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大方、劉・小狼らが役人を倒すと蒐賽は
「覚えていろよ!……」
と言い放ち、役人を置いて、一人で逃げ去った。
蒐賽が立ち去ったのを確認すると青年の劉・小狼は
持っていた剣を投げ捨てると自分に加勢をしてくれた
関遼と張爛に
「ありがとうございました。大変、助かりました!」
と礼を言うと張爛は馴れ馴れしく、青年の劉・小狼に近寄り、
肩を抱き寄せると
「そんな礼は良いから、良いから…… 飲みに行こう!
飲みに行こう!……」
張爛は半ば、強引に青年の劉・小狼を飲みに誘った。
迷惑そうな顔をしている劉・小狼の顔を見て、
「よさぬか…… そちらの御人が困られているではないか……
酒なら、わしが付き合おう!」
というと関遼は張爛から青年の劉・小狼を引き離した。
「良いから、良いから…… パーと行こう!」
張爛は関遼と青年の劉・小狼と共に街外れの
行きつけの飲み屋に連れて行った。
張爛は店の奥の席に関遼と劉・小狼に腰掛けると
「女将! 酒だ!酒だ!……」
店中に聴こえる大きな声で叫んだ。
「そんなに大きな声を出さなくても
ちゃんと聴こえているわよ!……」
店の奥から両手にお酒の入った小瓶を持って、
飲み屋の女将・美苧が張爛らの前に現れた。
「はいよ!……」
女将・美苧は張爛らが前のテーブルに持ってきた
お酒をどっかりと置き、青年の劉・小狼と関遼を
一瞬、見ると再び、店の奥へと帰っていった。
浴びるほど、お酒を飲んだ張爛は暫くすると
大きな鼾をかいて、眠ってしまった。
そんな張爛を関遼は横目で見ながら
「じゃあ。そろそろ、私らは行きましょうか!……」
と言い、立ち上がると
「女将さん。お勘定を……」
店の奥にいる店の女将にそう言った。
店の女将は店の奥から出てくると大きな鼾をかいて、
寝ている張爛を呆れ顔で見ながら
「勘定は良いわよ! そいつ(張爛)に払わせるから……」
と言った。
「そうですか…… では……」
関遼はそう言うと青年の劉・小狼と共に美苧という女将が
やっている飲み屋を後にした。
青年の劉・小狼は美苧という女将の飲み屋の前で
関遼と別れ、再び、自分の生活へと戻った。
一方、自分が繰り出した者らが青年の劉・小狼らに
ことごとく、打ち破られたことに蒐賽の怒りは収まらなかった。
『さて。どうしたものか?……』
蒐賽は自分に恥をかかした青年の劉・小狼に
どうして復讐をしようか、思いを巡らせていた。
そんなこととは知らず、青年の劉・小狼は
母親と共に農作業に勤しみながら、昨日の関遼らと
楽しいひと時を思い出し、
ふふふ……
と思い出し笑いをしていた。
そんな劉・小狼の様子を見て、劉・小狼の母親は
「小狼! 獲った野菜を売って来なさい!」
と劉・小狼に言った。