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『えっ?……』
青年の劉・小狼のそんな言葉に張爛と関遼は驚き、
急にその場に立ち止まった。
関遼は劉・小狼を見ながら
「それは一大事! 追っ手がお母上の方に行ったら、
大事だ! 逃げる前にお母上の所に行き、
事情を話しましょう!」
劉・小狼に言うと張爛は慌てた顔で
「ちょっと、待ってくれ! 寄り道をしたら、俺達が追っ手に
追い付かれ、危なくないか?」
と言ってきたが関遼は怖い顔で張爛を睨み付けながら
「このまま、ほっといていく訳には行くまい……
それは人の道に外れる!先に行きたいなら、
一人で行くが良い! 私はこの方(劉・小狼)のお母上を
お救いに行く!」
と言い、劉・小狼の事を見詰めた。
「わ、わかったよ!…… 俺も一緒に行くよ!」
張爛も渋々、劉・小狼の母親がいる、劉・小狼の家に
向かうことにした。
「ただいま!……」
劉・小狼は関遼らと共に自分の家に戻ったが
いつものと様子が可笑しい、劉・小狼に気付いた
劉・小狼の母親は
「あれ?小狼。 お友達?」
優しく、劉・小狼に話し掛けた。
関遼と張爛は慌てて、
「わ、私は関遼と申します……」
「おいらは張爛だ!」
と劉・小狼の母親に自分の名前を伝えた。
「そうですか……」
劉・小狼の母親はそう言ったがすぐに劉・小狼に
「貴方ら、何か、私に言うことがあるんじゃないの?……」
と少し怖い顔で睨みながら、言った。
『え?……』
劉・小狼は驚いた顔でお互いの顔を見合わせた。
劉・小狼らは自分らの考えを劉・小狼の母親に
見好かれているようでびっくりしながら
「じ、実は……」
街で起こったことを全て、劉・小狼の母親に話した。
黙って、劉・小狼の話しを最後まで聴いた
劉・小狼の母親は大きなため息を吐きながら
「もう。しょうがない子ね…… 今日はもう晩いから
明日、逃げましょう! 今日はお友達と一緒にこの家に
泊まりなさい!」
と言い、炊事場で夕食の準備を始めた。
その夜は劉・小狼らは逃げる緊張から解放され、
居間で関遼と張爛と雑魚寝をした。
夜中、劉・小狼が目を覚ますと劉・小狼の母親は外に出て、
夜空を見上げ、月を見ていた。
劉・小狼は起き上がり、外に出て、母親と同じように
夜空に輝く月を見ながら
「ごめん…… 母さん……」
と母親に謝った。
劉・小狼の母親は大きなため息を付きながら
「もう良いわよ! 貴方は自分の正義に従って、
行動をしただけでしょう…… 母さんのことは
心配いらないからお友達と共に一緒に逃げなさい!」
と言うと劉・小狼は戸惑った顔で
「で、でも……」
と呟くと劉・小狼の母親は怖い顔で
「もう貴方は良い歳なのだから…… そろそろ、自分で
考えて行動しなさい!」
と叱った。