第3章 14
劉・小狼はまだ、手に持っている刻神の印と
堯閣帝の手紙を郭瑜に見せながら
「さっきの者(劉儀)にこのモノは
相反する物だと言われた……」
と言った。
郭瑜は劉・小狼が差し出した刻神の印と
堯閣帝の手紙を見ながら
「そうですか……」
と言うと劉・小狼は郭瑜のことを見ながら
「こうも言われた…… わしが選ぶ道を間違えると
そなたらを失うと……」
と言った。
郭瑜は劉・小狼のことを一瞬見て、少し離れ、
休息を取る自分らに付き従ってきた民を見ながら
「小狼さまはどうなさりたいのですか?……
私らはそれに付き従うだけです。他でもない。
私ら自身が選んだ事なんですから……
危険やこんな事は初めからわかっていた事です……
あそこの民らも小狼さまの人柄などに引かれ、
ここに付き従っているのです。誰の強制でもない
自由な心で……」
と言った。
それを聴いた劉・小狼は心に立ち込めていた不安などが
霧が晴れるようにハッと晴れた。
劉・小狼は郭瑜のそんな一言で決心が決まったのか、
「郭瑜!皆をすぐに集めてくれ!」
と郭瑜を見据えたまま、そう言った。
いつも無い真剣な表情の劉・小狼に郭瑜は
「わ、わかりました!」
と言うと直ちに付き従ってきた民を含め、
関遼らを劉・小狼のもとに集めた。
劉・小狼は自分の前に集まった者らを見ると
刻神の印を握り締めながら
「これから我らは亡き刻神が失ったこの龍炎国を取り戻す!
反対な者は私のもとから去れ!」
と強い眼差しで集まった者らにそう言ったが誰一人として、
劉・小狼のもとから去る者はいなかった。
逆に集まった者らは全て、強い意志を固めたようだった。
付き従っている民らを下がらせた後、仲間だけになると
郭瑜は
「さて。これからどうなさりますか? このまま、堯閣帝を
お救いしますか?……」
と劉・小狼に尋ねた。
「う~む……」
劉・小狼が答えに困ると龐悦が
「一先ず、堯閣帝をお救いする姿勢を見せつつ、
まずは仮面の男らによって、荒らさせたここいらの地域を安定させ、
我らの地盤を固めるの宜しいかと……」
と進言した。
郭瑜も含めて、他の者らも龐悦の意見に賛成した。
「なら、まずはあいつ(李桃)をどうにかしないと……」
張爛は鼻息も荒く、そう言った。
「待てください! その者(李桃)、この辺の情勢に
詳しそうです…… どうにか、我らの仲間に引き
入れられないでしょうか?」
郭瑜が李桃を仲間に入れる事を進言すると
少し考えた劉・小狼は
「その事は一旦、私に預けてくれぬか?」
と言った。




