第3章 2
突然、智龍侯の領地に攻め入った牙狛侯に
一緒に連れて来た我箕の民達は大混乱になり、騒ぎ出した。
だが、劉・小狼は焦ってなかった。
「直ちに智龍侯の居城・頭臥山に民らを移せ!……」
と関遼らに命じた。
関遼らが手早く、智龍侯の居城・頭臥山の麓の城下町にいる
民と共に自分らの連れて来た我箕の民を智龍侯の居城・頭臥山に
移していると郭瑜と庖悦が劉・小狼のもとにやって来て、
「このまま、篭城しても牙狛侯の手勢には勝てないでしょう!
ここは今のうちに牙狛侯を迎え撃つ策を
いくつか撃っておくべきかと……」
と郭瑜は劉・小狼にそう進言した。
腕組みをし、少し考え込んだ劉・小狼は
「任せる!」
というと郭瑜と庖悦はお互いを見合わせると
「早速、策を講じます!」
というと劉・小狼の前から立ち去った。
郭瑜は庖悦と共に自分の陣幕の中に戻ると
「さて。どうするか?……」
と庖悦は郭瑜に言った。
郭瑜は机のような台の上に広げられた水霞曉の
勢力図を見ながら
「牙狛侯はすぐにはこの智龍侯の居城・頭臥山には
攻めて来ないだろう…… まずは近くの主要な城から
占領をしてゆっくりとこの頭臥山に近付くだろう……」
と言った。
庖悦も机のような台の上に広げられいる水霞曉の
勢力図を見ながら
「なら、策は決まったなぁ……」
と言うと郭瑜を見た。
郭瑜は関遼を自分の陣幕内に呼ぶと
「これより、この庖悦殿と共に ここから北方にある
典雅壌に攻めて来た牙狛侯を
迎え撃つ為に向かってくれませんか?……
小狼さまの許可は貰っていますから……」
と言うと
「わ、わかりました!」
関遼はそう言うとすぐさま、庖悦と共に
智龍侯の居城・頭臥山から北方にある典雅壌へと向かった。
続けて、郭瑜は自分の陣幕内に張爛と趙燕を読んだ。
郭瑜は張爛と趙燕にもそれぞれ、頭臥山の東北と
西北の娯彌城と差斑園に
手紙を持たせ、向かわせた。
郭瑜が牙狛侯への対策を立ている頃……
我箕に沙隆から劉・小狼らを追ってきた水蓮がいた。
「すみません! 誰か、いませんか?……」
堅く閉ざされている城門に水蓮は大声で叫んだが
我箕から何も反応がなかった。
そんな我箕にはもう一人、女性がいた。
刻神が亡くなり、行き場所がなくなった風雅だった。
風雅は城門の上から下で叫んでいる水蓮に向かって、
「この者なら、もうとっくに旅立ったぞ!……」
と言った。
「そ、そんなぁ……」
水蓮はがっかりし、肩を落とした。
そんながっかりした水蓮を我箕の城門の上から
見下ろすように見詰めていた風雅は
「アイツ(劉・小狼)らのもとに行きたいのか?」
と水蓮に訊いた。




