第2章 22
孫嘉が我箕の城で刻神が託した印を劉・小狼に渡し、
劉・小狼らに刻神が亡くなった事を伝えている頃……
仮面の男【劉閣】は龍炎国の北部をほぼ、手に入れていた。
龍炎国の北部と中部のちょうど、中間にある揮騎【きき】の城に
仮面の男【劉閣】らはいた。韓忌は龍炎国の地図を前に
「さて。これからどうしますか?…… ここの城から南下すれば、
目的の水霞曉まですぐですが…… これより西に進めば、
この国の都ですが……」
と仮面の男【劉閣】にそう言った。
少し、龍炎国の地図を見ながら、考え込んだ仮面の男【劉閣】は
「このまま、西に向かおう……」
と韓忌に言った。
「よ、宜しいのですか?……」
韓忌が驚いた顔で仮面の男【劉閣】に聞き返すと
「まずは兵力を集めないと……」
仮面の男【劉閣】はそう言うと韓忌の前から立ち去った。
「そ、そうか…… 刻神皇が亡くなったが…… 堯閣帝から
龍炎国を奪われてから何処かへと姿をお隠しになったとは
話で聴いていたが…… まさか、この水霞曉に
来ていらしたとは……」
劉・小狼は少し落ち込んだ風にそう言うと
郭瑜と庖悦は険しい顔をしながら、
「こ、これはまずい事になりました……
このことが皆に知れれば、この世は再び、動乱となるでしょう……」
と郭瑜はそう呟いた。
そんな郭瑜の話を聴き、劉・小狼も一気に顔色を変えると
「この世が再び、動乱になることだけは避けなければ……」
とそう呟いた。
孫嘉はこの世を再び、動乱にさせぬ為に劉・小狼に力を
貸すことにした。
孫嘉が劉・小狼の仲間に加わった頃。
仮面の男【劉閣】らは龍炎国の都・天殊【てんしゅ】を
残すだけになっていた。
『このままだとこの龍炎国は……』
龍炎国の堯閣帝がそう諦めかけたその時……
堯閣帝の前に智龍侯の参謀・燦牙が現れた。
燦牙は今にも陥落しそうな天殊に哀しむ堯閣帝を見ながら
「この度、舜炎帝からの返答をお伝いにきました……」
というと堯閣帝は途端に顔色を変え、
「で?…… 返答は?……」
と燦牙に訊いた。
燦牙は堯閣帝から顔を背けると
「大変、申し上げ難いのですが…… 水霞堯からの援軍は
難しいかと……」
と堯閣帝にそう告げた。
それを聴いた堯閣帝は途端に顔色を変え、
「ど、どういうことだ?…… なぜ、水霞堯から
援軍が来ない…… 舜炎帝にはわしの手紙は届いているのか?」
と慌てて、燦牙に聞き返した。
「は、はい…… 手紙は舜炎帝のもとに届いています……
ですが……」
燦牙が答えに困っていると堯閣帝らのもとに
一匹の白き隼【はやぶさ】が飛んで来た。




