第2章 26
牙狛侯は劉・小狼らを追いかけるべく、
親交がある龐炎侯への領地へとの境へと向かった。
牙狛侯が龐炎侯へとの境まで来るとそこには龐炎侯が
手勢を率いて、待ち構えていた。
牙狛侯は龐炎侯の前で立ち止まると
「龐炎侯! すみませんがそなたの領地を
通してもらえぬか?」
と龐炎侯に言い、龐炎侯の領地へと進もうとしたその時……
龐炎侯が率いていた手勢が牙狛侯の軍勢に向けて、
持っていた火縄銃のようなモノ【蓬莱】を構えた。
牙狛侯は突然、自分に火縄銃のような蓬莱を向けてきた
龐炎侯に
「な、何の真似だ! 龐炎侯」
というと
「牙狛侯。 舜炎帝は貴殿の今回の勝手な行動に
大変、ご立腹です! 自分の城に戻り、謹慎しておくことが
舜炎侯からの命(令)です!」
龐炎侯の傍から舜炎帝の側近の河馬【かば】が現れ、
牙狛侯にそう言った。
『ここもか!』
牙狛侯がそう思っていると龐炎侯の手勢は持っていた
蓬莱の引き金に指をかけ、牙狛侯の軍勢に照準を合わせた。
流石に蓬莱で狙い撃ちにされたら、いくら、牙狛侯の軍勢でも
ひとたまりのないと思った牙狛侯は全軍に撤退を命じた。
未だに劉・小狼らを追う事が出来ずにいた牙狛侯は
『やもえぬ! 遠回りになるが北に進むか?』
と言い、自分の軍勢を4侯の一人・黒武侯が治めている
北の地へと進めた。
牙狛侯が黒武侯の領地との境までやって来ると領地との境に
黒武侯とその手勢が待ち構えていた。
『ここもか!』
牙狛侯がそう思い、軍勢の歩みを止めると黒武侯の脇から
舜炎帝の側近の天豚が現れ、
「牙狛侯。 軍勢を率いて、何処に向かうつもりですか?
居城にお戻りになり、ご謹慎してください!」
と牙狛侯にそう言った。
牙狛侯は諦めて、自分の居城へと戻ろうとしたその時……
突然、黒武侯が
「牙狛侯! そなたのその行動に正義はあるのか?」
とその場から立ち去ろうとする牙狛侯にそう声をかけた。
『えっ?……』
牙狛侯が驚いた顔で黒武侯の方に振り返ると
黒武侯は自分の腰に携えていた剣を抜き、
横にいる天豚の喉元にその剣を突き立てながら
「お主がもし、本気ならこの黒武侯が加勢をしよう!」
と牙狛侯に言った。
義理堅く、いつも冷静沈着で4侯の中でリーダー的な
黒武侯のそんな突然の行動に牙狛侯は驚いたが
「お願い申す!」
と自分の率いている軍勢と共に黒武侯の前に平伏し、
深々と頭を下げた。
それを見た黒武侯は大きく頷くと今度は横にいる
天豚を見ながら
「わしは牙狛侯に付いた! さて。お主はどうする?
このまま、ここで我らと戦い、散るか?
それとも我らに加わるか?」
と天豚の喉元に剣を突きたてたまま、天豚を脅した。




