7
暫くすると、張爛は高いいびきをかき、
寝入ってしまった。
関遼はそんな張爛を横目で見ながら、
「この水轍を抜ければ、洵嬌の沙隆まで
もうすぐです…… この先は山賊などが頻繁に
出没する危険な所になるからここで武器など、
装備を整えましょう……」
と言った。
「そ、そうですか…… 任せます!」
劉・小狼は関遼が言った言葉に途端に顔を強張らせた。
その日はそのまま、宿屋で休み、翌日、劉・小狼らは
街で武器などの装備を買い揃えた。
劉・小狼は水轍の街の大きさに気を取られていると
いつの間にか、関遼らと逸れてしまった。
劉・小狼が何処に行って良いのかわからず、
水轍の街を彷徨っていると裏通りから
「ねぇ。お嬢ちゃん…… 俺たちと遊ぼうよ!」
と言う男達の騒ぐ声が聴こえて来た。
劉・小狼がその男達が聴こえた裏通りに行くと
そこには数人の男達が一人の少女を取り囲んでいた。
「や、やめてください……」
その少女は必死に自分を取り囲んでいる男達から
逃げ出そうとしていた。
だが、男達のガードは固く、少女は中々、男達から
逃れる事ができなかった。
「良いじゃないか…… 俺達と楽しもうじゃないか……」
男達の一人が少女の手を掴んだ瞬間、その男へと
小さな石が飛んできて、ぶつかった。
「い、痛いなぁ…… 誰だ!」
男が少女の手を掴んだまま、石が飛んで来た方を
振り返るとそこには更に男達に向かって、石を投げつけている
劉・小狼の姿があった。
「僕…… そこで何をしているのかな?」
男達は怖い顔をし、持っていた剣を構えながら、
劉・小狼に向かってきた。
劉・小狼も腰に携えていた剣を抜き、構えると
怯え立ち尽くしている少女に向かって、
「早く、ここから逃げるんだ!……」
と叫ぶと震えた身体で小さく頷くと少女は
その場から走り去った。
男達がまさに青年の劉・小狼に切りかかろうとした
その時……
「お主ら、その人を傷付けたら、死ぬよ!……」
という声が何処から聴こえてきた。
男達は立ち止まり、辺りを見回しながら、
「だ、誰だ!……」
と言うと黒いフードを被った小柄な老婆が
家の軒先に立っていた。
「うるさいなぁ…… こんな小僧を傷つけて、
俺達が死ぬ訳がないだろう!…… 引っ込んでいろ!」
男達がそう言い、再び、劉・小狼に切りかかろうとした
その時、強い衝撃をと共に男達の剣が劉・小狼の前で止まった。
「ここにいたか?……」
そんな声と共に劉・小狼が目の前を見ると劉・小狼の前には
男らの剣を持っている蛇型の槍で張爛は一人で受け止めていた。
「何者だ!……」
男達は力任せに一気に押し切ろうとしたが
「うるさいわ!雑魚は引っ込んでいろ!」
と張爛は逆に男達を一気に吹き飛ばした。
「ご、ご無事ですか?……」
張爛が男達を一瞬に吹き飛ばすと関遼はそう言い、
さっき、劉・小狼が助けた少女を横に連れて、
劉・小狼らの前に現れた。
劉・小狼は自分が助けた少女が無事だったのに安心し、
構えていた剣を解くと張爛が吹き飛ばした男らが
よろめきながら、立ち上がってきた。