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劉・小狼らがいつものように内政に取り組んでいると
「た、大変です!」
城壁の見張り番が慌てて、劉・小狼らがいる部屋の中に
駆け込んできた。
「どうした? そんなに慌てて?……」
関遼が部屋の中に入ってきた見張り番にそう言うと
見張り番は乱れた息を整えながら、
「また再び、蒙虎幻の軍勢が我箕に向かって来ています!」
と言った。
それを訊いた張爛は
「な、なに?……」
と勢い良く、立ち上がった。
劉・小狼はそんな張爛を見ながら
「張爛! 先発として数人の兵を率いて、蒙虎幻を迎え撃て!」
張爛にそう命じた。
「おう! 任せておけ!」
張爛がそう言い、部屋から勢い良く、出て行こうとすると
劉・小狼がいる部屋の中に沙隆の兵がやって来た。
劉・小狼は突然、やって来た沙隆の兵に
「どうしましたか?」
と尋ねると沙隆の兵は劉・小狼のことを見詰めたまま、
「こちらに水蓮さまはお邪魔してませんか?」
と劉・小狼にそう言った。
「はぁ?……」
劉・小狼らは驚いた顔でやって来た沙隆の兵を見詰めたが
劉・小狼は冷静な表情を取り戻し、
「いや…… 来てないですか?」
と答えると沙隆の兵は辺りを見回しながら
「困りました…… 何処に行ったのでしょう?」
と呟いた。
そんな時、再び、劉・小狼らがいる部屋に
見張り番の兵がやって来た。
「た、大変です! 蒙虎幻の軍勢が我箕のすぐ近くまで
近付いています!」
劉・小狼らがいる部屋に入ってきた見張り番の兵は
劉・小狼にそう言った。
「えっ?……」
劉・小狼は水蓮の事を取るか、我箕の事を取るかを
散々、悩んだが
「張爛! 急いで蒙虎幻の軍勢を向かえ討て!」
と張爛にそう命じた。
関遼はびっくりした顔で
「よ、宜しいのですか?……」
と劉・小狼に訊いた。
劉・小狼は曇った顔をし、
「今はこの我箕を護るのが先決だ!」
とそう言い放った。
劉・小狼らが蒙虎幻の襲撃に備え、我箕の防備を
固める事を決めた頃……
趙燕は水蓮を連れ、我箕のすぐ近くの小高い丘の所まで
やって来ていた。
趙燕は馬の歩みを止めると我箕への道を探しつつ、
後ろの水蓮の事を気遣いながら
「疲れてないか? 我箕はもうすぐだから……」
と水蓮にそう言うと水蓮は楽しげに
「私なら、大丈夫ですから…… 貴方こそ、
疲れてませんか?」
と言い、逆に趙燕の事を気遣った。
『俺は何をしているんだ?』
趙燕がそう思いながら、再び、馬の歩みを進めようとすると
我箕の方から戦の匂いのような生暖かい風が吹いてきた。
その風を感じた途端、趙燕は慌てて、馬の歩みを
再び、止めた。




