第2章 16
門兵は現れた関遼に恐縮しながらも
「じ、実は…… この者が……」
と我箕へ劉・小狼に逢いに来たという庖悦のことを
関遼に説明した。
関遼は乞食のような身形の龐悦に一瞬、不快な顔をしたが
劉・小狼に
『自分が留守の時に自分に逢いに来た者がいたならば、
鄭重に持て成すように!』
ように言われていた為、
「小狼さまは我箕の周辺の見回りに出ているために
留守ですが鄭重に持て成すように申し付かっていますから、
どうぞ、城の中へ!」
関遼は庖悦を我箕の城の中へと招き入れようとした。
庖悦が劉・小狼の我箕の城へと訪れている頃。
仮面の男【劉閣】は老霍と共に龍炎国の
北の蛮族・黒竜党のアジトにいた。
劉閣は鄭重に持て成され、黒竜党の党首・臥狼【がろう】のもとに
通された。
久々に会う劉閣に臥狼は大層、喜びながら
「劉閣どの。 良く来られた……
ゆっくりとするが宜しい」
と言うと劉閣は臥狼に敬意を払いながら、
片膝を付いて、しゃがむと臥狼に対し、
深々とお辞儀をすると
「あ、ありがとうございます!」
と言った。
臥狼はそんな劉閣を見ながら
「で…… 今回、私の所を訪れた目的は?」
と自分の席に腰を下ろすと劉閣に尋ねた。
劉閣は少し言いづらそうに
「じ、実は…… 水霞曉を攻めようと思いまして……
兵をお貸しして欲しく……」
と臥狼に兵の要請をした。
臥狼は険しい顔をしながら
「兵を貸すのは良いのだが…… 見返りは?」
と劉閣に見返りを尋ねた。
劉閣は臥狼をじっと見詰めたまま、
「見返りですか?…… 水霞曉では?」
と答えた。
臥狼は劉閣の一言に大いに驚いた顔を見せた。
「よ、良いのか? では、なぜ、水霞曉を 攻めるのだ?」
臥狼は不思議そうに劉閣に尋ねた。
劉閣は舜炎帝がいる海月宴で遭った劉・小狼のことを
頭に思い浮かべながら
「どうしても、水霞曉にいる、ある者を倒したくて……
その者はまだ、小規模だが、今のうちに倒して
おかないと後々、我らの障害となるだろうから……」
と臥狼に言った。
臥狼は俯き、少し考え込むと
「よし! 兵を貸そう! その代わり、わしの配下の
餓典【がてん】と韓忌【かんき】を一緒に連れて行くのだ!」
と言うと劉閣は嬉しそうな顔をし、
「これはありがたい! 黒竜党の猛将の餓典殿と韓忌殿まで
お貸ししてくれるとは……」
と喜んだ。
劉閣は黒竜党の臥狼から兵3千と餓典と韓忌を借り受けると
劉・小狼がいる水霞曉の我箕に向けて、動き出した。
だが、劉閣はすぐには水霞曉へと向かわなかった。
「まずは兵の数を増やすべきでしょう!」
韓忌のそんな進言により、劉閣は水霞曉に向かう前に
堯閣帝がいる龍炎国を攻めることにした。
「ここからなら、龍炎国の天彌【てんみ】を
攻めるのが宜しいかと……」
餓典は劉閣にそう進言すると韓忌も同意見だったので
劉閣は北方の龍炎国との境の天彌を攻めることにした。
餓典と韓忌の活躍により、龍炎国の天彌は瞬く間に
攻め落とされた。




