第2章 11
劉・小狼と張爛が沙隆へと着くと沙隆の人らは
楽しげに慌しく沙隆の街の中を走り回っていた。
『一体、何の騒ぎだろうか?……』
劉・小狼が沙隆の人らが楽しげに慌しく
走り回っているのを見ながら、そう思っていると
沙隆の人らと同じように慌しく走り回っている濤轍が
劉・小狼と張爛の前に現れた。
「な、何かあったのですか?……濤轍殿!」
張爛が目の前に現れた濤轍に尋ねると劉・小狼と張爛のことに
気が付いた濤轍は
「お、お祭りですよ! それより小狼殿こそ、
どうなったのですか?……」
驚いたようにその場に立ち止まった。
「お祭りですか?……」
張爛が驚いた顔をし、沙隆の町の中を見回すと
濤轍も沙隆の町の中を見回しながら、
「ええぇ…… 年に一度、沙隆の民が楽しみにしている
祭りなもんで…… 孔游さまのお申し付けで私らも
祭りの手伝いをしているのです?」
と言った。
劉・小狼は張爛を街に置き、一人で孔游がいる沙隆のお城へと
向かった。
すると、街同様、沙隆の城の中も祭りの準備で大忙しだった。
そんな中、劉・小狼が孔游を探していると
「小狼さま!……」
と言い、劉・小狼のことを見付けた水蓮は駆け寄り、
劉・小狼に抱き付いた。
「ちょ、ちょっと……」
劉・小狼が突然、自分に抱きついて来た水蓮に戸惑っていると
水蓮は嬉しそうな顔で劉・小狼のことを見詰めながら、
「どうしたの?…… 隆の祭りに来たの?」
と言うと
「こらぁ!水蓮。 小狼殿がお困りじゃないか……
お前は奥で祭りの準備の続きでもしておきなさい!」
劉・小狼のことに気付いた孔游はそう言い、
水蓮の後ろから現れた。
「小狼殿。どうなされましたか?」
孔游は突然、自分の城にやって来た劉・小狼に
そう尋ねると
「じ、実は……」
劉・小狼は舜炎帝がいる海月宴で起こったことを
孔游に話した。
「それは大変でしたね…… しかし、その舜炎帝を
襲った仮面の男【劉閣】は誰なんでしょうね?」
孔游は仮面の男【劉閣】のことを気にした。
劉・小狼は困った顔をしながら
「わ、わかりません…… ですが、その者は
異様な殺気を放ち、不可思議な妖術を使うようですから
孔游殿も気をつけた方が宜しいかと……」
と孔游に仮面の男のことを気を付けるように忠告した。
「それは…… 気をつけることにしよう!
それより暫くはゆっくりして行けるのだろう?」
孔游がそう劉・小狼に尋ねると劉・小狼は
少し困った顔をしながら
「すみません…… 我箕でやる事が溜まっているので……
今日のところは帰ります! またゆっくりと出てきますから……」
と言い、孔游に別れを告げると足早に沙隆の城を後にし、
沙隆の街へと戻った。
劉・小狼が沙隆の街へと戻ると張爛は街の者らと共に
楽しげに祭りの準備をしていた。
「帰るぞ! 張爛」
劉・小狼が張爛にそう声をかけると
「あれ? 小狼さまではありませんか?……」
自分の商団を率いた孫嘉が沙隆の街に現れた。




