第3章 17
劉・小狼はそのまま、数時間の間、
李桃とたわいもない話をした。
李桃とたわいもない話をした劉・小狼は
「では、私はそろそろ、陣に戻ります。
また、何か、困ったことがありましたら、
いつでもお声をかけてください。
出来る限りのご協力をしますから……」
と言うとそのまま、李桃のもとから立ち去った。
『どういうことだ?…… 何故、わしを捕らえぬ?』
李桃は劉・小狼の敵であろうと何の隔たりもない行動に
混乱をしていると
「あれがこの地の本当の真の王の姿だ!……
で、お前はどうする? 敵として、真の王に刃向かうか?
それとも……」
劉儀は李桃にそう言った。
李桃はわからなくなっていた。
仮面の男が李桃が統括する地を離れる時に
『この地を後からやってくる者らはこの地を
自分らのモノにする悪い奴らだ!』
と言われていたから……
だが、実際、劉・小狼と会ってみると
仮面の男らが言っていた事とは随分、違っていた。
「本当にアイツらは悪い奴らなのだろうか?……
あの者らの方が悪かったようだが……」
李桃は段々と散々と自分が統括するこの地を荒らし、
去っていった仮面の男あらの方が悪い奴らに思えてきた。
翌日、李桃は早速、行動した。
李桃は翌日、劉・小狼軍が廻った自分の統括する
領地の村々を廻ると村人らは飢えなどから解放され、
楽しげな笑みを浮かべていた。
そんな村人らの笑顔を見て、李桃の決心は決まった。
その足で李桃は劉・小狼軍のもとに向かった。
自分がいる劉・小狼の軍地に突然、現れた李桃に
張爛は
「な、何しに来た!…… 俺との決着をつけにきたのか?」
と言い、持っていた武器を李桃に向け、構えた。
だが、李桃は少しも慌てることなく、
「劉・小狼殿は居られますか?……
いらっしゃるなら、お会いしたいのですが……
いらっしゃいますか?」
と張爛にそう言った。
張爛と李桃がそんな言い合いをしていると陣幕の奥から
「何の騒ぎですか?……」
と郭瑜と劉・小狼が一緒に現れた。
その途端、李桃は劉・小狼の前に片膝を付いて、
座り込み、平伏した。
李桃のことに気が付いた劉・小狼は
「どうかしましたか? 李桃殿」
と自分に平伏している李桃にそう声をかけた。
李桃は更に劉・小狼に平伏し、
「私はそなたらの行動に感服いたしました。
これより、私めのお仲間の端に加えて欲しく、
馳せ散じました…… 何卒、私めを……」
と言いかけると李桃に近寄った郭瑜は
李桃の手を取り、
「私らこそ、宜しくお願いいたします!」
と言い、李桃が仲間に加わる事を認めた。




