第3章 15
決意を決めた劉・小狼は翌朝、劉儀がいる
近くの荒寺に一人で向かった。
劉儀は劉・小狼が自分のいる、荒寺にやって来た事に
気付くと本堂の中から出て
「よくぞ、お越しを…… その顔は決心が決まったようですね!
まあ、まずは中に……」
というと劉・小狼を今まで自分がいた、荒寺の
本堂の中へと招き入れた。
荒寺の中に招き入れられた劉・小狼は本堂内に座ると
劉儀は劉・小狼の決意のある、顔を見るなり、
「さてされ…… これからそなたらはどう進みますか?」
と劉・小狼にそう尋ねた。
劉・小狼は懐から刻神の印を取り出すと劉儀の前に置くと
「我らはこれから失われた刻神の地をとりもどします!」
と言った。
劉儀は劉・小狼が差し出した刻神の印をじっと見詰めながら
「そしたら、そなたらは今のこの地の王・堯閣帝は
見捨てるのであるな?」
というと
「それは違います! 我らは失われた刻神の地を取り戻しつつ、
堯閣帝を助ける方法を仲間の者らと共に考え、進んでいくつもりです!」
劉・小狼はそう言うと差し出した刻神の印を
再び、懐の中に仕舞うと荒寺の本堂から出て行こうとした。
「ちょ、ちょっと待ってください!……」
劉儀も決心を固めた顔をし、立ち去ろうとしている
劉・小狼を呼び止めた。
劉・小狼が荒寺の本堂の入り口で立ち止まり、
自分(劉儀)の方に振り向くと劉儀は自分の後ろに
隠し持っていた1本の剣を劉・小狼の前に差し出した。
劉・小狼はその差し出した剣を挟んで劉儀と向かい合って、
再び座ると
「そ、その剣は?……」
と劉儀に差し出した剣の事を聴いた。
劉儀は差し出した剣を手に取り、剣を鞘から少し抜くと
ボワッ……
と検圧に似た風圧を感じた。
劉儀はすぐさま、剣を元の鞘に収めると
再び、剣を劉・小狼の前に置き、
「この剣はかつて、この地を収めていた王が持っていたモノ……
そなたが仲間と共にこの地を取り戻すと言うなら、
この剣を持っていくが良いぞ!」
と言った。
劉儀から剣【双牙】を受け取った劉・小狼は
「一つ、劉儀殿にお頼みしたいことがありまして……」
と劉儀にそう言うと劉儀は劉・小狼が言いたい事がわかるのか、
「言わなくてもわかります! あの者【李桃】を仲間に
引き入れたいのでしょ?」
と劉・小狼に言った。
劉・小狼は自分が言いたい事を劉儀に言い当てられ、
驚きながらも、小さく頷いた。
劉儀は少し顔を曇らせ、
「あの者【李桃】を仲間に引き入れるのは
少し難しいかもしれません…… だが、そなたの頼みです。
やってみましょう!」
と言うと劉・小狼を陣に返した。




