ?」
と孫嘉に声をかけた。
孫嘉は片膝を付き、堯閣帝に対して、深々と平伏すると
「これは堯閣帝さま。我が主の劉・小狼の使いで
参りました!……」
と堯閣帝に言った。
蒼琥は不満だったが仙鵠は孫嘉を客人として、
自分らの都【里】・風紋郷に招き入れた。
仙鵠らの都【里】・風紋郷に招かれた孫嘉は
「これは我が主から預かってきた書状です!」
と堯閣帝と仙鵠にそれぞれ、劉・小狼からの書状を手渡した。




