第2章 6
殺気を放ちながら、舜炎帝のいる方に向かっていた
仮面の男【劉閣】は自分の後を追って、
海月宴の中に入ってきた劉・小狼らに気付くと
その場に立ち止まり、後ろから追ってくる
劉・小狼らの方を見ながら
「厄介な奴【劉・小狼】らが来たなぁ……」
と呟いた。
怯えながら、仮面の男【劉閣】の後を付いていた蒐賽は
「や、厄介な奴とは?…… 4侯?」
と言うと老霍は仮面の男【劉閣】が見ている方を見ながら
「恐らく、4侯ではないだろう…… 我らを追ってきた
別の者だろう…… どうするのだ?」
というと仮面の男【劉閣】は怯えている蒐賽を見ながら
「お前が見て来い!」
というと蒐賽の傍に持っていた剣を投げた。
蒐賽は仮面の男【劉閣】が差し出した剣を触った途端、
何かに取り憑かれたかのように剣を持ったまま、
真っ直ぐに劉・小狼らの方へと向かっていった。
老霍はあまりに突然の代わりようの蒐賽を見ながら
「奴(蒐賽)に何をしたのですか?……」
その場から歩き出した仮面の男【劉閣】にそう尋ねると
仮面の男【劉閣】は何かに取り憑かれたかのように
劉・小狼らの方に向かう蒐賽を一瞬、見ると
「奴(蒐賽)は足手まといだ。 奴(蒐賽)はここで
我らの為に足止めをしてもらおう!」
というと再び、舜炎帝へと目指し、歩き出した。
今更になって、老霍は仮面の男【劉閣】の冷酷さに
恐怖を感じていた。
劉・小狼らは広い海月宴の敷地内で殺気を放つ者を探したが
中々、殺気を放つ仮面の男【劉閣】に追いつくことが出来なく、
道に迷っていた。
関遼と趙燕は辺りをきょろきょろと見回しながら
「奴【劉閣】がどっちに行ったか、わかりますか?」
と劉・小狼に尋ねると
「ちょっと待っていろ! 探ってみる!」
劉・小狼はそう言うと目を瞑り、意識を集中し、
殺気を放つ仮面の男【劉閣】の居場所を探った。
すると、仮面の男【劉閣】は老霍の案内のもとに
一直線に舜炎帝がいる神殿へと向かっていた。
劉・小狼は殺気を放つ仮面の男【劉閣】の居場所がわかると
目を開き、
「奴【劉閣】はあっちだ!」
と言い、真っ直ぐへと指差した。
「じゃあ。私らも急いで向かいましょう!」
趙燕がそう言い、劉・小狼が指差した方に歩き出そうとすると
急に張爛は顔色を変え、
「どうやら、素直に俺たちを先に行かせて
くれなそうだぜい!」
というと持っていた槍を劉・小狼が指差した方に構えた。
劉・小狼らの前に現れたのは蒐賽だった。
だが、その蒐賽は劉・小狼らが知る者ではなく、
何者かに取り付かれたような異様な姿の者だった。
「見つけた!見つけた!……」
蒐賽はそう言うと仮面の男【劉閣】がくれた剣を 握り締めると
鞘から剣を抜き、ゆっくりと劉・小狼らに向かってきた。
「やばいぞ!……」
劉・小狼のそんな言葉に関遼らは緊張した面持ちで
武器を身構えた。
蒐賽は自分に向かって、武器を身構える劉・小狼らを見て、
一瞬、歩みを止めるが
「倒す! 奴【劉・小狼】を倒す!……」
と言い、劉・小狼に目掛けて、一直線に突撃をしてきた。
関遼らは劉・小狼を護るべく、素早く、劉・小狼の前に
立ち塞がったが蒐賽の突撃の威力が凄まじく、劉・小狼と共に
後ろへと吹き飛んだ。




