第2章 23
堯閣帝の前に現れた白い隼は大きく羽を羽ばたかせると
「我は我箕の劉・小狼からの使い魔! 劉・小狼からの
伝言を伝えるぞ!」
と突然、話し始めた。
堯閣帝らは突然、目の前で話し始めた白い隼に驚いていると
白い隼は
「我箕の劉・小狼はこれより堯閣帝を助けるべく、
救援の兵を送る!……」
と続けて、そう言った。
「そ、それは本当か?……」
堯閣帝は目の前の白い隼の言った事に大いに喜んだ。
白い隼が龍炎国の首都・天殊で劉・小狼の伝言を
堯閣帝に伝えている頃……
我箕では郭瑜の指揮のもと、龍炎国へと向かう
準備が進んでいた。
そんな中、劉・小狼は浮かない顔をしていた。
それに気付いた郭瑜は
「どうかなされましたか?……」
と声をかけた。
劉・小狼は少し躊躇しながら
「このまま、舜炎帝や世話になった者らに
何も言わずにこの地を立ち去って良いのだろうか?……」
と郭瑜に告げた。
劉・小狼の言葉に少し考え込んだ郭瑜は
「なら、その者らに別れの手紙を出されては?……」
と進言した。
劉・小狼は郭瑜の進言を聴き、直ちに舜炎帝や智龍侯・孔游などに
別れの手紙を出した。
劉・小狼が各地に出した手紙の中で一番、早く孔游の元に
劉・小狼の手紙が届いた。
「な、何事じゃ?……」
孔游が突然、劉・小狼からの手紙に驚きながも、
孔游は劉・小狼からの手紙を詠んだ。
そこには劉・小狼らが我箕から去る無礼を詫びる事が
綴られていた。
孔游は劉・小狼から送られてきた手紙の内容を見て、驚いた。
どうして良いのかわからず、孔游が困っているのを見て、
透徹は
「ど、どうなさったのですか?」
と孔游に訊いた。
孔游は少し困った顔をし、
「実はなぁ…… 劉・小狼殿らが我箕を離れ、龍炎国の堯閣帝の
救援に単独で向かうそうだ……」
と言うと透徹は驚いた顔をし、
「よ、宜しいのですか? あの方【劉・小狼】らを
このまま、龍炎国に行かせて……」
と孔游に聞き返した。
「う~む……」
孔游が答えに困っていると孔游らの話を聴いていた月影が
「ほっとくのです…… これはあの方【劉・小狼】の
運命のだから……」
と言い、孔游らのもとにやって来た。
孔游は突然、現れた月影に驚いた顔をしながら
「は、母上。 それはどういうことですか?……」
と月影にそう言うと月影は孔游の前の椅子に腰掛けると
「あの者【劉・小狼】は間違えなく、王の資質を持つ者だ!
彼【劉・小狼】らが龍炎国に向かうのは避けられぬことじゃ……」
と言った。
それを聴いていた水蓮は
『小狼さまが……』
と劉・小狼が水霞曉からいなくなると思い、
身の回りの荷物を纏めると劉・小狼がいる我箕へと向かった。
水蓮が劉・小狼のもとに向かっている頃……
海月宴の舜炎帝のもとにも劉・小狼からの
我箕を立ち去る詫びの手紙が届いていた。




